こんにちは! 大窪 浩太です。
本日ご紹介する一冊は【世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由】です。
帯に「「倒産」は教訓と知恵の宝庫である」と書かれているのですが、まさにその通り。

現在の視点から見ると、本書に掲載されている25社は倒産しています。
倒産した原因は、〇〇だ、ということはとても簡単です。
ですが、時間軸をずらすと、掲載されている25社はすべて、一時は時代の寵児としてもてはやされています。

中小企業ではなく、大企業にまで成長しても、時代の変化に対応しきれなかったり
経営者の判断ミスが重なってしまうと…。
企業は簡単につぶれてしまう、ということがよくわかります。

創業したけど、営業がうまくいかず、鳴かず飛ばずのまま倒産してしまった…、ではなく
ブランドも知名度も資金力も人材も豊富で、カリスマと呼ばれる経営者もいて、
でも、それでも倒産してしまった…。

ただ、この企業はこういう経緯で倒産してしまったんだ、と読むとそれまでですが、
本書に出てくる企業のなかで、自分が
・従業員として働いていたとしたら
・経営幹部として働いていたら
・はたまた経営者として経営していたとしたら…。

想像を膨らませて、
倒産という結果を避けることはできるのだろうか、という視点で読んでみると
一層興味深く読めると思います。

25社それぞれから教訓を引き出せますが、一貫して感じることは
前提条件がたくさんある事業は、脆い(自分たちではどうすることもできない)
ということ。

適当な表現ではないかもしれませんが
「策士、策に溺れる」という格言が頭から離れませんでした。

成功した要因が、そのまま倒産した要因になってしまっているケースも多いので
経営は、一筋縄ではいかないのだと、つくづく思います。

それでは、本書で最も心に残った個所です。

エンロンについて述べている項目からの引用です。

実は、この構造は、アメリカの犯罪学者であるD・R・クレッシーが「不正のトライアングル」として理論化しています。
つまり、
①不正をやろうと思えばできてしまうという「機会」が存在すること
②不正をすれば現状の問題解決につながるという「動機」があること
③不正を悪いことだと考えない「正当化」すべき理由が存在すること
という3つが揃った時、不正が起きるということです。

世界「倒産」図鑑 荒木博行著 日経BP出版 P132

エンロンについては、不正がきっかけで倒産、
当時世界5大会計事務所のひとつであったアーサー・アンダーセンが
吹っ飛んだ、ということもあり、詳しく調べたこともあります。

もともと会計事務所に勤務していた身としては、
どれだけ大きな事務所でもひとつの不正で解散に追い込まれることがある。
他人事ではないな、と思っていました。

また、 仕事柄お金にまつわる業務が多いので、お金に関するトラブルは
やはり多くありました。
補助金の私的利用であったり、横領であったり…。

ひとつひとつのケースを考えていくと、引用した3つの要因が満たされてしまっている
ということに気づきます。
おそらくは3つすべてが満たされなければ、不正まではたどり着かなかったのだと思います。

ただ、企業を経営するうえでも、幼稚園・保育園・こども園を運営するうえでも
「不正のトライアングル」のなかの「機会」「動機」「正当化」は常に揃いやすくあります。

当たり前のことですが、不正は悪いことです。
不正を行いたくて、園を立ち上げました、なんてひとがいるはずはありません。
ですが、不正が行われてしまう…。

組織としても、個人としても、不正を行えないような仕組み作りは大切ですが、不正に手を染めざるを得ないような状況に陥らないようにするのが、最も大事ですね。

今後少子化がますます進んでいくことは、統計データからも明らかです。
幼稚園・保育園・こども園の運営ということを考えると、まだ余裕があるうちに
対策を取っていくことがとても重要になってきます。

今後園をどのようにしていけばよいのか、在園児が何名いれば資金繰りが回るのか、などや
不正を行えない体制作りの構築など、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

株式会社 いちたす 大窪浩太

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