この度、弊社代表取締役の大窪由衣が、2025年9月11日(木)にTBSテレビの「THE TIME,」に、幼児教育・保育業界の専門家として出演いたしました。
「THE TIME,」は、安住紳一郎アナウンサーが総合司会をされており、TBSテレビの朝の人気情報番組です。
番組では、保育園の倒産が過去最多となっているニュースの背景や、東京都や神奈川県にある園の取り組みについて取り上げられました。放送を見逃した方にもニュースの内容がわかるよう、本記事で詳しくまとめております。ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。

ABEMA PRIMEでの「保育の2025年問題」特集に続き、複数のメディアから取材のご依頼をいただきました。待機児童問題の解決後、幼保業界が直面している新たな課題は、世間の皆様にとっても関心の高いテーマであることを改めて実感しました。これからも私たちは、業界の専門家として、社会全体に幼保業界の現状を正しく、わかりやすく伝えていきたいと考えています。「明るい未来は子どもから」をビジョンに、今後も積極的に情報発信を続けてまいります。
出演コーナー:「おっかけTIME」

出演したのは、過去に話題となった問題の“今”を深掘りするコーナーです。
かつての社会問題であった「待機児童問題」が解消に向かう一方で、その実態は「園児定員割れによる経営難」や「保育士不足」といった、より深刻な別の問題に形を変えて浮上している現状を解説いたしました。
番組では、代表取締役社長の大窪が、待機児童問題解決後の幼保業界の現状を専門家の視点から分析。特に、少子化が直接的な原因となる「園児の定員割れ」が、多くの園の経営を圧迫している実態と、閉園によって引き起こされる「保護者への影響」という負の連鎖について、紹介いたしました。
この問題は、単なる経営問題に留まらず、子どもたちへの保育・教育の質の低下にも直結する、社会全体で取り組むべき喫緊の課題であることを伝えました。
待機児童問題の「その先」に見える新たな課題
ここからは、朝の人気情報番組「THE TIME,」の過去に話題となった問題の“今”を深掘りするコーナー「おっかけTIME」で取り扱われた「保育の2025年問題」についてご紹介します。
ポイント1:財政難で倒産最多

2017年に26,081人とピークを迎えた待機児童数は、8年連続で減少し、2025年には過去最少の2,254人を記録しました。およそ9割の自治体で待機児童が解消されたことは、喜ばしい成果であると同時に、社会全体で取り組んだ課題が解決へと向かった証でもあります。
しかし、この数字の裏側では、別の深刻な問題が浮上しています。それは、「待機児童問題の解消」が引き起こした「園児定員割れ」と、それに伴う財政難です。
弊社(株式会社いちたす)の代表取締役の大窪が幼児教育・保育業界の専門家として解説しました。


待機児童解消のために保育施設を増やしたものの、想定以上に少子化が進んでしまって収入の元となる園児が集まらず運営を継続していることが難しくなっています。
このまま「保育の2025年問題」が進行した場合、保育業界の経営者だけでなく、社会全体に影響を及ぼすことになります。


閉園して選択肢が少なくなってしまうと、自分の子どもにあった保育園が減ってしまうことになりますし、保護者が望むような保育の質が得られなくなるのでは、と危惧しています。
いちたすが考える「保育園倒産」については、こちらの記事でより詳しく解説しておりますので、よろしければご覧くださいませ。
ポイント2:園児の獲得競争激化

続いて、TBSテレビ「THE TIME,」では、保育園同士で園児の獲得競争が激化していることについて取り上げられました。番組では、保育園はもはや「待つ時代」から「選ぶ時代」へと変化していると指摘されました。
取材を受けていた東京都葛飾区の園では、4月時点で0歳児に空きが出ていたそうです。
東京都葛飾区の幼保業界における現況をまとめました。
年 (4.1時点) | 2015年 | 2016年 | … | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
---|---|---|---|---|---|---|
乳幼児人口 | 21,995人 | 22,025人 | … | 19,161人 | 18,507人 | 18,188人 |
待機児童数 | 252人 | 106人 | … | 0人 | 0人 | 0人 |
(出典:東京都葛飾区 令和7年度葛飾区の現況について、平成31年度葛飾区の現況について)
0~5歳児までの乳幼児人口は、2017年までは増加傾向にあったものの、2018年から減少し、ついに2022年からは2万人を切っています。一方、待機児童は2021年から5年連続で0人を記録しています。
葛飾区では2020年度までは「待機児童緊急対策事業」の名で需要の高い1歳児の受入れを拡大する「⼀歳児等受入事業」を行っていますが、その利用者数も徐々に減少傾向にあります。
このような状況の中、前述の葛飾区にある園では、カリキュラムで他の園との差別化をしていると言います。
空手教室を費用無料で園のプログラムに取り入れており、保護者からは「保育園でなければできない貴重な経験」と好評です。
他にも、英会話スクールの実施やスイミングスクールへの送迎も無料で行っているそうです。

子どもが集まらない園は淘汰されていく時代が来ると思う。選ばれる園を目標に、他の園と比べて差のつくことをやらないといけない。
かつての待機児童問題の解決に向け、保育施設の数は大幅に増加しました。しかし、少子化が同時に進行している現在、多くの園が「園児確保」という新たな課題に直面しています。
もはや「預けたい人が待っている」時代は終わり、「保護者が園を選ぶ」時代へとシフトしています。
この流れの中で、他園にはない「自園独自の強み」を発揮していくことが、経営を継続していく上で不可欠となっています。
ただ、最近では英語教室や体操教室といった特別なプログラムに力を入れている園も多く、「うちの園だけが特別」とアピールすることが難しくなっているのが現状です。そこで重要になってくるのは、法人の理念やブランディングとの一貫性です。
詳しくはこちらの記事で解説しておりますので、ご興味のある方はご一読いただけますと幸いです。

葛飾区では、2025年1月よりモデル事業として、複数の保育施設へのバス送迎を行う「送迎保育ステーション」を行っています。このような事業を活用して、保護者のニーズに応えるのも園の魅力の一つになりますね。
ポイント3:保育士不足

さらに、閉園の要因の一つとなっているのが保育士不足です。園児数が減少しているにもかかわらず、多くの園で「保育士不足」が深刻な問題となっています。
「園児が少ないなら、保育士が余るのでは?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、社会全体での人口減少は、保育士にも影響を及ぼしています。保育士資格を持ちながらも、より待遇の良い他業種へ流出してしまうケースが増えており、保育士の採用は依然として困難な状況が続いているのです。
その保育士不足を解消するため、新たな対策としてスキマバイトアプリを経由して期間限定で働くスポット保育士を活用している園が紹介されました。
これまでに100人のスポット保育士を活用し、中には正規の雇用につながったケースもあると言います。

なんとかその日の保育士を確保するために、あの手この手で保育士確保を進めているところ。
スポット保育士の活用について保護者は次のように話しています。

スポット保育士だと、中々面識が持てない部分もあると思うが、人手不足で危ないことが起こるよりは資格がある方に来てもらった方が安心。
スポット保育士の活用は、単に人手不足を補うだけではありません。私たちは、入社後のミスマッチを防ぐための「インターン制度」として捉えることも有効だと考えています。
なぜなら、園独自の保育理論や日々の細やかな業務を、短期間で完璧に習得し、即戦力として活躍してもらうことは容易ではないからです。
保育士不足の要因や、スポット保育士や外国人保育士の活用については、こちらの記事で更に深堀しております。よろしければご覧くださいませ。
まとめ

2025年9月11日(木)、当社の代表取締役である大窪由衣が、TBSテレビ「THE TIME,」の人気コーナー「おっかけTIME」に、幼児教育・保育業界の専門家として出演いたしました。
番組では、かつて大きな社会問題であった「待機児童問題」が解消に向かう一方で、その裏側で深刻化している新たな課題について解説。「園児定員割れによる経営難」や「保育士不足」が、業界の未来を脅かす新たな問題として浮上している現状をお伝えしました。
もし貴園が、園児募集や採用、経営の安定化など、何かしらの課題に直面しているようでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。専門のコンサルタントが、貴園の状況に合わせて最適な解決策をご提案いたします。
また、社会全体でこの問題への理解を深めるため、取材のご依頼も積極的に受け付けております。以下のフォームより、お気軽にご連絡ください。