人事院は令和5年8月7日に令和5年の人事院勧告を公表し、国家公務員の給与改定勤務時間の改訂について、国会・内閣へ勧告しました。

保育園・こども園・幼稚園を経営する理事長先生や園長先生にとって、人事院勧告はとても重要です。
先生方に支給する給与にも関わる人事院勧告について、保育業界専門コンサルティング会社のいちたすが独自の目線で解説しました。
また、令和5年の公定価格への影響についてもご紹介しております。

人事院勧告とは

人事院勧告とはについての説明画像

人事院勧告とは、どのようなものでしょうか?
簡単にまとめると、情勢によって変動する民間企業の給与や勤務条件に合わせて国家公務員の給与や勤務条件を改訂していくことで、国家公務員の適正な処遇を確保していくよう、人事院が国会・内閣に要請することです。

国家公務員には民間企業のように労働基本権がなく、法律で給与が決められています。
そのため、この勧告により国家公務員の人材確保労使関係の安定につなげています。

人事院勧告については、こちらの記事で詳しく解説しています。

中小企業診断士:大窪

国家公務員の給与が変わることで、なぜ保育事業に影響があるのか、と思われるかと思いますが、こども園等の収入である施設型給付費や保育園の委託費における人件費は、公務員の給与も比較対象にされています。
人事院勧告自体が、民間企業を参考に行われるものですので、人事院勧告の内容に合わせていけば、民間(他の職種)とのギャップが埋まっていく、という考え方です。

令和5年の給与改定について

令和5年の給与改定についての説明画像

令和5年人事院勧告では、令和4年に引き続き増額改定となりました。
参考URL:人事院 令和5年人事院勧告

主な改定内容は、月例給・ボーナスの引上げです。
月例給・ボーナスを引き上げることにより過去5年の平均と比べて約10倍のベースアップを目指すこととしており、昨年の令和4年と近い改定内容となっています。

令和5年給与改定のポイント
  • 月例給:初任給及び若年層の俸給月額を引上げ
    • 初任給は高卒:約8%、大卒:約6%の引上げ
  • ボーナス:0.1月分引上げ
    • 年間4.4月分から4.5月分への引上げ

令和5年の公定価格への影響

これまでは、人事院勧告の内容を受け、内閣府は12月頃に子ども・子育て会議を開き、公定価格上の対応を発表してきました。
令和5年度からは、こども家庭庁で会議が行われることになると考えられますが、おそらくは例年通り12月頃に方向性が発表されるはずです。

令和5年人事院勧告において給与の増額改定があると、国家公務員の給与が増額されます。
そうなると、令和5年の公定価格も上がることが予想されます。

なぜなら、公定価格では予算上の年額人件費(先生方の給与)が設定されており、その年額人件費は国家公務員の給与をひとつの指標にして作成されているためです。
人事院勧告と公定価格については、こちらの記事で詳しく解説しています。

このような背景から、こども園・保育園・施設型給付を受ける幼稚園の理事長先生や園長先生は、公定価格の増額分を先生方へ追加支給する必要があります。

中小企業診断士:大窪

この追加支給は、毎年2~3月頃にまとめて対応しなければならないため、「卒園式などの行事準備が忙しい時期で大変だ」という理事長先生や園長先生の声をお聞きします。

令和5年度の公定価格改定についてはまだ何も発信されていませんが、公定価格が上がれば園でも対応が必要となります。
新しい情報が発信され次第、当ブログで発信していきます。

オススメ記事:【2023年最新版】公定価格における令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について