2025年7月7日、東北工業大学で准教授を務め、一般社団法人 デザイン経営研究所の代表理事もされている、下總 良則先生にご来社いただき、先生の著書でもある「インサイドブースト」について講義を行っていただきました。
講義内容や得られた学びについてまとめましたので、最後までお読みいただければ幸いです。

下總先生とは
まずはじめに下總先生のご略歴について、ご紹介いたします。
多摩美術大学を卒業後、プラス株式会社にて商品企画担当者・プロダクトデザイナーとして従事。
その後、株式会社ホットファッジにてグラフィックデザイナーの経験を経て、usadesignとして独立。
世界シェア3位の広告代理店ピュブリシス傘下ビーコンコミュニケーションズ株式会社を経て、現在はデザイナー・リサーチャーとして活動もしながら、一般社団法人RACの理事として経営メンバーに参画する等、「デザインと経営学」をテーマに活動を広げる。usadesign代表の他、これまでに昭和女子大学、東北工業大学、日本工学院専門学校にて、非常勤講師として教鞭を執る。
引用:デザイン経営研究所HP
インサイトブーストとは
今回下總先生には、デザインと経営の関係や、ご自身の著書でもある「インサイトブースト」について講義を行っていただきました。
まず、テーマとなる「インサイト」とは何を指すのか、「無意識のインサイト」について、先生の論文を引用いたします。
無意識のインサイトとは,「自分では全く,またはほとんど気づいていないか,あるいはうまく説明ができないような思考プロセスであるものの,その結果として,消費者の行動の源泉となっている心理」と定義する。
『非営利団体イベントのデザイン戦略改善におけるインサイトの有効性』より
つまり、消費者の無意識のインサイトを捉えることで、消費者自身も気づいていなかった本質的な欲求や課題が見えてくる、
いちたすで置き換えれば、お客様の無意識のインサイトを捉えることで、経営者の方が感じている課題の本質的な部分が見えてくる、その解決策を導き出すのがコンサルタントの役割になります。
この、「無意識のインサイトを捉える」ことこそが、コンサルタントとして必要な考え方になるのではないでしょうか。
講義の内容
では、どうやったら「無意識のインサイト」を捉えることができるのか。
その方法を、職員同士のワークショップ形式で教えていただきました。

二人一組で「将来の夢は何ですか?」というテーマでインタビューを行い、なぜその夢を持っているのかを深堀りしていきました。
インタビューの行い方は、
・誘導しない
・インタビューの答えに対して「なぜそう思うのか」で聞き返す
のみで、インタビュアーの探りによって、インタビュイーの本質的な原因を見つけることが目標です。
インタビューを行いながら、「なんで?」の質問で深堀りできないときは、聞き方を変えるのも手だそうです。
インタビュイー自身の考えがまとまっていないこともあるため、得られた回答を言い換えてみたり、要約して「こういうことですかね?」と整理したりすることで、お互いの理解が深まる手助けになります。

実際に私はインタビューを受ける側でしたが、「なんで?」と聞かれると悩んでしまうことが多くありました。
自分の将来の夢なのに、こんなにも整理されていなかったのか、と実感すると同時に、言語化することで点と点がつながった気がしました!
インタビューの後は、聞き取った内容を共有し、下總先生からフィードバックをいただきました。
自分たちではインサイトを捉えられたつもりでも、先生だったらここを深掘りする、というポイントをお伺いしてみると、考えもつかない角度からの質問で、そこを深掘りしていたら違う答えが出ていたのではないか?と思うほどでした。
今回は「将来の夢」というパーソナルなテーマでしたが、コンサルタントとしてお客様にお伺いする際は、経営者の方だけの課題ではありません。
あらゆる可能性を考慮しながらインサイトを捉えていく作業ができるようになれば、よりお客様へ明確かつ的確なご支援ができるのではないかと思いました。
コンサルタントとして活かせること
コンサルタントの仕事は、お客様に伝えていただいた悩みを解決するだけではありません。
お客様によっては、課題やその原因が明確になっていないこともあるため、言葉を表面的に受け取るだけではなく、ヒアリングによって本質・根本を探る必要があります。
そして引き出した本質的な課題を言語化・可視化する。課題がいくつかある場合は優先順位をつけ、課題の解決に進むというプロセスがあります。
下總先生にレクチャーいただいた「インサイト」、またその捉え方はコンサルタントとして成長するために必要不可欠な考え方でした。
また、業界の専門知識がなくてもまず実践できる、コンサルタントとしての第一歩であるとも思います。
はじめは難しいかもしれませんが、大変だからこそやりがいを感じ、お客様に感謝されることでコンサルタントとしての存在意義を感じられる。そんな成長をいちたすで一緒に叶えませんか。