人事院は令和5年8月7日に令和5年の人事院勧告を公表し、国家公務員の給与改定勤務時間の改訂について、国会・内閣へ勧告しました。

保育園・こども園・幼稚園を経営する理事長先生や園長先生にとって、人事院勧告はとても重要です。
先生方に支給する給与にも関わる人事院勧告について、保育業界専門コンサルティング会社のいちたすが独自の目線で解説しました。
また、令和5年の公定価格への影響についてもご紹介しております。

【令和6年3月26日追記】
令和5年度の人件費の改定分算出について、こども家庭庁より通知の内容を追記いたしました。

【令和5年12月21日追記】
令和5年人件費の引上げについて、こども家庭庁より各都道府県へ事務連絡が通達されました。
人件費改定分に係る改定率について、追記いたしました。

人事院勧告とは

人事院勧告とはについての説明画像

人事院勧告とは、どのようなものでしょうか?
簡単にまとめると、情勢によって変動する民間企業の給与や勤務条件に合わせて国家公務員の給与や勤務条件を改訂していくことで、国家公務員の適正な処遇を確保していくよう、人事院が国会・内閣に要請することです。

国家公務員には民間企業のように労働基本権がなく、法律で給与が決められています。
そのため、この勧告により国家公務員の人材確保労使関係の安定につなげています。

人事院勧告については、こちらの記事で詳しく解説しています。

中小企業診断士:大窪

国家公務員の給与が変わることで、なぜ保育事業に影響があるのか、と思われるかと思いますが、こども園等の収入である施設型給付費や保育園の委託費における人件費は、公務員の給与も比較対象にされています。
人事院勧告自体が、民間企業を参考に行われるものですので、人事院勧告の内容に合わせていけば、民間(他の職種)とのギャップが埋まっていく、という考え方です。

令和5年の給与改定について

令和5年の給与改定についての説明画像

令和5年人事院勧告では、令和4年に引き続き増額改定となりました。
参考URL:人事院 令和5年人事院勧告

主な改定内容は、月例給・ボーナスの引上げです。
月例給・ボーナスを引き上げることにより過去5年の平均と比べて約10倍のベースアップを目指すこととしており、昨年の令和4年と近い改定内容となっています。

令和5年給与改定のポイント
  • 月例給:初任給及び若年層の俸給月額を引上げ
    • 初任給は高卒:約8%、大卒:約6%の引上げ
  • ボーナス:0.1月分引上げ
    • 年間4.4月分から4.5月分への引上げ

令和5年の公定価格への影響

これまでは、人事院勧告の内容を受け、内閣府は12月頃に子ども・子育て会議を開き、公定価格上の対応を発表してきました。
令和5年度からは、こども家庭庁で会議が行われることになると考えられますが、おそらくは例年通り12月頃に方向性が発表されるはずです。

令和5年人事院勧告において給与の増額改定があると、国家公務員の給与が増額されます。
そうなると、令和5年の公定価格も上がることが予想されます。

なぜなら、公定価格では予算上の年額人件費(先生方の給与)が設定されており、その年額人件費は国家公務員の給与をひとつの指標にして作成されているためです。
人事院勧告と公定価格については、こちらの記事で詳しく解説しています。

このような背景から、こども園・保育園・施設型給付を受ける幼稚園の理事長先生や園長先生は、公定価格の増額分を先生方へ追加支給する必要があります。

中小企業診断士:大窪

この追加支給は、毎年2~3月頃にまとめて対応しなければならないため、「卒園式などの行事準備が忙しい時期で大変だ」という理事長先生や園長先生の声をお聞きします。

令和5年度の公定価格改定についてはまだ何も発信されていませんが、公定価格が上がれば園でも対応が必要となります。
新しい情報が発信され次第、当ブログで発信していきます。

令和5年12月6日に、公定価格単価表が発表されました。その内容について、以下に追記しました。

オススメ記事:【2023年最新版】公定価格における令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について

【令和5年12月21日追記】令和5年の人件費改定分に係る改定率について

令和5年12月6日にこども家庭庁から、令和5年度の公定価格単価表が発表されました。
また、令和5年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた人件費引上げについても、各都道府県宛てに通知が行われました。
通達の内容は以下の通りです。

公定価格告示改正の趣旨・内容について

公定価格において、令和5年人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に準じ、算定の基礎となる職員の人件費引き上げるものであること(保育士・幼稚園教諭等人件費 +5.2%程度)。

(引用:こども家庭庁成育局保育政策課公定価格担当室 令和5年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた令和5年度補正予算における公定価格の取扱いについて)

なんと、+5.2%の大幅改定となりました。あわせて通知文には、次のように記載されています。

内閣府→各都道府県 事務連絡のポイント

(一部抜粋)
各市町村においては、既に把握している各施設等に関する情報(各月ごとの 利用子ども数や加算の取得状況等)に基づき、今般の改定の影響額(追加支給 見込額、年度末までの給付見込総額、処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分等の 内訳等)を算定し、各施設・事業者にすみやかに周知すること

(引用:こども家庭庁成育局保育政策課公定価格担当室 令和5年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた令和5年度補正予算における公定価格の取扱いについて)

実は令和4年度も、施設ではなく各市町村影響額算定するよう各都道府県に通知されていましたが、弊社が担当するお客様の中では、各施設で計算するよう自治体から通達があった所が多かったです。令和5年度においても、市町村で算定を行うのか、施設で算定を行うのか、市町村によって対応が分かれそうです。

【令和6年3月26日追記】人事院勧告に伴う人件費の改定分(令和5年度)

こども家庭庁のHPで公定価格に関するFAQ(3/8時点版)が公開されました。 その中で令和5年度については人件費の改定分の算定方法が2種類示されました。

  1. 公定価格の旧単価で計算した給付費(委託費)と新単価で計算した給付費(委託費)との差額
  2. 「新単価で計算した処遇加算Ⅰの加算額総額」÷{「5.2%(改定率)」÷「加算率」}×「0.9(調整率)

上記どちらかの方法で金額を算出し、法定福利費等の事業主負担分の増加分を 除いたものを人件費の改定分として職員の方へお支払いします。

(出典:こども家庭庁 公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.24)

実際には自治体がどちらかの方法で算出し、施設に金額が通知されます。 園で算出するよう指示があった場合は、自治体に算定方法をご確認ください。

弊社では、処遇改善等加算に係るご支援を行っております。お困りの際は、お気軽にお問い合わせくださいませ。