こんにちは! 大窪 浩太です!

株式会社 いちたすでは、新しく認可保育園を開設したいというご相談にも対応しています。
新たに認可保育園を立ち上げるとなると、資金計画や保育士の資格を持たれている方の採用計画、園児募集計画など様々な課題が山積しています。

ただ、大半のことは、これから認可保育園を開設したいという方のあふれんばかりの熱意(!)によって解決していきます。
(具体的には、しっかりとした時間をかけて一つ一つ対応し、フットワーク軽く動くことで…)

ただし、新規開設を希望する方の熱意では、どうしようもない事情もあります。
それは、「待機児童がいない」こと。

本当に、よく聞きます。
新規開設を検討されている方は、すでにニーズ調査を終えられていて、目の前でお母さん方が困っているのを助けたい、という気持ちからスタートするケースが大半かと思います。
目の前で困っているお母さんがいるのに、待機児童はいない。
どういうことなのでしょうか。

「日経トップリーダー 2020年12月号」の「特集2 企業研究 山万」という記事の中に、認可保育園を設立しようとした際の経緯が書かれています。
(上記特集記事については、認可保育園の話がメインという訳ではなく、山万株式会社(不動産会社)がユーカリが丘ニュータウンという街づくりをどのように行ってきたかという記事で、こんな不動産会社があるんだ! と驚きました。住んでみたいと思いました!)
(URL:https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/NV0435/)

千葉県佐倉市のユーカリが丘を管理している山万株式会社は、地元住民のニーズが顕在化してからでは遅いので、表面化する前の潜在ニーズを拾い上げて先手先手で動かれています。

その潜在ニーズのなかに保育ニーズを見出したため、認可保育園開設に動き始めますが…。

【引用】
1997年に山万が保育園開設の準備をしていたとき、地元の佐倉市は「待機児童はいない」と認可申請を門前払いした。
(中略)
山万は仕方なく99年に無認可で保育園を開き、朝7時から夜10時まで子供を預かるようにした。すると、あっという間に定員が埋まった。
(中略)
保育園入園を申し込めば、待機児童が数字として表れるが、そこに至る前段階で諦める人が多かったのだ。

日経トップリーダー 2020年12月号 36ページ

これです!
まさにこれです!!

記事では1997年のお話ですが、2020年の現在でも、まったく同じ状況です…。
保育園入園は難しそう、というお話を聞いたお母さんが、「保育園入園の申請をして、なかなか決まらずたらいまわしにされたらどうしよう…。不確定な状況のまま、働き続けることにして、会社に迷惑が掛かったら申し訳ない…」と、仕事を辞めてしまうというのは、よく聞く話。

そうなってしまうと、

潜在的には保育ニーズがある
 ↓
保育園入園の申請をしないため、待機児童という数字には表れない
 ↓
待機児童がいない(書類上は)
 ↓
認可保育園の申請が通らない
 ↓
保育園の利用定員ぎりぎりで回すため、保育園に必ず入れるかはわからない。
 ↓
保育園に入りたいけど、通るかわからないから入園の申請を出さない
 ↓
待機児童がいない(書類上は)
 ↓
認可保育園の申請が通らない
 ↓
無限ループ

しかし、記事にもある通り、無認可で保育園を開設すると、しっかり定員が埋まるケースは多いです。それは、1997年だけではなく、2020年の現在も同じ。本当に何も変わっていないんだな、と。残念です。

ちなみに、山万の方が、どのようにして住民の潜在ニーズを掘り出しているかというと…。シンプルに「戸別訪問」です。これを会社の仕組みとして、徹底して行っているそうです。

利益を追い求める必要がある営利企業が、戸別訪問単体では利益を生まない組織をなぜ設けているのか。
住民の幸福を追求するべき市町村が、なぜそうしたヒアリングを行わず、ただの書類上の申請だけで待機児童の有無を判断してしまうのか。

もちろん、不平等をなくす、不利益をなくす、特別扱いは出来ない、という行政の制限もわかりますが、ちょっとした工夫をするだけでも改善するのでは、と思ってしまいます。

ちなみに、
東北最大の都市、仙台市の平成31年(2019年)の出生数は7,787人。
東北6県の県庁所在地で見ても、
青森市 1,836人
盛岡市 2,007人
秋田市 1,793人
山形市 1,658人
福島市 1,746人

です。

この人数であれば、全員からしっかり話を聞いて、それぞれの方が望む方法で子育てを安心して行っていける方法を一緒に考えていく、というスタンスを取ることも出来るのでは、と思ってしまいます。県庁所在地ではない市町村でしたら、なおさら顔が見えてくるはずです。

老朽化した公立の保育園を、新しく〇億円で建替えします! といったプレスリリースを見るたびに、箱モノにかけるお金はもう少し抑えて、ひとにお金を掛ければよいのにな、と考えてしまいます。

話を戻して。
山万株式会社が1999年に無認可として開園した保育園、認可になれたのは2004年のようです。(参考:https://kyodonewsprwire.jp/release/201812031047)
5年間。おそらくは、実績を積み上げたからこそ、認可保育園移行を認められたのだと思います。

別事業を行っており、資金的にも体力がある法人でしたら、施設設備の補助金も受け取らず、委託費も受け取らず、5年間、運営を続けることもできるのでしょうが…。

勤務保育士から独立して保育園を新たに立ち上げる、となると、思わぬところに落とし穴があるものです。

株式会社 いちたすでは、本当にスタートのスタート、まだ何も動き始めていない段階からでもご相談を受けることが出来ます。
お困りの方は、お気軽にご連絡下さい。

本日もお読みいただき、ありがとうございました!

株式会社 いちたす
大窪 浩太

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