現在、弊社(株式会社 いちたす)では、東北工業大学の大矢研究室と産学連携でいちたすのリブランディングに取り組んでいます。約1年がかりで行うプロジェクトの第1回ワークショップを、2023年4月に開催したため、この記事ではその取り組み内容についてご紹介します。

1.背景と目的

背景と目的についての説明画像

ここでは、本プロジェクトチームに関する基本情報に加え、プロジェクト発足の背景とその目的について説明します。

1.背景と目的

背景

「いちたすの設立当初の想いや世界観をどう表現すれば職員やお客様に伝わるのか?」
そんな疑問を抱きながら弊社代表が自己流でブランディングを行っていたところ、詳しくは後述しますがブランディングを専門とされていらっしゃる東北工業大学の大矢教授のセミナーに参加する機会に恵まれ、相談に乗っていただくうちに、今回のプロジェクトが発足しました。

目的

今回の目的は、弊社が自己流で行ってきたブランディングを外部の目線から見て、より職員やお客様の心に届きやすい言葉や世界観の表現方法に整えていただくことです。

2.東北工業大学とは

東北工業大学とはについての説明画像

東北工業大学は、1964年の創設以来、日本の、とりわけ東北地域の産業・経済の発展に大きく貢献してきた大学です。宮城県仙台市に本部を置いており、工学部、ライフデザイン学部、建築学部の3学部8学科体制がとられています。
2022年には「未来のエスキースを描く。」という新たなブランドスローガンを制定し、ブランディング活動にも力を入れています。

3.大矢隆一 教授について

東北工業大学からご参加いただく、大矢隆一教授についてご紹介させていただきます。

大矢教授は、ダイハツ工業株式会社、マツダ株式会社にてデザイナーとして務められ、その後シャープ株式会社ブランディング本部にて本部長としてご活躍された経歴をお持ちです。

現在は、東北工業大学ライフデザイン学部産業デザイン学科にて、人に寄り添い、社会に貢献する「コト/モノ」づくりについて、学生たちにご指導なさっています。
大矢研究室では、モビリティ、プロダクトデザイン、ブランディングを主な研究分野とし、取り組まれています。

4.いちたすの理念と使命

現状の説明といたしまして、いちたすの理念と使命についてもご紹介させていただきます。
ここからどう変わるのか、変わらないのか、とても楽しみです。

理念

明るい未来は子どもから

こどもは未来そのものです。
幼児教育・保育がどれだけ未来において重要なことなのか、理事長(経営者)と出会う度に教えていただきます。私たちは幼児教育・保育事業の経営者ではないですが、理事長(経営者)を応援し、本業に集中していただく事で明るい未来の実現を目指します!

使命

経営者の家族になる

「明るい未来は子どもから」という理念の実現のためには、理事長(経営者)が本業に集中できるように環境を整える事が絶対に必要です。
家族のような当事者意識と、業界に特化した専門知識を持ち、本気で経営者を応援します。

2.ブランディングとは

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何度も「ブランディング」という言葉が登場しますが、ここで簡単にご説明させていただきます。

一言でブランディングを表現すると?

ブランディングとは、「差異化を確立すること」です。

他の企業との違いを明確にし、お客様にその違いを正しく伝え、認知から理解、理解から共感へと導くための言わば伝言ゲームでもあります。簡単に言えば、企業を知ってもらうためのありとあらゆる取り組み、活動のことを指しています。また、似た分野にマーケティングがありますが、ブランディングの1番の目的は「知ってもらう」ことにあるため、売るための戦略を立てるマーケティングとは全くの別物であるといえます。

そして、今回いちたすが取り組むのは、心の中に価値を刻み込むためのコミュニケーション活動である、ブランディングになります。

3.スケジュールと進め方

スケジュールは以下の通りです。

ブランディングスケジュールについての説明画像

前期では、3週間ごとにワークショップとミーティングに取り組み、社員全員がいちたすブランドとは何なのかを共有するため、大矢研究室といちたすで論議して言葉に置き換えていきます。
後期では、前期で言葉に置き換えたものを、いちたすの社員全員で共有するためのアイテム、施策の開発に学生さんが取り組んで下さる予定です。

参加メンバーについては、東北工業大学から大矢教授と大矢研究室の学生1名、地域連携センターから1名。そしていちたすからは社長を含む4名が参加し、計7名でチームを結成しました。

4.第1回WS(ワークショップ)について

第1回WS(ワークショップ)についての説明画像

ここでは、2023年4月に行った第1回ワークショップの内容について解説します。
第1回目はブランド・アイデンティティ・プリズムというフレームワークを使って、WS(ワークショップ)を行いました。

1.ブランド・アイデンティティ・プリズムとは

第1回ワークショップでは、ブランド・アイデンティティ・プリズムというフレームワークに取り組みました。では、このフレームワークが一体どのようなものか解説します。

ブランド・アイデンティティ・プリズムについての説明画像
ブランド・アイデンティティ・プリズム

ブランド・アイデンティティ・プリズムとは、縦軸と横軸によって分かれた6つの項目について考える事で、自社のブランドアイデンティティの定義に必要な要素を整理していくフレームワークです。

まず、縦軸と横軸が何を表しているか解説します。

縦軸と横軸について
  • 縦軸で分けた左半分では外的要素を、右半分では内的要素について整理します。
  • 横軸の上半分では自社が選択・決定する要素を、下半分では顧客に関する要素について整理していきます。

次に、ブランド・アイデンティティ・プリズムの6つの項目についてひとつずつ解説します。

ブランド・アイデンティティ・プリズムの6つの項目について
  1. ブランドの特徴:自社のサービス面における機能的な特徴、ほかのサービスと比べてどのような品質の良さがあるのかを考えます。
  2. ブランドの役割:顧客や一般のユーザーにとって、そのサービスがどんな役割を担うのかを考えます。
  3. ターゲット:自社サービスのターゲットになる人はどういう人なのか、どんな企業の中の、どのような担当者で、どんな課題を抱えている人なのかを考えます。
  4. ブランドライフビジョン:ターゲットに限らずすべての生活者と自社の両方が望んでいる社会の未来像を考えます。
  5. ブランドパーソナリティ:自社を人に例えた時の性格、見た目などの個性のイメージを考えます。
  6. ブランド提供価値:生活者が感じられる喜びの度合い=生活者はどういう点が嬉しいのかを考えます。実利を得られる(実利価値)、自分の感性にフィットする(感性価値)、前向きになれる(情緒価値)、自尊心を満たせる(共鳴価値)

以上、6つの項目によって自社について整理するとともに、自社に対する理解を深めることで、ブランドアイデンティティが鮮明になっていきます。ブランド・アイデンティティ・プリズムを活用することで、自社の魅力をわかりやすく顧客に伝えられるようになり、自社のありたい姿と顧客が感じるイメージに一貫性を持たせることに繋がります。

2.実際にいちたすで取り組んでみた結果

ブランド・アイデンティティ・プリズムにいちたすが取り組んでみた結果について、具体例として一部をご紹介したいと思います。

いちたすブランドアイデンティティプリズムについての説明画像
東北工業大学作成
いちたすでの具体例
  1. ブランドの特徴:保育において専門的な知識がある/本人よりも本人の幸せを願う存在
  2. ブランドの役割:経営者の家族になる/一番頼れる存在
  3. ターゲット:良い保育がしたいと思っている保育園経営者
  4. ブランドライフビジョン:弊社が国の制度に意見を通せるようになる(公平性や平等性の担保)
  5. ブランドパーソナリティ:静かだけど熱を持っている/人で例えるとナウシカ(ジブリ)
  6. ブランド提供価値:経営者が子どものこと(本業)に集中できる/利益を子供に還元できる

以上のような意見が、今回のフレームワークを通して弊社社員からあげられました。
ブランド・アイデンティティ・プリズムについて気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

5.まとめ

今回、いちたすのブランドコンセプト明確化に向けた、東北工業大学とのプロジェクトが本格スタートしました。第1回ワークショップではブランド・アイデンティティ・プリズムに取り組み、自社と顧客に関する要素の整理を行うことができました。

今後も東北工業大学とのブランディング活動の様子を1年にわたって記録していきますので、いちたすがどう変化していくのかお楽しみください。
次回は、第2回ワークショップにて、SWOT分析に取り組む様子をお伝えします。