2025年4月1日、こども家庭庁より令和7年こども家庭庁告示第4号として、令和7年度の公定価格の単価表が更新されました。

本記事では、この度公表された公定価格の単価表における重要な変更点について、幼保業界の経営者の皆様にいち早くお届けいたします。

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いちたす:松嶋

特に認定こども園定員60人以下の比較的小規模な幼稚園・保育所を経営されている皆様にとっては、今後の運営に大きく関わる重要な内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みくださいませ。

中小企業診断士:大窪 浩太

関西の税理士法人にて公益法人に対して決算・申告書作成、財務コンサルティングを担当。 2017年、同税理士法人の仙台支店に転勤。 2019年7月に税理士法人を退職後、株式会社いちたすに参画。
得意分野:幼稚園・保育園・認定こども園の経営・財務コンサルティング。 少子化がますます進む東北で、今後数十年、安定して運営していける園づくりの支援を行う。 新規園の設立や代表者の代替わりなどの際は、法人に入り込んで、伴走型の支援を行うこともある。
宮城県中小企業診断協会所属

はじめに:令和7年度公定価格改定の注目点

はじめに:令和7年度公定価格改定の注目点についての説明画像

弊社の記事でもお伝えしておりました通り、令和7年度からの処遇改善等加算制度の一本化は、公定価格の単価表における最大の注目点でした。しかし、今回公表された公定価格では、それに加えて幼稚園・保育所・認定こども園の定員区分にも大きな変更が見られました。そして、1歳児配置改善加算という新たな加算も創設されました。

本記事では、現在判明している公定価格の主要な変更点3つに焦点を当て、その内容を解説いたします。

令和7年度公定価格単価表の注目ポイント
  1. 処遇改善等加算一本化に伴う変更
  2. 幼稚園・保育所・認定こども園の定員区分の変更
  3. 新たに1歳児配置改善加算の創設
いちたす:松嶋

今回の公定価格単価表の改定を受け、現場の皆様から混乱の声が既に弊社に寄せられております。本ブログが、そうしたお悩みを解消する一助となれば幸いです。

処遇改善等加算一本化に伴う変更について

処遇改善等加算一本化に伴う変更についてについての説明画像

かねてより国の会議で議論されておりました通り、令和7年度より処遇改善等加算制度が一本化され、この度の令和7年度公定価格単価表にもその内容が反映されました。

単価表を開くと、複雑な計算式が表示されており、戸惑われた方もいらっしゃるかもしれません。今回の変更では、加算率が以下の(a)(b)(c)の3つに分類されています。

小規模保育事業(A型)の令和7年度公定価格単価表についての説明画像
小規模保育事業(A型)の令和7年度公定価格単価表
令和7年度公定価格単価表の注目ポイント(処遇改善等加算)
  • (a) ⇒ 従来の処遇改善加算Ⅰ基礎分、新制度における区分1
  • (b) ⇒ 従来の処遇改善加算Ⅰ賃金改善要件分(キャリアパス要件含む)、新制度における区分2
  • (c) ⇒ 従来の処遇改善加算Ⅲ、新制度における区分2

これらの詳細な内容については、以下の関連記事にて詳しく解説しておりますので、併せてご確認くださいませ。

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一本化について詳しくお知りになりたい方はこちらの記事がおすすめです。

幼稚園・保育所・認定こども園の定員区分の変更

幼稚園・保育所・認定こども園の定員区分の変更についての説明画像

令和7年度の公定価格の更新では、処遇改善等加算制度の変更に加え、幼稚園・保育所・認定こども園定員区分にも重要な変更がありました。

令和7年度公定価格単価表の注目ポイント(定員区分)
  • 認定こども園において、1号認定がこれまで最小15人だった定員区分が10人に引き下げ
  • 幼稚園・保育所・認定こども園において60人定員まで5人刻みの定員区分へと細分化
認定こども園(教育標準時間認定)の令和6年度公定価格単価表についての説明画像
認定こども園(教育標準時間認定)の令和6年度公定価格単価表

上段が令和6年度の公定価格単価表、下段が令和7年度の公定価格単価表です。

認定こども園(教育標準時間認定)の令和7年度公定価格単価表についての説明画像
認定こども園(教育標準時間認定)の令和7年度公定価格単価表

認定こども園1号認定において、これまで最小15人だった定員区分が10人に引き下げられました。さらに、定員60人までの範囲においては、定員区分の幅が従来の10人刻みから5人刻みへと、より細かく設定されています。この定員区分の細分化は、幼稚園や保育所についても同様で、定員60人までは5人刻みの区分となっています。

この変更により、定員60人までの小規模な園や、1号認定の定員を10人以下に設定している園においては、公定価格の単価が上がり、収入にプラスの影響をもたらす可能性があります。

中小企業診断士:大窪 浩太

認定こども園の1号15人定員は割が良すぎると言われていたのに、10人定員はさらに割が良くなっています。定員区分の細分化は、小規模な幼稚園の救済策だと考えられますが、 結果的に保育所から認定こども園に移行した1号認定の定員が小さい園が有利になりそうな改定です。

1歳児配置改善加算の創設

1歳児配置改善加算の創設についての説明画像

令和7年度から、1歳児の職員配置の改善を進めるために公定価格上に新たな加算として「1歳児配置改善加算」が措置されました。

認定こども園(保育認定)の令和7年度公定価格単価表(抜粋)についての説明画像
認定こども園(保育認定)の令和7年度公定価格単価表(抜粋)

加算額が高い印象を受けますが、全国こども政策主管課長会議の資料では、要件を満たした施設のみが取得できるとされています。

1歳児配置改善加算の取得要件についての説明画像
(出典:こども家庭庁成育局保育政策課長 全国こども政策主管課長会議
1歳児配置改善加算の取得要件

職場環境改善を進めている施設・事業所において、1歳児の職員配置を5:1以上に改善した場合に、加算する

【対象以下の全てを満たす事業所(小規模C・家庭的保育・居宅訪問型保育を除く)】

  • 処遇改善等加算ⅠⅡⅢの全てを取得している
  • 業務においてICTの活用を進めている※1
  • 施設・事業所の職員の平均経験年数が10年以上※2

※1 ①登降園管理、②計画・記録、③保護者連絡、④キャッシュレス決済のうち、①及びもう1機能以上の機器を導入し活用している)

※2 処遇改善等加算Ⅰの「職員1人当たりの平均経験年数」と同様の計算による年数

(出典:こども家庭庁成育局保育政策課長 全国こども政策主管課長会議

いちたす:松嶋

人材確保保育の質の向上の観点も含めて、手厚い職員配置に加えて職場環境改善を進めている施設において加算する、とされています。
また、1・2歳児の単価は同額で設定されていますが、こちらの加算は1歳児のみに加算されること、ご留意くださいませ。

まとめ

まとめについての説明画像

今回は、令和7年度の公定価格更新における速報として、特に重要な以下の3点について解説いたしました。

令和7年度公定価格単価表の注目ポイント
  1. 処遇改善等加算一本化に伴う変更
  2. 幼稚園・保育所・認定こども園の定員区分の変更
  3. 新たに1歳児配置改善加算の創設

今後も、公定価格に関する詳細な情報や、幼保業界の皆様の園運営に役立つ情報を発信してまいりますので、引き続き当ブログにご注目いただけますと幸いです。新たな情報が分かり次第、記事を更新いたしますので、続報をどうぞお待ちください。