本記事では、数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法(以下、本書)という書籍の内容をもとに、保育園・幼稚園・こども園の経営者様人事評価制度を設計する上で重要な考え方や注意点をまとめています。

また最後には業務の数値化におすすめの書籍もまとめておりますので、ぜひ最後までご覧くださいませ。

いちたす渋谷

自分の仕事を因数分解して変数と定数に置き換えて仮設を立ててみる行為は、単調で机上の空論のように感じるかもしれません。
ですが、実は単調な行為ではなく創造力が養われる行為なのではないかと本書を読んで気付きました。

数値化が習慣になっていないと、なんとなく忙しいからやらない、なんとなく難しいからやれないという選択肢を取ることができ、自分の成長や組織の成長を止めてしまうことになりかねません。
数値化の習慣は、すべての働く方にとって必須スキルなのだと思います。

数値化の鬼とは?

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数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法(以下、本書)は、
株式会社識学の代表取締役社長の安藤広大氏が著者の書籍です。
本書は「識学」という組織マネジメントに必要な意識構造学が学べる3部作シリーズの1つとして人気を博しており、本書を含めた3部作を読むと「成長し続ける組織マネジメント法」が網羅できる構成となっています。
また2023年9月には3部作で100万部を突破し、ビジネスマンの必読書として超メガヒットを記録しています。

識学シリーズ3部作の特徴を下にまとめました。

識学シリーズ3部作の特徴
  1. 現場で働くプレーヤー向け
    数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法
    (本記事で扱っている書籍です)
  2. マネージャー1年目向け
    リーダーの仮面 ―「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法
  3. さらに上を目指すマネージャーや経営者向け
    とにかく仕組み化 ―人の上に立ち続けるための思考法

数値化がもたらす2つのメリット

数値化がもたらす2つのメリットについての説明画像

数値化がもたらす組織へのメリットは、どのようなものがあるでしょうか?
経営者と職員の視点から、2つのメリットをお伝えします。

数値化のメリット①:明瞭な人事評価制度が設計できる

数値化のメリット1つ目は明瞭な人事評価制度が設計できるという点です。
保育園・幼稚園・こども園の経営者様にとって「職員をどう評価したらよいか」迷うことが多いのではないでしょうか?

組織のトップや上司が明瞭な人事評価を示すことで、その下で働く職員は「どうすれば評価が得られるのか」がわかりやすくなるので、注力すべき業務に集中することができ、結果として安定した園の運営ができるようになります。

例として、いちたすの人事評価制度の一部をご紹介させてください。
いちたすでは、有期契約の社員から正社員への転換時の要件の中に「転換ポイントを120点以上達成する」という評価項目を設けています。
その転換ポイントは、

  • 月次の確認を1人で行える(ミスは1回まで)
  • お客様に対して1時間以上の研修を行った(1回以上)
  • HPにて、専門記事を3個作る(5,000文字以上)

など、いちたすでの業務を遂行できるようになることで、正社員への転換ポイントを獲得することができます。

いちたす渋谷

私自身も、この正社員転換シートに沿って業務を覚えていきました。

正社員転換シートを見れば「会社が社員に求めていること、注力してほしいこと」が具体的に分かるのが良いと思いました。

その評価項目に沿ってできる業務を増やしていけば評価を受けられるので、安心して働けますし、やりがいも高まっていきました。

数値化のメリット②:職員が成長している実感を得られる

数値化のメリット2つ目は「職員自身が成長している実感を得られる」という点です。
数値は誰が見ても同じ捉え方ができる、客観的で明瞭な指標です。
そのため、職員自身が業務を数値で管理する習慣を持っておくと、過去と比べて成長しているかが明確にわかるようになるので、職員のモチベーションが自然と保たれるようになります。

組織マネジメントで大切なことはどんな人も成長すると信じ、活躍の場を用意することです。
本書でも下記のように解説があります。

「2:6:2の法則」を聞いたことがあるでしょうか?
人が1ヶ所に集まって放っておくと、
「優秀:普通:無能」に分かれると言います。

(中略)

集団を自然状態にしておくと、「2:6:2」になるということです。

(中略)

組織マネジメントをするということは、
この「2:6:2」の状態を「10:0:0」に近づけていくことです。
改善の余地を全員に受け入れさせて、全メンバーが活躍することを目指します。

『数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』P156より

数値化で気をつけることとは?

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本書では「行動量」を落とさずに結果を出すプレーヤーであることを重視していますが、数値化でどんなことに気をつけるとよいのでしょうか?

数値化で注意すべき指標として挙げられるのが「確率や割合で表現された数値」です。
もちろん確率や割合で表現する数値のすべてが悪いわけではありませんが、確率や割合で職員を評価するときは注意が必要です。

本書では確率や割合について下記のように解説しています。

成約率80%の人と、成約率50%の人がいるとします。
どちらのほうがすごいと思いますか?

(中略)

成約率80%の人が、10件中8件の契約を取ってきていたとしましょう。
一方で、成約率50%の人は、50件中25件を取っていたとします。

(中略)

この場合は、後者のほうが評価されなくてはいけません。
いくら「確率では勝ってる」と言っても、8件と25件では、その差が3倍です。

『数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』P179,180より

行動量をキープしながら確率も上げていくことが何より重要だということがわかりますね。

数値化で分けるべき「変数」と「定数」

数値化で分けるべき「変数」と「定数」についての説明画像

職員が成長し続けるためには、仕事の「どこを変えていけばいいか」に向き合い続ける必要があります。
仕事の改善点を考える上で分けて考えるべき要素があります。それが「変数」と「定数」です。
その意味を下にまとめました。

「変数」と「定数」
  • 変数 ⇒ 自分の行動によって「変えられるもの」
     例: 業務に費やす時間、○件こなすなどの行動量
  • 定数 ⇒ 自分の行動によって「変えられないもの」
     例: 社会情勢、天災

理想的な組織マネジメントは、
上司が目標を設定し、その目標達成のプロセスを職員自身が「変数」と「定数」に分けて管理し試行錯誤する、その結果を上司が評価する形です。
本書では下記のように解説しています。

プレーヤーとして成長する過程で、目標と結果以外は管理されないようにシフトしていくことが求められます。
最近の多くの企業は、いつまでもプロセスの管理をしてしまっています。

(中略)

あなたがプレーヤーであるのならば、その事実に早く気づくべきです。
気づいた人から成長していきます。
仕事のプロセスを分けて、どこが問題なのかを探しながら、試行錯誤をする。
これを「自分でやって、自分で解決する」からこそ、勝手にモチベーションが上がっていくのです。

『数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』P179,180より

この「変数」と「定数」を分析して結果を改善した例を、私自身の経験から紹介させてください。

私は無料セミナーで投影する資料を担当することになり、上司からは「20時間以内に資料を完成させるように」と指示を受けました。
目標を達成するために、資料の作成における「変数」と「定数」を、下記のように分けてみました。

  • 変数(自分の行動によって「変えられるもの」)
    ⇒ 資料の構成を考える時間、資料を作成する時間
  • 定数(自分の行動によって「変えられないもの」
    ⇒ セミナーで伝える内容、セミナーのテーマに関わる知識を取り入れる時間

私が注力すべきことは、資料の構成と作成の時間の短縮です。
以前の作業を振り返ると、資料の構成を考える時間をほとんど取らず、いきなり資料作成に取り掛かっていたことに、改善の余地があると仮定しました。
そこで思い切って、資料の構成を考える時間を3時間に増やし資料の作成時間を減らすことにしました。

その結果、上司から言われていた「20時間以内に資料を完成させる」ことを達成することができました。
さらに、以前作成した資料よりも短い時間で完成させたにも関わらず、上司からは「分かりやすい」「経営者であればお金を出してでも知りたい内容」と、以前の資料では言われなかったコメントがありました。

「変数」と「定数」を分析し、変数を変えることに注力したことで「限られた時間の中で質の高い結果を出す」という成功体験を積むことができました。

幼児教育・保育の現場で使える数値化の具体例

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幼児教育・保育の現場では、評価の数値化が難しいのでは、と思われるかもしれません。
しかし、どんな業務でも数字で測れる部分はあります。また、業務のどの部分を数値で評価すれば組織の利益に繋がるかを、柔軟な視点で考える必要があります。

例えば本書では、以下のような数値化の具体例が挙げられています。

ミスの回数は何回だったか」
業務改善数は何回あったか」
期限順守率は何%だったか」
タスクをポイント化すると、合計で何ポイントになるか」

というように、数字で測れる部分を見つけて、できるだけ数値化するようにします。

(中略)

そして、一度決めたら変えないのではなく、その数字に意味があるのか?を考え、臨機応変に変えていくことが大事です。

『数値化の鬼 ―「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』P110,111より

上記のような数値化をする際には、

  • 自園の保育で最も大切にしていることは何か
  • この先、どんな園であり続けたいのか、それともどう変化したいのか
  • そのために、職員へ求めることは何か

などの園の核となる理念や思いを順番に見つめ直すことから始めると、取り組みやすいかもしれません。
その理念や思いを基に、園ではどんな職員を高く評価したいかを言語化し、その基準に重要度を付け、評価として数値化してみるのはいかがでしょうか。

何の数値を人事評価の対象にするか悩んだ方へおすすめの書籍

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本書では数値化の重要性や考え方について詳しく理解することができます。
実践的な数値化のパターンがわかる書籍も合わせて読むと、職員の人事評価項目の着眼点を知ることができます。ここで何の数値を人事評価の対象にするか悩んだ方へ、おすすめの書籍を2つご紹介します。

おすすめ書籍①:KPI大全―重要経営指標100の読み方&使い方

幅広い業態で使われているKPIが1冊に凝縮された書籍で、手っ取り早く数値化のパターンを知りたい方におすすめです。こちらから書籍の詳細を見ることができます。

おすすめ書籍②:最高の結果を出すKPIマネジメント

こちらはKPIの基礎知識からKPIの作り方だけでなく、さまざまなKPI事例を知ることができます。KPIについて網羅的に理解したい方におすすめの書籍です。
こちらから書籍の詳細を見ることができます。

まとめ

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いかがだったでしょうか。
本記事の内容が保育園・幼稚園・こども園の人事評価制度を設計する一助となれば幸いです。