本記事では、保育園経営に大きくかかわる公定価格について、詳しく解説しています。
公定価格の基礎知識から、委託費計算時のポイント、地域区分の一覧まで、わかりやすくまとめています。
この記事を読めば、公定価格の大枠から細かい試算時のポイントまで、実際に計算を行っている計算例を通して理解することができます。
保育園収入の要である公定価格ですが、試算を誤ってしまうと、「想定していたよりも委託費が支給されず収支バランスが崩れてしまった…」ということもあります。
公定価格試算のポイントと、自園の運営状況を確認し、正確な運営費を確認しましょう!
【令和6年4月2日追記】
令和6年度の公定価格の単価表が更新されました。また新たな加算も追加されましたので詳細を記事後半部分にまとめました。
【令和5年12月19日追記】
令和5年度の公定価格はこちらからご確認いただけます。
【令和5年6月12日追記】
「公定価格に関するFAQ(よくある質問)(ver.22)」(令和5年6月7日時点版)に追加された質問をよくあるご質問への回答へ掲載しました。
【令和5年3月14日追記】
「公定価格に関するFAQ(よくある質問)(ver.21)」(令和5年1月4日時点版)について、よくあるご質問への回答を追加しました。特に重要な箇所を取り上げて説明しています。
保育園の委託費や配置基準などの関連記事はこちらからご覧ください。
関連記事:【プロが解説】保育園 委託費について経営者が知るべき3つのポイント
関連記事:【2024年最新版】保育園の保育士 配置基準について経営者が知っておくべき3つのポイント
関連記事:【プロが解説】処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱとは?全体像と手当の実態
子ども・子育て支援新制度の公定価格基礎知識
平成27年に開始された子ども・子育て支援新制度において、市町村の認可を受けた事業者は、公定価格によって財政支援を受けることができるようになりました。
では、その公定価格とは、一体どういうものなのでしょうか?
子ども・子育て支援新制度の公定価格とは?
子ども・子育て支援新制度における公定価格とは、教育・保育に必要な費用の金額です。
これは、国(内閣総理大臣)が決めた基準により算定されており、また子ども一人当たりの単価として設定されています。
国が定めた基準とは、「認定区分(1号認定、2号認定、3号認定)」、「保育必要量」、「施設の所在する地域(地域区分)」等があり、子どもの年齢や施設の定員によっても子ども一人当たりの単価が異なります。
詳しい区分については、後ほどご説明します。
公定価格の仕組みは、内閣府から出ている子ども・子育て支援新制度ハンドブックに記載のイメージ図を見るとよく分かります。以下の画像です。
(出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック 給付の基本構造)
利用者負担額は市町村で決めることができ、また、それぞれ認可保育園と認定こども園や幼稚園で徴収方法が異なります。
また、公費負担額については、国・都道府県・市町村がそれぞれ決められた割合で負担しています。
施設の種類ごとに、財政支援の内容を以下の表にまとめました。
施設の種類 | 財政支援 | 構成 |
---|---|---|
私立認可保育園 | 委託費 | 公定価格(=公費負担額+利用者負担額 自治体徴収) |
認定こども園・幼稚園 | 施設型給付費 | 公費負担額(=公定価格-利用者負担額 施設徴収) |
小規模保育事業 | 地域型保育給付 | 公費負担額(=公定価格-利用者負担額 施設徴収) |
また、この公定価格については、令和3年度から公的価格評価検討委員会が設置されました。
この委員会について、内閣官房ホームページでは以下のように記載があります。
看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やすため、公的価格の在り方を検討する公的価格評価検討委員会を設置します。
内閣官房ホームページより
令和5年1月現在までに、第7回まで開催されており、主に処遇改善の方向性について有識者によって議論なされています。
令和3年12月に発表された中間整理では、今後も収入の引上げが持続的に行われる環境を整備する必要がある、との方向性が定められました。しかし、財源が限られていることから、現在行われている財政支援を効果的に使用する必要があるため、費用の見える化を行うべく、検証を進めています。
(参考URL:公的価格評価検討委員会中間整理)
それでは、次からは保育園の公定価格について詳しく見ていきます。
保育園の公定価格を分りやすく解説
前段では、公定価格の概要について説明しましたが、ここからは、主に保育園の公定価格の内容について解説していきます。
公定価格は、基本分単価と処遇改善等加算や3歳児配置加算などの加算から構成されています。
実際に公定価格単価表をみてみましょう。以下は内閣府から出ている公定価格単価表の一部抜粋です。
(出典:令和4年度公定価格単価表 (施行日):令和4年10月1日)
単価表は、地域や施設定員ごとに区分されています。そして、保育時間によって基本分単価が設定されており、その基本分単価にそれぞれ施設で取得する加算項目を足していきます。また、土曜日に閉所する場合等、状況によっては調整(マイナス)となることもあります。
当社(株式会社 いちたす)では新しく保育園を新設される際に、保育園運営の試算をしたシミュレーションの確認を依頼されることがありますが、委託費の加算項目を誤って理解しているケースを見かけることがあります。
加算の条件や調整項目(マイナス項目)については、要注意です。
公定価格 令和4年度 改定について
公定価格は定期的に改定が行われるため、試算する際は最新の公定価格単価表であるか確認する必要があります。
例年、公定価格の単価には改定が入るのですが、令和4年12月8日に公表された、「令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について」はこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2024年最新版】公定価格における令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について
公定価格における保育園委託費について
保育園にとっては、この公定価格が委託費として、園の大きな収入となるわけですが、実はこの委託費は使い道が決められています。
保育園からこども園に移行すると、委託費ではなく施設型給付費となり、資金の使途制限はなくなりますが、保育園ではこれまで通りの運用が続いています。
お金の使い道や、資金をこれ以上持ってはいけないという基準があり、違反をすると監査で指摘を受けることになります。
委託費の使途制限、30%基準等については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが解説】保育園 委託費について経営者が知るべき3つのポイント
監査で指摘された場合、改善が見込まれないと、委託費の減額という大きなペナルティを受ける部分です。正しく理解をして、対応することが必要です。
保育園経営における公定価格(基本分単価・加算)の重要性
上記でもお伝えしたとおり、公定価格は基本分単価と加算項目から構成されています。
基本分単価は、利用している園児の人数から算出することができます。
公定価格の大部分を占めるのはこの基本分単価であるため、正確な人数と標準時間又は短時間どちらの認定区分であるかを把握する必要があります。
また加算項目は、保育士など職員の配置状況や施設の取り組み状況によって取得できる加算が異なります。
同じ規模の施設であっても、保育士を手厚く配置している施設等がより多く公定価格が支給される仕組みとなっています。
その他にも加算項目は様々あります。以下は、公定価格に含まれる加算項目の一覧です。
- 処遇改善等加算Ⅰ
- 処遇改善等加算Ⅱ
- 処遇改善等加算Ⅲ
- 3歳児配置改善加算
- 休日保育加算
- 夜間保育加算
- 減価償却費加算
- 賃借料加算
- チーム保育推進加算
- 副食費徴収免除加算
- 施設長を設置していない場合(調整)
- 土曜日に閉所する場合(調整)
- 定員を恒常的に超過する場合(調整)
- 主任保育士専任加算
- 療育支援加算
- 事務職員雇上費加算
- 冷暖房費加算
- 除雪費加算
- 降灰除去費加算
- 高齢者等活躍促進加算
- 施設機能強化推進費加算
- 小学校接続加算
- 栄養管理加算
- 第三者評価受受審加算
- 4歳以上児配置改善加算(令和6年度より新設)
園を利用している園児の状況も、配置している職員の状況も毎月変動があると思います。
状況にあわせて基本分単価の計算や加算項目が取得できるか、確認が必要です。
続いては「実際に公定価格はどんな風に計算を行うのか?」という計算方法をご紹介します。
子ども・子育て支援新制度における公定価格の計算方法
実は、公定価格は内閣府が公表している試算ソフトを使って計算することができます。
こちらのページです。
外部リンク:子ども・子育て支援新制度における公定価格の試算ソフト(令和4年度版)
この試算ソフトは、施設の利用定員や各加算の適否等を入力することで、公定価格の年間総額等を試算できます。大変便利な試算ソフトですが、年度途中の利用児童の入退所等は反映されないため、注意が必要です。
公定価格の試算において、年度途中の利用児童の考え方は重要です。
年度途中で入所・退所した児童も含めた利用人数で計算をしてしまうと、実際は入所するまでの期間・退所後の期間は公定価格を受け取ることができないため、試算した年間総額と実際の収入額に大きな乖離が発生してしまいます。
ここで「単価表から自園の子ども一人当たりの金額を知りたい!」という方のために、公定価格単価表の見方についてポイントを絞ってお伝えします。
- 定員区分(認可定員・利用定員を設定している施設)
定員区分は、認可定員ではなく、利用定員で確認します。
施設型給付及び地域型給付を受ける施設は、注意が必要です。 - 年齢区分
子どもの年齢区分は、「いつ時点の年齢なのか?」「(注)の意味は?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
年齢区分については、各月初日の子どもの満年齢により区分します。
その上で、年度の初日の前日の満年齢が一つ下の年齢区分に該当する場合には、単価表上(注)として示されている単価が適用されることになります。そのため、年度を通じて同一の単価が適用されることになります。
例えば…5月5日で満4歳となる子どもの場合
4月及び5月 → 年齢区分:「3歳児」の単価を適用(上表赤枠の131,930円)
6月~翌3月 → 年齢区分:「4歳以上児」の単価を適用ただし、年度の初日の前日における満年齢は「3歳」となり、一つ下の年齢区分(3歳児)に該当するため、(注)に記載の単価を適用します。(上表青枠の131,930円)
中小企業診断士:大窪 つまり、保育所ではこの場合、3歳児クラスに在籍している子どもであれば、年度を通して同じ金額となります。
- 加算項目・調整項目
上述したとおり、施設で取得している加算がある場合は、基本分単価に加算金額をプラスしていきます。しかし、例えば保育士が不足していて園長が保育業務を行っている場合などで、施設長を配置していない場合は、基本分単価からマイナスをします。
このように加算項目・調整項目の前に+と-の符号があるので、これを見て足し引きを判断します。
(参考リンク:公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.21))
公定価格の地域区分について
公定価格の地域区分とは?
公定価格は地域区分として、施設の所在する地域(市町村)に応じて8区分に設定されています。
これは、首都圏や都市部など物価が高い地域にある施設に配慮しているためです。
物価が高い地域は、人件費も高くなってしまい、保育園の収支に大きく影響してしまいます。
そしてこの地域区分は、国家公務員の地域手当の支給割合の地域区分と連動しています。
- 国家公務員及び地方公務員の地域手当の支給割合に係る地域区分に準拠する。
- 国家公務員等の地域手当の設定がない市町村について、設定がある市町村に複数隣接し、又は囲まれている場合には、隣接している市町村のうち支給割合が最も近い市町村の地域区分まで引き上げる。
- 国家公務員等の地域手当の設定がある市町村についても、より支給割合の高い市町村に囲まれている場合には、囲んでいる市町村のうち支給割合が最も近い市町村の地域区分まで引き上げる。
(参考リンク:公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.21))
地域区分の他にも、公定価格の加算の一つである冷暖房費加算は、国家公務員の寒冷地手当に関する法律に掲げる地域が対象となっています。
地域区分一覧
地域区分は、20/100、16/100、15/100、12/100、10/100、6/100、3/100、その他地域と8区分にわかれており、分子の数が大きいほど、公定価格の単価は高くなります。
以下の表を見ていただくとわかりますが、東京都特別区などの都市部は一番高い20/100地域と設定されています。
地域区分一覧は、公定価格単価表と同じ資料に掲載がないため、少し分かりづらいかもしれませんが…
公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.23)の73ページに別添1として一覧を確認することができます。
また、加算項目の中の賃借料加算も地域区分によって単価が異なります。
賃借料加算の地域区分については、以下のとおりとなります。
区分 | 都 道 府 県 |
---|---|
a地域 | 埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県 |
b地域 | 静岡県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県 |
c地域 | 宮城県・茨城県・栃木県・群馬県・新潟県・石川県・長野県・愛知県・三重県・ 和歌山県・鳥取県・岡山県・広島県・香川県・福岡県・沖縄県 |
d地域 | 北海道・青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・富山県・福井県・山梨県・ 岐阜県・島根県・山口県・徳島県・愛媛県・高知県・佐賀県・長崎県・熊本県・ 大分県・宮崎県・鹿児島県 |
それぞれの地域で、さらに所在している施設の市町村によって「都市部」と「標準」に区分されます。
都市部とは、前年度の4月1日現在における人口密度が、1,000人/㎢以上の市町村です。
これは、減価償却費加算の地域区分における「都市部」と「標準」の要件と同じです。
実際の公定価格事例(計算例)のご紹介
ここまでは、公定価格の基礎知識、公定価格の計算方法を解説しました。
では、実際に公定価格を計算してみましょう!
- 所 在 地:宮城県仙台市(賃借物件)
- 定 員:計80人(0歳児8人 1歳児12人 2歳児15人 3歳児15人 4歳児15人 5歳児15人)
- 加算項目:処遇改善等加算Ⅰ(加算率19%)、3歳児配置改善加算、賃借料加算、
主任保育士専任加算、冷暖房費加算、栄養管理加算(A) - 令和4年度の単価で試算しています。
- 地域区分
- 基本分単価
地域区分の確認が終わったので、次は公定価格単価表と施設の情報を照らし合わせていきます。6/100地域、定員80人の該当箇所を確認します。
在籍している園児数は定員と同様、全員が標準時間認定を受けているとすると…
基本分単価 計算式0歳児8人×177,090円+1、2歳児27人×107,860円+3歳児15人×51,330円+4、5歳児30人×44,410円=6,431,190円
- 加算項目
続いて、加算項目を計算します。
- 処遇改善等加算Ⅰ
加算率は、在籍する職員の平均経験年数等によって施設ごとに異なります。
参考リンク:施設型給付費等に係る処遇改善等加算について
また処遇改善等加算Ⅰの詳しい解説については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが解説】処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱとは?全体像と手当の実態
関連記事:【令和6年版】処遇改善等加算申請でよくいただく3つの質問に回答します!
この施設の加算率は19%だとすると…
処遇改善等加算Ⅰ 計算式0歳児8人×(1,650円×19)+1、2歳児27人×(960円×19)+3歳児15人×(480円×19)+4、5歳児30人×(420円×19)=1,119,480円
- 3歳児配置改善加算
これは、3歳児の配置基準を20人ではなく15人として計算して算定された必要職員数以上となる場合に取得できる加算です。
3歳児配置改善加算 計算式(基本額6,920円+処遇改善等加算Ⅰ分60×19)×3歳児15人=120,900円
- 賃借料加算
宮城県は「c地域」、仙台市は「都市部」であるため、以下の計算式になります。
賃借料加算 計算式0~5歳児80人×3,800円=304,000円
- 主任保育士専任加算
主任保育士専任加算 計算式(基本額254,750円+処遇改善等加算2,540円×19)÷0~5歳児80人=3,780円
が子どもの単価に加算されるため、3,780円×80人=302,400円
※10円未満端数は切り捨てます。- 冷暖房費加算
冷暖房費加算は1~4級地とその他地域に区分され、国家公務員の寒冷地手当に関する法律に準拠します。宮城県は「その他地域」です。
冷暖房費加算 計算式0~5歳児80人×110円=8,800円
- 栄養管理加算(A)
栄養士管理加算はA~Cまであり、配置している栄養士が専任又は兼務等で単価が異なります。この施設では、専任の栄養士を雇用しているとすると…
栄養管理加算(A) 計算式(基本額76,960円+処遇改善等加算760円×19)÷0~5歳児80人=1,140円
が子どもの単価に加算されるため、1,140円×80人=91,200円
※10円未満端数は切り捨て。 - 処遇改善等加算Ⅰ
- 基本分単価と加算項目を合算
ここまできたら、あともう少しです!
これまで計算してきた単価を合算すると、月額の公定価格が算出されます。基本分単価と加算項目の合計- 基本分単価 :6,431,190円
- 処遇改善等加算Ⅰ :1,119,480円
- 3歳児配置改善加算:120,900円
- 賃借料加算 :304,000円
- 主任保育士専任加算:302,400円
- 冷暖房費加算 :8,800円
- 栄養管理加算(A) :91,200円
月額委託費: 8,377,970円
ようやく、月額委託費を算出することができました!
公的価格はこのように試算することができます。
基本分単価は約640万円、加算項目は約200万円ほどです。やはり加算項目で得られる委託費部分も大きい金額だとわかります。中小企業診断士:大窪 その月の園児数や保育士の配置状況、加算取得状況により委託費は変動します。そのため、年度当初に見込んでいた委託費を受け取れないこともあります。
公定価格単価表や試算シートを活用し、こまめに委託費を試算し、収支計画を立てることが重要です。
(参考リンク:令和4年度公定価格単価表 (施行日):令和4年10月1日)
【令和6年4月2日追記】令和6年度版公定価格について
令和6年3月29日にこども家庭庁より令和6年度の公定価格単価表が更新されました。
また「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」も更新され、新たな加算の追加や、加算の考え方についての追記がありました。
ここでは、主な変更点をご紹介します。
「4歳以上児配置改善加算」の創設
これは76年ぶりの配置基準改善としてニュースにもなっていました。
職員配置の最低基準は改正となりますが、当分の間は経過措置として加算での対応となりました。
この4歳以上児配置改善加算は、4歳以上児25人につき保育士1人を配置している場合に加算が適用されます。
保育士の配置基準については、こちらのブログもご覧くださいませ。
関連記事:【2024年最新版】保育園の保育士 配置基準について経営者が知っておくべき3つのポイント
当社の本店がある宮城県仙台市(6/100地域)の認定こども園(保育認定)の加算額は以下の通りです。
(基本額2,960円+処遇改善等加算+20×加算率)×4歳以上児の人数
しかし、チーム保育加配加算やチーム保育推進加算を取得している場合は 加算の適用は不可ためご注意ください。
「主任保育士専任加算」、「主幹教諭等専任加算」の兼務
保育園や幼稚園で主任保育士、主幹教諭等を保育(指導)計画の立案や地域の子育て支援活動等の業務に専任させるために代替保育士(教員)を配置し、複数の事業を行っている施設は「主任保育士専任加算」「主幹教諭等専任加算」を取得することができます。
上記の要件は定められていましたが、これまで主任保育士や主幹教諭等がクラス担任を兼務することについて明記はされていませんでした。
しかし令和6年度より「クラス担当を兼務することは適切でない」としっかり記載されました。
もし上記の加算を取得していて主任がクラス担任を兼務しているという園がございましたらご留意くださいませ。
認定こども園における「主幹保育教諭等」の考え方
認定こども園の基本分単価には、主幹保育教諭等2人(教育部分で1人、保育部分で1人)を配置するための費用が含まれています。 しかし中には認定こども園の中にも1号をお預かりしていない園や、2・3号園児が少ない場合もあり 「主幹保育教諭等の専任化により子育て支援の取組みを実施していない場合」の減額調整について市町村によって対応が分かれていましたが、国の考えが示されました。
整理して以下にまとめます。
- 主幹保育教諭等とは副園長、教頭及び主幹(保育)教諭、指導(保育)教諭、主任保育士をいう
- 主幹保育教諭等2人又は1人を配置していない場合は「主幹保育教諭等の専任化により子育て支援の取組みを実施していない場合」が減額調整される
(1人しか配置していない場合は、教育か保育の部分どちらか一方が減算される) - 2・3号認定において、1号の定員を設定しているが利用児童がいない場合(「教育標準時間認定子どもの利用定員を設定しない場合」の調整を受けている場合)は、主幹保育教諭等と代替保育教諭はそれぞれ1人ずつ配置していればよい
- 主幹保育教諭等がクラス担任や学級担任を兼務することは適切ではない
この「主幹保育教諭等の専任化により子育て支援の取組みを実施していない場合」の減額調整の考え方については、弊社のお客様の中でも市町村の判断が分かれていた部分でした。今後は国の考えに基づき統一されます。解釈の余地が入らない、よい変更だったと思います。
以上が主な変更点ですが、その他にも小学校接続加算の要件が変更されたり、 より詳細に記載されている部分もございますので、国の資料をご覧くださいませ。
参考リンク:「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」
令和6年度公定価格単価表
令和6年度4月からの公定価格の単価も公開されました。
令和5年12月に公開された令和5年度の公定価格よりも単価が増額されたため、園児の減少がない園では増収が期待されます。
新しい公定価格はこちらからご覧いただけます。
参考リンク:こども家庭庁 公定価格に関する情報
公定価格FAQ|実際に保育園経営者から頂くよくある質問
実際にお客様から頂くよくある質問に回答しています。
【令和5年6月12日追記】
「公定価格に関するFAQ(よくある質問)(ver.22)」(令和5年6月7日時点版)に追加された質問を掲載しました。
【令和5年3月14日追記】
「公定価格に関するFAQ(よくある質問)(ver.21)」(令和5年1月4日時点版)が更新されました。特に重要な箇所を取り上げて説明しています。
- Q災害や感染症が発生し、施設等が臨時休園を行った場合に、施設型給付等の支給はどうなるのでしょうか。
- A
災害や感染症が発生し、臨時休園等を行った場合においても、教育・保育の提供体制を維持するため通常通り給付費を支給します。各種加算や加減調整・乗除調整の取扱いについては、その影響を除いた通常の状態に基づいて適用を判断します。
なお、通常どおり給付を行い、施設の収入を保証することとしていることから、人件費の支出についても、これを踏まえて適切にご対応いただくべきと考えております。
- Q平均経験年数の算定に当たり、職員の勤続年数の確認はどのような書類で行うべきか。
- A
平均経験年数の算定に当たり、個々の職員の勤続年数の確認に必要な書類については、国として一律の証明書を求めるものではありません。職歴証明書、雇用保険加入履歴や年金加入記録など、加算認定申請書に記載された職歴が把握・推認される資料等によって算定することが考えられます(職歴証明書によらず、雇用保険加入履歴や年金加入記録などから推認する場合は、労働条件通知書等もあわせて確認することが考えられます。)。
また、記載事項としては、事業所名、職種(保育士、調理員等)、雇用形態(常勤、非常勤等)、勤務時間、雇用期間など、「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和2年7月30日付け通知)(以下「処遇改善等加算通知」という。)第4の1の内容が確認できるような項目が考えられます。
(出典:公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.21))
太字部分が令和5年1月4日付けで修正されました。処遇改善等加算IIIが増えたことに伴い、通知が一部改正となり、通知文名も変更となりました。ここで示されている第4の1の内容については、改正等はありません。
処遇改善等加算Ⅰの全体像を把握したい方はこちらの記事をご覧ください。
参考記事:【プロが解説】処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱとは?全体像と手当の実態
- Q処遇改善等加算Ⅲの加算額については、どのように計算すればいいのか。
- A
【令和5年度】
令和5年度より、処遇改善等加算Ⅲの算定方法が変更となりました。
令和5年度の公定価格表では、以下のように記載があります。処遇改善等加算Ⅲ(保育所)11,000 × 加算Ⅲ算定対象人数 ÷ 各月初日の利用子ども数
加算Ⅲ算定対象人数の算定方法は、「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」に記載されています。
詳しくはこちらをご確認ください。
参考記事:【令和6年最新版】処遇改善等加算Ⅲのポイントを5分でわかりやすく解説|月額9000円の賃上げ
【令和4年度】
加算Ⅲの加算額については、以下により計算します。なお、認定区分ごとに算定された加算額は、年齢区分に関わらず同額となります。
※計算の結果10円未満の端数が生じた場合は切り捨て
【教育標準時間認定の場合】
(年齢区分ごとの「別に定める額×平均利用子ども数」により算定した額を合算して得た額)
÷ 各月初日の教育標準時間認定を受けた利用子ども数
【保育認定の場合】
(年齢区分ごとの「別に定める額×平均利用子ども数」により算定した額を合算して得た額)
÷ 各月初日の保育認定を受けた利用子ども数
(出典:公定価格に関するFAQ(よくある質問)(Ver.21))
「年齢区分ごとの別に定める額」とは、公定価格単価表の最終頁に以下のように記載されています。
(出典:令和4年度公定価格単価表 (施行日):令和5年2月20日)
- Q公定価格の中で、人件費の割合は決まっているのでしょうか? 自園の人件費率が、適正かどうか悩んでいます。
- A
決まっています。公定価格は市町村から委託費と支給されることから、使用の範囲が定められています。基本分単価の内訳は、事務費(人件費、管理費) + 事業費で構成されており、人件費も基準額が定められています。
ただし、人件費として想定されている金額を、そのまま現場の先生方に支払わなければ罰則がある、ということではありません。こちらの記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
関連記事:【プロが解説】保育園 委託費について経営者が知るべき3つのポイント
- Q公定価格の加算をすべて取得できているか、検討したいのですが…。どのようにすれば、現在の加算項目が適正かどうかを確認出来るでしょうか?
- A
公定価格の加算項目一つをとっても、取得するかしないかで収入額が大きく変わってきます。
また、加算項目それぞれに取得できる要件が複数あり、月ごとに運営状況も変わってくるため、最適な申請ができているのか、頭を悩ませている経営者の方も多いと思います。
当社(株式会社 いちたす)では、園の置かれている状況によって、どの加算を取ることができるのか、最適な申請となっているかを確認しております。また、補助金についても同時に確認し、貴園での最適な園運営を支援いたします。
- Q自分で保育園の委託費を試算してみたのですが、実績額と乖離しています。なぜでしょうか?
- A
原因は様々なことが考えられますが…。
例えば地域区分が間違っていたり、取得できると思っていた加算が要件を満たしておらず取得できていなかったり、処遇改善等加算の加算率を間違って算出していたり…。公定価格は複数の情報が紐づいており、どれか一つでも間違っていると正確な試算ができません。
当社では、保育園・幼稚園・こども園等の委託費・給付費の確認の他、園を経営していくうえで必要な運営・会計の知識を学んでいただける経営者向けのトレーニングなど、幅広いサービスをご用意しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
保育園・こども園・幼稚園経営でお悩みなら幼児教育・保育業界専門の経営コンサルティングいちたすへ
本記事では、公定価格について詳しく説明していますが、保育園を運営するうえで、お困りのことがありましたら、株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
いちたすについて
株式会社 いちたすでは、保育園の経営者の皆様に対して、運営・財務・経営に関するコンサルティングを専業で行っています。
会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、園のバックオフィス業務、書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。
会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない、というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、委託費(施設型給付費)の加算の取りこぼしがないか、処遇改善をどのように取り入れていけばよいかなどを確認する相談契約もございます。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも出来ます。
料金プラン
株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。
たとえば顧問(相談)契約、コンサルティング契約は
で承っております。
依頼の流れ
お問合せフォームかinfo@ichitasu.co.jp宛にメールをお送りください。
詳しい内容をお伺いいたします。
その後は、
- 当社の担当者が園にお伺いする
- 当社事務所(仙台市一番町)にお越しいただく
- Zoomなどを利用してオンラインで打ち合わせをする
といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。
園によって状況は様々ですが、
など、ご要望に合わせてご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。