
理念と使命を経営の真ん中に据える。

はじめまして、株式会社いちたすで取締役を務めている大窪 浩太です。
現在は、会社としての売り上げ目標を追いかけながら、社内教育や営業体制の整備にも取り組んでいます。お客様と直接向き合う現場にも立ちつつ、会社としてよりよいご支援ができるよう、日々試行錯誤しています。
今回は、私が税理士法人からいちたすに参画した理由や、これまでの葛藤、そしてこれから実現していきたいことについてお話ししていますので、ぜひ最後までご覧ください。
お客様の課題に寄り添うために──税理士法人からいちたすへ参画
前職では税理士法人で働いていました。業務にはやりがいを感じていましたし、働き方も担当者に大きな裁量を与えてくれる法人でしたので、のびのびと働かせてもらっていました。いまも大事にしている「お客様に貢献したい」という気持ちは自分の中にずっとありましたし、お客様から直接「ありがとう」と言ってもらえる業務は素晴らしいなと思っていました。お客様に直接関わることが出来る業務は、自分にはとても向いていると思いながら働いていました。
ただ、お客様のご支援を行うなかで「税理士法人の職員として働いていると、お客様が本当に困っていることに対して、なかなかご支援ができない」ということが起きてくるようになり、このまま税務関係・会計関係の業務だけを行っていてよいのか、と考えるようになりました。
その頃は、転勤で大阪から仙台へ来ていましたが、自分が担当していた東北の幼稚園や保育所では、少子化による園児減少の影響が出始めていたころで、このまま何も手を打たないと、少子化がますます進んでしまったときに園の存続が出来なくなるのでは…、という時期でした。 妻(いちたす社長:大窪 由衣)が立ち上げたいちたすでは「経営者の家族になる」という使命のもと、業務範囲を限定せずお客様のお困りごとに対してご支援をしていたので、いちたすであれば、お客様が本当にお困りになられていることに対して、ご支援をしていくことが出来ると考え、参画しました
使命に共感し、迷いなく選んだ、いちたすという道
いちたすに参画した一番の理由は、やはりその考えに共感していたからです。
税理士法人に勤めていた頃から、幼稚園や保育園のお客様を担当することが多く、現場が抱える課題もお聞きしていました。ただ、税理士法人の職員として関われるのはどうしても「税務・会計」が中心で、運営面の悩みや職員のマネジメントの問題まで踏み込むのは難しかったところがあります。勤めていた税理士法人の方針としても、積極的に経営面や人事面の課題に関わっていこうというものではありませんでしたので、日常の業務を行っていくなかで、なかなかそこまでご支援が出来ませんでした。
でも実際には、税務・会計だけではなく、法人全体を考えてのご支援こそが本当に求められているのではないか――それはずっと感じていました。だからこそ、いちたすが取り組んでいる事業は、これから幼稚園や保育所にとって確実に必要になっていく。幼稚園や保育所が経営面での悩みから解放され、保育に集中できるようになれば、日本全体が少しずつ良くなっていくんじゃないか、という感覚もありました。
そんな想いがあったので、いちたすに参画することに迷いはありませんでした。
なぜ、妻が社長なのか
「夫婦で一緒に仕事をしている」と言うと、 “男性が社長”というイメージを持たれることが多いようで、「奥さんが社長なんですか?」と聞かれることもあります。
ですが、自分の中では最初から、妻が社長をやるべきと考えていました。
もともと、妻の「幼稚園や保育所の経営者の方に、家族が増えたと思ってもらえるようにご支援をしていきたい」という想いでいちたすが設立されていますので、会社の理念実現に最も情熱があるひとが社長を行うべきだと考えたからです。
社長には「実現したい未来」がはっきりと見えていて、だからこそ、迷わず動けるし、その未来に向かって必要なことを迷いなく選び取っていけるのだと思います。
「自分たちの業界は特殊だから…」ということで、昔からの慣習で誰かが苦しんでいたり、違う業界から見るとそれはだめだというルールもあると思いますが、社長はそういったことを「仕方ないよね」「そういうもんでしょ」と流すことをしない人で、理不尽なことがあれば、あるべき姿に正そうとします。
社長に強い信念があるからこそ、いちたすの使命に共感して、いろんな強みを持ったメンバーが集まってきてくれているんだと思います。
余談ですが、私はファーストキャリアからずっと、税理士業界に属しています。
税理士業界では、代表税理士が一般企業でいうところの経営者に該当しますが、経営者が最も能力が高いことが多いです。
税理士業界でのキャリアは妻より私の方が長いため、自分が代表になった場合、ボトルネックが自分自身になってしまうだろうと感じ、夫婦で話し合いました。妻が社長になることで、誰か一人のカリスマや能力で引っ張る組織ではなく、使命をみんなの真ん中に置き、色んなバックグラウンドを持つメンバーの独自の強みが重なりあって、天井なく伸びていくと思ったんです。
その考え方は私たちの中で今もなお、大切にしています。
「これは違う」と決めた日──小規模なのに、お客様を選ぶ覚悟
参画した当初は、やはり売上が必要でしたし、営業を行える法人も限られていましたので、お問い合わせを頂いた方には、何かしらの形でご支援できないかを考え、ご契約をしてきました。ですが、ご契約をしたお客様とお打ち合わせを進めていくうえで、“不正”と言わざるを得ない方法を取ろうとされていたり、お打ち合わせの場に同席されている現場の先生を怒鳴りつけるような方もいらっしゃいました。
いちたすでは、「明るい未来はこどもから」を掲げ、幼稚園や保育所のご支援をしています。そのような理念を掲げるいちたすが、不正を行う可能性がある園をご支援してしまうと、結果的に世の中そのものを悪くしてしまう可能性がある。こどもたちのためにもならない。だからこそ、ある時点で「これは違うな」と判断して、お客様とお約束をするようになりました。
それが「不正を行う経営者を応援しません」というお約束です。
今では、サービス案内にも記載をして、お問い合わせを頂いた段階で明確にお伝えしています。「グレーなことや不正を行う園とは、うちは契約しません」と。そのスタンスを打ち出してからは、こちらのストレスも大きく減りました。
グレーな手段で売上を増やすことに、私自身、まったく価値を感じていません。お客様にとっても、制度に則ってどう安定して運営をしていくかと考えるのが、とても重要だと肌で感じています。
保育業界は、不正をしないと経営が成り立たない、ということはまったくありませんので、制度で求められている通りに運営を行い、かつ、しっかりとお金を残していく、投資をしていくことが出来るようにご支援をしています。
社会へのインパクトにとことんこだわる──私が今、向き合っていること
今の私の役割は「会社全体として売上を上げること」だと思っています。もちろん、本音を言えば、これからもずっと現場に出て、お客様と直接やりとりしていたいという気持ちは強くあります。でも、ひとりで上げることができる売上には、やはり限界があります。
だからこそ、これからは社内教育に力を入れ、ひとを育て、職員が現場でお客様の不安や不満をしっかり解消できるようにしていきたい。そうなれば、自然と売上もついてくるはずです。
売上が増えていけば、職員の給与にも反映できますし、いちたすの理念に共感してくれる方と出逢える機会も増えてくると考えています。そうやっていい流れをつくりながら、いちたすの影響力をもっと広げていけたら、より大きな社会貢献につながるはずだと信じています。その流れをつくるために、今、社内体制を整えているところです。
「誠実」を判断基準にする。
お客様の収入アップや収支の改善は、これまでも意識して取り組んできましたし、これからも継続していきます。ただ、それだけではなく、制度にしっかり沿った、健全な園運営ができるようにご支援をしていくことも、今後の大きな目標です。
今、社長が6つあるコアバリューを作り変えているのですが、その中で私が一番大事にしている価値観は「誠実」です。
日々、職員が現場でお客様と向き合う中で、「これは正しいのか」「ちょっとグレーかもしれない」と迷うような場面も、きっとあると思います。でも、そういう時こそ、誠実さを欠いた行動でお客様にご迷惑をかけてしまわないように、自分がわからないことは、後日調べたり社内で確認をするなどして、曖昧なまま終わらせない。お客様がグレーなことをされようとしているのであれば、不愉快に思われることを覚悟のうえで言うべきことを言う──「誠実さ」を同じように大切する職員を、会社としては全力でフォローして、後押しをしています。
どうしてもグレーな手段を取ろうとする法人とは、いちたす側からお願いをして、お客様との契約が終了したとしても社内での評価は下がらない、と職員にも伝えています。
一見、職員を守るために見える行動です。もちろん、そういった考えもありますが、長期的に考えると、やはり、お客様の不利益を避けるために大切にしている考え方です。
そして、会社として職員に何ができるか。もちろん、感謝の気持ちも大切ですが、最終的には「給与」と「成長」だと思っています。しっかり利益を出して、それをしっかり職員に還元する。職員が成長することで、よりお客様にも喜んでいただき、売上が上がることで職員の待遇をよくしていける。その好循環を少しずつ大きくしていくこと。それが、今の私が目指している未来です。
最後に
社長も私も柔らかく見られることが多く、職員も若いメンバーが中心でみんな穏やかで優しいので、「ゆるく仕事してる会社」と思われることも、少なくありません。
ですが、お客様からお金をいただくというのは、それだけ責任のあること。私たちが向き合っているのは、園の未来やこどもたちの毎日に関わる、本気の“仕事”です。そこには、当然ながら結果にこだわるといった“厳しさ”も伴います。
とはいえ、うちのメンバーはほとんどが未経験からのスタートです。そこに不安を感じる必要はありません。「未経験だけど、ここで頑張ってみたい」という気持ちがあれば、きっと仲間と一緒に成長していけると思いますし、私も全力であなたの成長に向き合います。
私たちと一緒に、こどもたちの未来を、日本の社会をよりよくしていく事業に取り組んでくださる仲間をお待ちしています!