近年、「おしゃれな保育園」へのニーズが高まっています。

これまでは利用定員より子どもの人数が多かったのですが、待機児童がだんだんと解消傾向になり、利用定員よりも子どもの人数が少なくなってきました。

そのため、保護者が保育園を選べるようになり、サービス性機能性といった観点も重要視されています。
競争優位性を確立するための差別化戦略の重要性が増しています。

本記事では保育業界のプロが選んだ「おしゃれな保育園」の実例5選と選ばれる園づくりの秘策についてお伝えします。

中小企業診断士:大窪 浩太

関西の税理士法人にて公益法人に対して決算・申告書作成、財務コンサルティングを担当。 2017年、同税理士法人の仙台支店に転勤。 2019年7月に税理士法人を退職後、株式会社いちたすに参画。
得意分野:幼稚園・保育園・認定こども園の経営・財務コンサルティング。 少子化がますます進む東北で、今後数十年、安定して運営していける園づくりの支援を行う。 新規園の設立や代表者の代替わりなどの際は、法人に入り込んで、伴走型の支援を行うこともある。
宮城県中小企業診断協会所属

「おしゃれな保育園」とは?

「おしゃれな保育園」とは?についての説明画像

「おしゃれな保育園」と聞くと、どのような保育園が思い浮かびましたか?
ここでは「おしゃれな保育園」の定義を確認していきます。

ターゲット層に合わせた「おしゃれ」の定義

ここでお伝えしたいのは、ただ外観(園舎)だけを見て「おしゃれだから子どもを通わせたい!」と思う保護者の方は、そう多くないということです。

最近ではインターネットやSNSの普及により、様々な「おしゃれ」についての情報を得ることができます。また、広報に力を入れている幼保施設も多いため、園が目指している理念はもちろん、安全性サービス性機能性といった情報も保護者は近隣の園と比較することができます。

そのため幼保施設のターゲット層となりうる保護者は、外観だけで判断するのではなく、設備・カリキュラム・制服や持ち物、コンセプト等を包括的に見て「おしゃれな園」だと判断します。

いちたす:松嶋

「おしゃれ」の感覚は人それぞれですので…本記事では「おしゃれ」=「魅力のある園」として、自園の魅力を「園舎」という形であらわすのか、「カリキュラム」という形であらわすのか、色々な形があるかと存じますので自園について考える一つのきっかけとなりましたら幸いです。

施設・設備、カリキュラム、制服・持ち物など、具体的な要素

「おしゃれ」と聞くと見た目にこだわることを想像しがちですが、設備やカリキュラム、また制服や持ち物も「おしゃれ」を構成する具体的な要素となります。

また、統一感も大切です。法人の経営理念や保育理念をに、施設や設備、保育・教育内容、制服や持ち物等、園のコンセプトが統一されていると「おしゃれ」と感じる方が多いのではないでしょうか。

記事の後半では、「おしゃれ」を実現するためのポイント5つを紹介しておりますので、ご一読いただけますと幸いです。

「おしゃれな保育園」で実現できる効果

「おしゃれな保育園」で実現できる効果についての説明画像

ここからは「おしゃれな保育園」になることのメリットを3点お伝えします。

入園希望者の増加による集客アップ

ここ数年で少子化保育施設数の増加により園児の定員割れも顕著になってきました。
園児募集でお困りの法人様からのお問い合わせも当社に多く寄せられるようになっています。

「おしゃれな保育園」を実現することで、入園希望者の増加による集客アップを狙うことができます。

何と言ってもおしゃれな園は保護者の目を引きますし、話題性もあります。
認知度アップするため入園希望者の増加が見込まれます。

園のブランディング強化による競争力向上

「おしゃれな保育園」の実現でブランディングを強化することができます。
ブランディングの最初の一歩は「自園」と「他園」の区別を目で見える様に表現することです。

まさしく「おしゃれな保育園」は他園との差別化を図ることができ、園児獲得の競争力が上がります。

しかし、外部に向けて行う活動だけがブランディングではありません。
当社では、職員に向けたインナーブランディングから始めることを推奨しております。
ブランディングにご興味のある方は、以下のページをご覧くださいませ。

5つのポイントを解説!
保育園企業ブランディング

保護者満足度向上による口コミ効果の最大化

保護者の方が入園を決めるにあたって口コミの効果も大きいですよね。

「おしゃれな保育園」になることでサービス性や機能性も高まり、保護者満足度向上につながります。
保護者満足度が向上すると、高評価の口コミが増え、より園児募集に優位になります。

保護者の満足度が高いということは、園に通うお子さんたちも楽しく通えているということです。
おしゃれな保育園で園児も保護者も満足度の向上が期待できます。

プロが選ぶ全国のおしゃれ保育園5選

プロが選ぶ全国のおしゃれ保育園5選についての説明画像

ここからは、全国のおしゃれな保育園・幼稚園・こども園をご紹介します。

みやの森こども園(宮城県黒川郡大和町)

みやの森こども園(宮城県黒川郡大和町)の説明画像
(出典:GOOD DESIGN AWARD
みやの森こども園(宮城県黒川郡大和町)の説明画像
(出典:GOOD DESIGN AWARD

宮城県黒川郡大和町にあるみやの森こども園の敷地はなんと東京ドームの約1.4倍あり、日本一広いこども園だそうです。動植物が抽象的に表現された室名サインが「おしゃれ」を感じますね。

大きなホールや、各教室のモニターへLIVE配信できる配信スタジオ、床暖システム等、設備にもこだわって設計されています。また、飼育しているポニーや羊とふれあうこともできます。

(出典:学校法人たちばな学園 みやの森こども園

まちのこども園 代々木公園(東京都渋谷区)

「まちぐるみの保育」を提唱しているナチュラルスマイルジャパン株式会社が運営する、代々木公園の中に位置する定員128名の認定こども園です。

園舎は、農村集落である原宿村にあったと想像される農家をモチーフにデザインされており、どこか懐かしさを感じます。また、園舎のエントランスには土間空間が設計されており、「まちぐるみの保育」の実践を象徴する場となっています。

園舎だけでなく、職員対話や園見学等、保護者だけでなく地域の一般の方も参加できるイベントを行っており、まさに「まちぐるみの保育」を体現されています。

(出典:ナチュラルスマイルジャパン株式会社 まちのこども園よよぎこうえん

かしまだ保育園(神奈川県川崎市)

かしまだ保育園(神奈川県川崎市)の説明画像
(出典:GOOD DESIGN AWARD

神奈川県川崎市にある定員185名のかしまだ保育園は、民営化に伴い旧園舎から新築移転されました。社会福祉法人ぷらいむキッズが運営しています。

保育室が風車状に連なっており、廊下のない保育環境が構成されています。仕切りがなく、広い空間となっていることから保育士間の連携や異年齢交流を行いやすい環境になっています。

「教育・運営・建築が同時に挑戦した成功事例」として高く評価され、2023年度グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」にも選出されています。

(出典:GOOD DESIGN AWARD 2023 グッドデザイン・ベスト100

小郡幼稚園(山口県山口市)

学校法人片山学園が運営する山口県山口市にある小郡幼稚園は「山のようちえん」として2020年に園舎を移転しました。

13の小さなお家が連なって子どもたちの農村となっています。地元の山口県産の杉の木を生きている状態で8,000本以上も使用されました。13の保育家は4つの棟に分かれ、それぞれの棟は土間でつながっています。

幼稚園ではもんぺ姿の子どもたちが畑仕事を通して地球の循環を学んでいます。ホームページでは木のお家で農村生活を楽しむ子どもたちの姿が見れます。

(出典:学校法人片山学園 小郡幼稚園

小浜こども園(長崎県雲仙市)

社会福祉法人小浜会が運営する定員240名の幼保連携型認定こども園です。もともとは小浜幼稚園と小浜保育園と別々の施設だったのが、認定こども園の認可を受け一つの施設となりました。

小浜こども園の園舎コンセプトは「海×音楽×アート」です。
海が見渡せるランチルームやマーチングバンドを演奏するプレイルーム、絵画専用の部屋「コドモアトリエ」などコンセプトを体現したこだわりの設備が充実しています。

カラフルで園の魅力がたっぷり詰まったホームページも必見です。
(出典:社会福祉法人小浜会 小浜こども園

いちたす:松嶋

本記事のおしゃれ保育園実例は、過去にグッドデザイン賞を受賞した施設から選出いたしました!このような賞に応募するのも園の認知度を上げる一つの方法です。

「おしゃれな保育園」を実現するための5つのポイント

「おしゃれな保育園」を実現するための5つのポイントについての説明画像

ここからは「おしゃれな保育園」づくりを行う方に向けて5つのポイントをご紹介します。

ポイント①目指す保育理念を定める

ポイント①目指す保育理念を定めるについての説明画像

まずは法人が「目指す保育理念明確化言語化する」ところから始めましょう。

「おしゃれな保育園」づくりを行う上で、忘れてはいけないのは法人の理念です。
法人の経営理念や保育理念が園にかかわる全員行動基準となります。

初めに軸となる法人の経営理念・保育理念を構築し、次のステップとしてターゲット層やコンセプトの決定を行います。

ポイント②ターゲット層を明確にする

ポイント②ターゲット層を明確にするについての説明画像

2つめのポイントは「ターゲット層を明確にする」ということです。

法人の理念や、立地条件に基づいたターゲット層の選定を行います。
自園では、どのような保護者の方が多いのかを考えると同時に、競合の園について考えることも大切です。
近隣園との比較から自分たちの園について、より深く知ることができます。

ターゲット層が明確になったら、ターゲット層に合わせた「おしゃれ」の具体化を進めていきます。

ポイント③施設・設備にこだわる

ポイント③施設・設備にこだわるについての説明画像

3つめのポイントは「施設・設備にこだわる」です。

例えば、明るく開放的な空間設計園児の感性を育む遊具や教材の導入を行うことで施設にこだわったり、清潔感と機能性を兼ね備えた設備の選定を行うことも、おしゃれの具体化です。

施設や設備にこだわると、保育理念が目に見える形で伝わる、というメリットもあります。

ポイント④カリキュラムを充実させる

ポイント④カリキュラムを充実させるについての説明画像

施設や設備だけをおしゃれにこだわるのではなく、「カリキュラムも充実」させましょう。

  • 五感を刺激する創造性豊かなカリキュラム
  • 英語やプログラミングなど、時代のニーズを取り入れた内容
  • 個々の成長に合わせた柔軟なカリキュラム編成

これは一例です。
保育理念に合わせて施設・設備だけでなく保育・教育の質も高めていくことがポイントです。

ポイント⑤制服・持ち物にこだわる

ポイント⑤制服・持ち物にこだわるについての説明画像

「制服・持ち物にこだわる」というのもおしゃれな保育園作りに通じます。

園のコンセプトに合わせたオリジナルデザインの制服を採用したり、機能性とデザイン性を兼ね備えた持ち物の選定を行うことで、おしゃれな保育園が実現できます。

あるいは、制服ではなく園児の個性を尊重した自由な服装規程を導入することも、法人が目指す保育理念次第で検討したほうが良いかもしれません。

プロモーション戦略を策定する

プロモーション戦略を策定するについての説明画像

せっかくおしゃれに気を使っても知ってもらえなければ意味がありません。
ここでは、プロモーション戦略の策定についてお伝えします。

ホームページやSNSを活用した積極的な情報発信

保護者が園を探す際の重要な情報源はホームページやSNSのアカウントです。

実際に園見学を行い入園を決める保護者が多いと存じますが、園見学をするかどうかを決めるために、予めホームページやSNSを閲覧し、ふるいにかけられている可能性もあります。

ホームページやSNSを活用し、こだわりの設備やカリキュラムについて積極的に情報発信を行いましょう。

いちたす:松嶋

園の情報配信手段としてインスタグラムを活用されている園も増えてきました。インスタグラムは、在園児の保護者が口コミで園の魅力を伝える際も有効なツールです。

保育士のブログや動画配信による園の魅力発信

写真や文章で伝えるよりも、こだわりの園舎や保育・教育の内容は動画の方が雰囲気が伝わりやすいです。動画をホームページやSNSへ掲載し、園の魅力発信に活用しましょう。

また保育士のブログも園の魅力を発信する重要なコンテンツの一つです。
在園児の保護者だけでなく、入園を検討している保護者も注目しています。
日頃から保育理念の実現を目指して保育している、ということが伝わりやすいため魅力発信におすすめです。

いちたす:松嶋

仕事柄、幼保業界の園のホームページやブログを拝見することが多いですが、保育士の先生が書かれたブログを読むことが好きです。クラスの日常の保育についてブログを読んでいる中で保育理念との関連性が見えると、担任の先生にまで保育理念が浸透していることと、ここまで考えて保育をされているなんて…!と感激します。家の近くにこんな園があったら入園したいな、とブログを読みながら思うことが多いです。

保育園・幼稚園・こども園経営のご相談なら幼児教育・保育専門コンサルティング会社いちたすへ

いちたす無料相談受付中

保育園・こども園・幼稚園を経営するうえで、お困りのことがありましたら株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
今後どのように運営していけばよいか、給付費(委託費)や補助金はしっかりと取れているのかといった経営・財務に関するご相談から、保育士・職員に外部研修を行ってほしい等の人材育成に関するご相談まで、幅広くご支援しています。

いちたすについて

いちたすについて説明画像

株式会社 いちたすでは、保育園・こども園・幼稚園の経営者の皆様に対して、経営・運営・財務に関するコンサルティングを専業で行っています。

会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、保育所のバックオフィス業務書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。

「会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない」というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、

  • 委託費の加算の取りこぼしがないか、第三者に確認してもらいたい。
  • 認定こども園への移行を考えているが、何から手を付ければよいかわからない
  • 処遇改善をどのように取り入れていけばよいか、他園がどのように行っているかを知りたい。

などのお悩みに対してご支援・コンサルティングを行う顧問(相談)契約もあります。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも可能です。

料金プラン

いちたすの料金プラン説明画像

株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。

たとえば相談契約、コンサルティング契約ですと

保育園の顧問(相談)契約の場合(1施設)

月額22,000円~
(税込)
保育園のコンサルティング契約(月1回1時間の打ち合わせあり)の場合(1施設)

月額55,000円~
(税込)

で引き受けております。

「複数施設を運営しているが本部で契約したい」「打ち合わせは2か月に1回でよい」など、オーダーメイドでご契約内容を作成いたしますので、お気軽にご連絡ください。

依頼の流れ

いちたすの依頼の流れ説明画像

お問合せフォームかinfo@ichitasu.co.jp宛にメールをお送りください。
詳しい内容をお伺いいたします。

その後は、

その後の流れ
  • 当社の担当者が園にお伺いする
  • 当社事務所(仙台市一番町)にお越しいただく
  • Zoomなどを利用してオンラインで打ち合わせをする

といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。

園によって状況は様々ですが、

など、ご要望に合わせてご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。