本記事では、2024年度から企業主導型保育事業で導入される「公金管理システム(通称ピムス)」について解説しました。

これまで児童育成協会では、助成金申請に「電子申請システム」を使用していましたが、2024年度からは「公金管理システム(通称ピムス)」という新システムが導入されます。

公金管理システム(通称ピムス)は、アクセス集中に強くなったり、リアルタイムで入力が可能になる等、申請業務の効率化が期待されています。一方で、

  • 新しいシステムに付いていけない…
  • 忙しくてマニュアルをじっくり読む時間がない…
  • 公金管理システム(通称ピムス)って結局どうすればいいの?

という方もいらっしゃると思います。
本記事を読めば、公金管理システム(通称ピムス)についての基礎知識やできるようになること、施設で一番初めに行う対応が分かります。

中小企業診断士:大窪

新システムでは利便性が向上しますが、移行に伴い一時的に負担が増えることもあります。弊社では、実際に企業主導型保育事業の助成金申請業務をご支援しておりますので、これを機に、助成金申請業務が負担になっている、申請担当者が退職してしまった、といったお困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

企業主導型保育園の全体像について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:【プロが解説】企業主導型 保育園について5分でわかりやすく解説

公金管理システム(ピムス)の基礎知識

公金管理システム(ピムス)の基礎知識の説明画像

公金管理システムは、英語の頭文字を取ってピムスと呼ばれています。

通称ピムス

「公金管理システム」=Public Money Management System=PMMS=「ピムス」

ここでは、「公金管理システム(通称ピムス)」の基礎知識について解説します。

公金管理システム(ピムス)とは

公金管理システム(ピムス)の対象施設は、企業主導型保育施設です。

企業主導型保育事業の実施主体である児童育成協会は、これまで助成金申請等に「電子申請システム」を使用していました。しかし事業者の増加によるサーバー障害の発生等の課題を解決するため、新システムへ移行することになりました。

児童育成協会は、2023年1月に新システムへの移行を発表しておりましたが、開発遅延の影響で2024年から「公金管理システム(通称ピムス)」が始動することとなりました。

公金管理システム(ピムス)を簡単に分かりやすく解説

公金管理システム(ピムス)は、簡単に言うと、企業主導型保育事業で助成金の月次報告、事業計画申請、運営費実績報告等を行っていた「電子申請システム」が更にパワーアップした新しいシステムです。

リアルタイム入力等、できることが増えますが、公金管理システム(ピムス)で行うことは、基本的には「電子申請システム」と変わりありません。これまで「電子申請システム」で行っていた申請業務を「公金管理システム(ピムス)」で行います

これまで使用していた「電子申請システム」は単年度管理型申請業務機能特化していました。企業主導型保育事業で「電子申請システム」の入力担当をされていた方は心当たりがあると思いますが、年度が変わると一から在籍児童の情報を入力する必要があったり、毎月の月次申請で子ども・職員の情報が引き継がれるのは前月の内容だけでした。

しかし新しい「公金管理システム(通称ピムス)」では、基礎情報として子ども・職員の情報をリアルタイムで登録・更新することができ、月次報告の際に一から入力する必要がありません。その他にも、ピムスに対応している保育ICTであれば、児童の出欠情報を取り込むことができる等、申請時の業務量削減されます。

(出典:児童育成協会 公金管理システムのご案内

公金管理システム(ピムス)が出来た理由

公金管理システム(ピムス)が導入される理由は以下の5つの課題を解決するためです。

電子申請システムの5つの課題
  • 事業者の増加(申請数増加により処理機能が限界に)
  • 入力項目の増加(加算項目増加による入力項目・書類添付作業の負担増)
  • サーバーの容量(システム利用者増加に伴うサーバー障害)
  • アクセス集中による業務遅延(月末から翌月10日までという時間的制約による業務遅延)
  • 手計算が多い(出欠席日数、延長時間等の手計算入力による申請業務負担)

企業主導型保育事業の施設定員は、開設当初である2017年の2万人から2023年現在は11万人弱まで増加しており、アクセス集中が原因でサーバーがダウンしてしまうことも多々ありました。また、処遇改善等加算Ⅲや医療的ケア児保育支援加算等、年々加算項目が増えることに比例し、入力項目や証明書類の添付作業も増え、申請入力業務が煩雑になっていました。

上記の課題を解決するために開発された新しいシステムである公金管理システム(ピムス)は、アクセス集中を想定したシステム設計がなされており、システムダウンがしにくいという特徴があります。
煩雑になっていた申請業務も、リアルタイム入力自動計算機能が備わることで、業務時間削減が期待されています。

公金管理システム(ピムス)導入の為保育園で必要な対応

公金管理システム(ピムス)導入の為保育園で必要な対応の説明画像

ここからは、公金管理システム(ピムス)始動に向けて、企業主導型保育施設で必要な対応について説明します。

①ピムスにログインする

ピムスログイン画面は、企業主導型保育事業ポータルサイトのトップページにあります。

公金管理システム(ピムス)のログイン画面の説明画像
企業主導型保育事業ポータルサイト

ピムスにログインするためには、「企業ユーザID]と「パスワード」の設定が必要です。

ピムスのログインに必要な情報
  • 企業ユーザID…電子申請システムの「ログインID」(メールアドレス)と同じ。
  • パスワード…新規設定が必要。ログイン画面の
          [パスワードをお忘れの場合はこちら(パスワード再登録)]から設定を行う。
          詳細は、スタートアップガイドを参照。

②2024年度事業計画申請を行う

2024年度の事業計画申請は公金管理システム(ピムス)で行います。
申請期間は、2024年1月22日(月)~2月5日(月)です。

また、マスタの内容が事業計画申請に連携されるため、事業計画申請の前までに「企業情報マスタ」「保育施設情報マスタ」が誤っていないか確認を行います。

企業情報マスタの確認方法は、こちらのマニュアルからご確認ください。
参考URL:児童育成協会 企業主導型保育事業公金管理システム(ピムス)利用マニュアル 第5章

③移行データの確認・補完・修正

電子申請システムの2023年12月22日時点のデータは、ピムスに移行されているため、必要なデータを一からすべて手入力する必要はありません。

電子申請システムピムスでの移行先
ログインID企業ユーザID
企業情報企業情報マスタ
事業計画申請の一部保育施設情報マスタ
月次報告の一部※共同利用企業マスタ
月次報告の一部※利用児童マスタ
月次報告の一部※職員マスタ
引用:児童育成協会 企業主導型保育事業公金管理システム(ピムス)利用マニュアル 第4章

※月次報告については、2023年12月22日時点で承認されている最新の月の児童表・職員表が反映されるため、注意が必要です(主に2023年10月の月次報告)。

2024年1月~3月に行うこと

2023年度のマスタ情報の整備を行います。※月次報告、年度・完了報告に必要なため

  1. 移行データ(10月月次報告分)を確認し、修正・補完
  2. 2023年11月~3月の月次報告(実態)を入力
    ※児童の入退所、職員の採用退職等の情報を入力する
  3. 2023年4月~9月の月次報告分を入力
    ※9月までに退所した児童、退職した職員等の情報を入力する

移行データの確認・補完・修正について詳細はこちらのマニュアルをご覧いただけますと幸いです。
参考URL:児童育成協会 企業主導型保育事業公金管理システム(ピムス)利用マニュアル 第4章
     児童育成協会 企業主導型保育事業公金管理システム(ピムス)利用マニュアル 第9章

公金管理システム(ピムス)のメリット・デメリット

公金管理システム(ピムス)のメリット・デメリットの説明画像

公金管理システム(ピムス)について、理解が深まったところで、ピムスのメリット、デメリットはどういった点でしょうか?まずはメリットから確認していきます。

メリット

公金管理システム(ピムス)のメリットは、何と言っても業務効率化! と言えます。
できる機能が増えることで、申請業務の手間が省けることが期待できます。

公金管理システム(ピムス)のメリット
  • 入力時のタイムアウトが延長(15分→60分)
  • マスタ管理機能(4月以降の月次報告や概算交付申請時のデータ連携が可能)
  • リアルタイム入力が可能(月次報告の開始日を待つ必要がない、申請時の業務量が軽減される)
  • 自動入力(出欠日数や延長保育の利用時間、職員の常勤換算が自動計算できる)
  • アクセス集中に強いシステム設計(システムダウンしにくい)

申請業務の効率化の他にも、公金管理システム(ピムス)は膨大なデータを蓄積することができます。企業主導型保育事業を利用する約11万人分の保育データをいち早く分析することで、より充実した保育行政実現への活用が期待されています。

中小企業診断士:大窪

弊社も、企業主導型保育事業の助成金申請のお手伝いをしております。実際に事業計画申請の際にピムスで申請も行いました。電子申請システムだと、これまでPDFデータしか添付できませんでしたが、Excelデータでも添付することができました!些細なことですが、使いやすくなったことを実感しました。

デメリット

それでは、公金管理システム(ピムス)のデメリットはどんなことがあるでしょうか?
公金管理システム(ピムス)に限ったことではありませんが、新しいシステムを導入する際に、一時的に手間が増えることもあります。

公金管理システム(ピムス)のデメリット
  • 新システムの操作方法を理解するのに時間がかかる
  • 移行データの確認・情報補完・修正を行う必要がある
  • 全国の企業主導型保育事業が新システムに移行するため、トラブルがあった際の問い合わせ返答が
    時間がかかる場合がある

公金管理システム(ピムス)は、業務効率化を目的に作られたシステムであるため、基本的には申請業務担当者の業務負担の軽減に繋がることが期待されます。一方で、操作に慣れるまでに時間がかかったり、入力時に予期しないエラーが起こる可能性もあります。申請期間に余裕を持って、入力作業を行うことをおすすめします。

公金管理システム(ピムス)のについてよくあるご質問

公金管理システム(ピムス)のについてよくあるご質問の説明画像

ここでは、公金管理システム(ピムス)のについて、企業主導型保育事業の経営者様からよくいただく質問に回答いたします。

Q
公金管理システム(ピムス)の導入が必要な施設の種類を教えて下さい。
A

公金管理システム(ピムス)は、児童育成協会が実施主体の企業主導型保育事業で導入されます。そのため、企業主導型保育施設で対応が必要となります。

Q
公金管理システム(ピムス)は全ての園が導入しなければなりませんか?
A

公金管理システム(ピムス)は、企業主導型保育事業で導入されます。企業主導型保育事業の助成金申請は、公金管理システム(ピムス)で行われるため、企業主導型保育事業の全ての施設で対応する必要があります。

Q
公益財団法人児童育成協会の企業主導型保育事業 公金管理システム(ピムス)問合せの電話がなかなかつながらずどうすれば良いか分かりません…
A

導入当初は、電話が混みあうことが予想されます。お問い合わせの内容は、よくあるご質問(FAQ)に掲載されていないでしょうか?電話でお問い合わせする場合は、こちらの通知をご確認ください。また、お問い合わせフォームも利用することが可能です。

参考URL:児童育成協会 企業主導型保育事業 公金管理システム(ピムス)電話によるお問合せについて

Q
令和5年に開始予定だったと思うのですが令和6年からのスタートに遅延した理由は何ですか?
A

公金管理システム(ピムス)は、最終段階で開発作業が難航しました。年度途中の移行は混乱を招くため、令和6年度からのスタートとなりました。

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株式会社 いちたすでは、企業主導型保育園の経営者の皆様に対して、経営・運営・財務に関するコンサルティングを専業で行っています。

会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、企業主導型保育園のバックオフィス業務書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。

「会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない」というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、

  • 助成金(運営費助成金)の加算が適正に申請されているか
  • 処遇改善をどのように取り入れていけばよい

などのお悩みに対してご支援・コンサルティングを行う顧問(相談)契約もあります。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも可能です。

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たとえば相談契約、コンサルティング契約ですと

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