企業主導型保育事業の予算が340億円も削減!?第55回 子ども・子育て会議について(1)

こんにちは! 株式会社 いちたすの大窪 浩太です。

先日、第55回の子ども・子育て会議の議事次第と配布資料が公開されました。
(参考URL:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_55/index.html)

配布資料の中に、子ども・子育て支援新制度に係る令和3年度の予算案があります。
子ども・子育て支援新制度の着実な実施として、予算額が付けられています。総額3兆2,052億円。
…とてつもない金額ですが、この予算の中から、皆様の園に給付費として給付されることになります。

幼稚園・保育園・こども園は、当たり前ですが、税金が大きく投入されている事業です。
仕方がないことではありますが税金で運営されているという性質上、国の方針に左右されてしまうという面があります…。
なにも準備をしていなければ、ただただ、国の方針に振り回されて、後手後手に回ってしまいます。
(給付費に振り回されない園独自の徴収金を増やす方策を考える、という方向性ももちろん大事ですが、公共性が高い事業なので、うまく国の方針を活用していけると良いですよね)

ニュースなどを見ていると、菅総理が令和6年度末までに14万人分の保育の受け皿を整備しようとしている、というインパクトのある数字が目立ちますが、具体的な概要は「新子育て安心プランについて」としてまとめられています。

令和2年度の1月上旬時点で、すでに令和3年度の予算案については公開されています。
せっかく公開されている情報を活用しないのはもったいないので、3か月後の令和3年度に向けて、公開されている事業を活用していきましょう!

とはいえ、55回子ども・子育て会議の配布資料を確認しても、情報量の多さに圧倒されかねません。
そこで、今回から4回に分けて、配布資料の中でも気になる資料の中で、私(大窪 浩太)が独断と偏見で気になる箇所をまとめてみようと思います。

取り上げる資料については、以下を予定しています。

第1回 資料1 令和3年度における子ども・子育て支援新制度に関する予算案の状況について
第2回 資料3 新子育て安心プランについて
第3回 参考資料1 全世代型社会保障改革の方針
第4回 参考資料4 委員提出資料

本日は、第1回【資料1 令和3年度における子ども・子育て支援新制度に関する予算案の状況について】を見ていこうと思います!

注目したい箇所について、無理やり3つにまとめました!

①企業主導型保育事業が340億円削減!?
企業主導型保育事業の予算が令和2年度の2,269億円から令和3年度は1,929億円に削減されています(ちなみに令和元年度は2,016億円)。

企業主導型保育事業、
令和2年12月に会計検査院からいろいろと指摘を受けていたりで問題が多い事業ではありますが…。
令和2年の4月20日から始まった新規募集については、コロナで児童育成協会の対応がころころ変わり、振り回された方も多いと思います。

令和2年度の募集では、新たに2万人程度の新規募集枠が設けられています。

新たに2万人の新規枠が増えるのに、予算は令和2年度の2,269億円から令和3年度は1,929億円に削減。
…うん? どういうこと?
となりました。

令和2年度の募集については、改修であれば令和2年度中の開園が新規施設建築の場合は、
令和3年度からの開園が求められていました。
(内示が出るのが遅かったので、いつから運営を開始するのかについては、緩くなってはいますが…)

素直に考えると、各園が何月から開園するかはともかくとして、
令和3年度からはこれまでの事業者に加えて新たに2万人分の枠が増えているはずです。

ちなみに、令和2年7月1日現在の定員充足率が公開されていますが、
定員数78,697人、現員数53,247人となっています。
(参考URL:https://www.kigyounaihoiku.jp/info/20201016-01

もともと約8万人だったところに、新たに2万人増えるわけですから、
ものすごく単純に考えると25%は予算が増えていないとおかしい計算になります。
令和3年度当初から定員が25%増えるはずはありますので、25%は増えないにしてもある程度は予算を増やしておかないと、助成金が支出できなくなります。

…なのに、予算額は2,269億円から1,929億円に340億円も減額。
なんで?
補正で追加する予定なのだとは思いますが、補正額如何によっては、当初予算って何の意味もないものだな、となってしまいます。

当社のお客様には、幼稚園・保育園・こども園・小規模保育事業・企業主導型保育事業など、
すべて国民の血税が投入されている事業なので、1円も無駄にしてはいけないという心構えが大切ですし、予算管理もしっかりと行って、園運営を行っていきましょう! とお伝えしていますが…。
国が予算をいい加減に作成しているとなると…。

現時点では、どのようになるかまだよくわからない状況ですが、今後も引き続き注目していく必要がありそうです。

※解釈が間違っているのかと思い、企業主導型を実施している児童育成協会の令和2年度予算、令和元年度決算報告を確認しましたが、
令和元年度実績 企業主導型保育助成事業 1,712億円
令和2年度予算 企業主導型保育助成事業 2,289億円
でしたので、間違えてはいないかと。
(令和2年度の予算額が20億円違っていましたが…)
(参考URL:https://www.kodomono-shiro.or.jp/about#a7)

②病児保育事業の基本単価を引上げ
続いては、病児保育事業です。
病児保育といえば、令和2年の会計検査院の調査で、企業主導型保育事業の病児保育について、審査や指導が適切に行われていない、として会計検査院から内閣府に改善要望が上げられました。

その後、企業主導型保育事業の令和2年度の新規募集では、病児保育事業と一時預かり事業には、当初の予定になかった事業計画書・実施計画書の作成が求められています。

印象として、病児保育に逆風が吹いているなーと思っていました。特に不正受給につながってしまった「基本単価(利用園児数に関わらず、事業を行っているということで受け取れる金額)」については、大幅に減額されるか、そもそも基本単価という考え方がなくなってしまうのでは、と思っていました。

ですが、令和3年度の予算案では、「地域子ども・子育て支援事業」の充実事項として

◇病児保育事業
 ・補助単価について、新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえつつ、提供体制を安定的に確保するため、利用児童数の変動によらない基本単価を引上げ

参考URL:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_55/pdf/s1.pdf 
資料1 令和3年度における子ども・子育て支援新制度に関する予算案の状況について P3


とあります。
…基本単価を引き上げるようです。

【企業主導型保育事業の病児保育】と【病児保育事業】はまったく違う事業ではありますが、病児保育事業の内容が、企業主導型の病児保育にも反映されてくるかと思いますので…。
国としては、病児保育事業をしっかり残していこうと考えているようです。
(こちらについては、病児保育事業単体でどれだけの予算を取る予定かは記載されていません)

③公定価格の人件費部分が減額!
これ、驚きました。
参考資料として付いている資料に【令和2年度国家公務員給与改定に伴う公定価格の人件費改定について】という資料がありますが、直近で一番影響が大きいのはここです。

公定価格の人件費については、国家公務員の給与に準じて算定されていますので、人事院勧告によって国家公務員の給与が改定されると、公定価格の基本単価も改定されてきました。

みなさま、処遇改善等加算Ⅰの申請の際に悩まされてきた項目だと思います。

これまでは、国家公務員の給与は上がってきていましたので、毎年3月末などに一時金として無理やり増額分を職員の方に支給されていたかと思います。

それが、令和2年の人事院勧告では、国家公務員の給与が
①月例給は据え置き
②期末手当の引下げ(▲0.05月分)
となりました。

コロナウイルスの影響で、国家公務員の冬のボーナスが下がった、とニュースになりましたよね。
その影響が、公定価格にどのように反映されるのか、気に掛かってはいましたが…。

結論から言うと、公定価格から減額されます。単価表が、また改定されます。
具体的な金額ではありませんが、予算上の常勤の保育士、幼稚園教諭等に係る年額人件費が▲0.3%程度とされています。

この部分については、職員の方の人件費部分なので、これまでは増額改定された金額については、しっかりと職員の給与として支給する必要がありました。
所轄庁の監査でも、確認されてきたかと思います。

では、令和2年度は?

まだ詳しくは書かれていませんが、
これまでは、「人件費部分が増額される→増額分人件費として支払う」でした。

それが、人件費部分が減額されますので、
人件費部分が減額される→減額分人件費として職員から徴収すると、
機械的に行うのであればなるのでしょうが…。

無茶苦茶だなーと思います。

百歩譲って、冬の賞与を支払うまでに減額の金額などが確定していれば、冬の賞与で調整できますし、国家公務員の賞与が減額されたとニュースになりましたので、職員の方の納得感も違ってくると思いますが…。

乱暴な計算をすると、年収300万円の方でいうと、0.3%は9,000円。

現実的に、職員の方から、公定価格の単価が下がったから、ということで、約1万円を徴収できるでしょうか…?

給与から差し引きする、というのも人件費の削減、と考えると項目が悩ましいですし、妥当な方法としては、
 ①3月の一時金で調整
 ②公定価格減額分を職員に負担させず、園で負担

のどちらかなのかな、と考えます。

現金で徴収する、という方法もあるのでしょうが、有資格者確保が難しい現状、良い選択とは思えません。

ただ、賞与の支払い方法として、年3回、夏・冬・期末で支払う予定にしていたところは調整が可能ですが、通常は、夏・冬の賞与しか想定していない、というところでは対応できません。

国の方針としても、保育士の待遇改善! という大きな方向性があったので、悩ましい決断だったのだとは思いますが…。

今回、公定価格内の人件費部分が下がったということは、大きなことだと考えています。
今後、処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ、また公定価格の単価引き下げも、今回の様に、しれっと行われてしまう可能性が高い、ということがわかりました。

さしあたっては、令和2年度公定価格の人件費部分の単価減について、どのような対応を取るかですが、長期的には、公定価格が引き下げられることも視野に入れて園運営を検討していくことが必要になります。

明日以降も、第55回子ども・子育て会議の資料を読み解いていきます!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

株式会社 いちたす
大窪浩太
この記事についてのお問い合わせは
info@ichitasu.co.jp

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