本記事は「特色のある園づくりを模索している」「教育に力を入れていきたい」保育業界の経営者の方に向け、著名な教育方法の一つであるモンテッソーリ教育を、保育施設で導入するメリットや注意点について解説しました。

子どもの自主性、自立に重点を置くモンテッソーリ教育は、120年近くの歴史があり、世界110か国以上で実践されてきました。2024年5月現在で、インターネットで「モンテッソーリ」と検索される回数が月間6万回程度と、非常に多くの関心を集めています。

モンテッソーリ教育の導入は、導入コストの試算職員の育成等、経営者としてやるべきことも多くなります。弊社では、保育業界の経営者の方の時間とお金を確保する支援サービスが充実しておりますので、お困りのことがございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

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この記事を監修した人

中小企業診断士:大窪 浩太

関西の税理士法人にて公益法人に対して決算・申告書作成、財務コンサルティングを担当。 2017年、同税理士法人の仙台支店に転勤。 2019年7月に税理士法人を退職後、株式会社いちたすに参画。
得意分野:幼稚園・保育園・認定こども園の経営・財務コンサルティング。 少子化がますます進む東北で、今後数十年、安定して運営していける園づくりの支援を行う。 新規園の設立や代表者の代替わりなどの際は、法人に入り込んで、伴走型の支援を行うこともある。
宮城県中小企業診断協会所属

はじめに

はじめにの説明画像

本記事は、モンテッソーリ教育の基本原則とその魅力について解説しました。
この記事を読むことで、モンテッソーリ教育を保育園に導入する利点が分かります。

これから教育に力を入れていきたい保育業界の経営者の方特色のある園づくりに悩まれている方のお役に立てるよう、保護者からも注目度の高いモンテッソーリ教育の導入メリットポイント導入時の注意点についてまとめました。

モンテッソーリ教育を導入することは、保育園のブランディングと教育の質向上に寄与する重要な経営戦略の一つです。
本記事を法人の新たな取組みの検討材料としていただけましたら幸いです。

いちたす:松嶋

モンテッソーリ教育に限らず、教育方法を取り入れる際は法人の経営理念や保育理念と合致しているかの確認が必要です。本記事では、モンテッソーリ教育の魅力やメリットをお伝えしておりますが、全ての法人に当てはまるわけではありません。法人運営の選択肢の一つとして、モンテッソーリ教育の導入をご検討いただけますと幸いです。

モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育とは?の説明画像

ここでは、モンテッソーリ教育の基礎知識について解説します。

歴史と基本的な考え方

モンテッソーリ教育は、ローマ大学最初の女性医学博士であるマリア・モンテッソーリが考案した教育法です。マリアは、1907年に『子どもの家』という貧困層向けのアパートにある保育施設の監督・指導を任せられ、そこでの実践から「モンテッソーリ教育法」を生み出しました。

モンテッソーリ教育の基本的な考え方を、日本モンテッソーリ教育綜合研究所のホームページから引用して紹介します。

子どもには生来、自立・発達していこうとする力(自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境(物的環境・人的環境)が必要である

(引用:日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育の基本的な考え方

子どもに教え込むのではなく、子どもをよく観察し環境を整えることが大人のすべきことだという考え方です。

マリア・モンテッソーリの教育哲学の概要

マリア・モンテッソーリの教育哲学についてもう少し深堀りしていきます。
彼女は、子どもを観察することにより次の二つに着眼しました。

モンテッソーリ教育哲学の概要
  • 自己教育力
    子ども自身に内在している自立や発達の原動力
  • 敏感期
    乳幼児期に現れる、ある事柄に対して大きな吸収力をもつ強い感受性

敏感期には、言葉の敏感期運動の敏感期など様々あります。自己教育力を以って子どもはそれぞれの必要な時期に発達の課題に取り組みます。それを具体化したものが敏感期です。

「自己教育力」を発揮する対象としての環境が必要であり、「敏感期」にあった環境が重要であることから、モンテッソーリ教育では子どもの敏感期に合わせた環境を用意するための様々な用具教具があることが特徴です。

(出典:日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育の基本的な考え方

自主性、創造性、学習の個別化への重点

モンテッソーリ教育では、自主性に重点が置かれます。
大人が価値観を押し付けるような、一方的に教え込むことは避け、子どもが「触ってみたい」「やってみたい」と思う環境を整備し子どもの自発的な行動を促します。そのため、自主性を尊重する教育法と言えます。

また0歳から6歳までの乳幼児期の特徴から0歳から3歳までの前期と、3歳から6歳までの後期に分けてモンテッソーリ教育の内容は考えられています。

モンテッソーリ教育の内容
  • 0歳~3歳まで:呼吸する精神(無意識)…主に7つの教育環境が用意
    • 粗大運動の活動
    • 微細運動の活動
    • 日常生活の練習
    • 言語教育
    • 感覚教育
    • 音楽
    • 美術
  • 3歳~6歳まで:意識の芽生え…主に5つの教育環境
    • 日常生活の練習
    • 感覚教育
    • 言語教育
    • 算数教育
    • 文化教育

(出典:日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育の内容

以上のような教育環境の中で、子どもたちは自主性創造性を育みます。
モンテッソーリ教育では一斉に同じ学習内容を行うことはなく、子どもたちは環境の中から自分自身で必要な学習を選び出し、集中しながら取り組み、成長していくことが重要視されます。

モンテッソーリ教育の導入が園にもたらすメリット

モンテッソーリ教育の導入が園にもたらすメリットの説明画像

モンテッソーリ教育について理解が深まったところで、ここからはモンテッソーリ教育の導入が園にもたらすメリットについてご紹介します。

学びの質の向上と子どもたちの発達への影響

モンテッソーリ教育は、120年近い歴史を持ち、世界110か国以上で実践されています。
また、モンテッソーリ教育法では様々な教具や教材が整えられており、メソッドも確立されているため、子どもたちの学びの質の向上と発達への影響が期待できます。

(出典:日本モンテッソーリ協会(学会) モンテッソーリ教育のご紹介

園のブランディング及び認知度アップ

2024年5月現在、インターネットで「モンテッソーリ」と検索されている回数は月間6万回程度です。
これほどまでに興味を集めている教育メソッドを導入することで、園の認知度アップにも寄与します。

「モンテッソーリ教育を導入している」ということが園のブランディングの一つの要素になることも考えられます。

園のブランディングについて、ご興味がある方はこちらのページをご覧ください。
参考記事:株式会社いちたす ブランディング

保護者からの評価の向上と新規顧客の促進

上段でモンテッソーリ教育は、インターネットでの検索回数も多く、非常に興味を持たれているということをお伝えしました。我が子に「モンテッソーリ教育を受けさせたい」という保護者ニーズが高いことが分かります。

モンテッソーリ教育を導入することで、教育に力を入れている園として、園児の保護者からの評価が上がり、園児募集でも有利になる見込みがあります。

いちたす:松嶋

近年モンテッソーリ教育が大きく注目された要因の一つとして、プロ棋士である藤井聡太氏が通っていた幼稚園がモンテッソーリ教育を取り入れていた、として話題になったことがあげられます。そのような話題からモンテッソーリ教育に興味を持ったという保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

モンテッソーリ教育導入のポイント

モンテッソーリ教育導入のポイントの説明画像

モンテッソーリ教育を保育園などの幼児教育・保育施設へ導入のポイントをご紹介します。

経営理念との合致

モンテッソーリ教育の導入の際は、法人の経営理念・保育理念と合致しているかの見極めが必要です。
どんな園でもモンテッソーリ教育を導入することのメリットを享受できるわけではありません。

法人が掲げる経営理念・保育理念モンテッソーリ教育哲学が合致しているでしょうか?
注目度が高いからと言って、やみくもにモンテッソーリ教育を導入することはおすすめしません。

環境整備

モンテッソーリ教育の基本方針は、豊かな環境の中で子ども自身が好きな活動を自分で選択して活動する、というものです。
子どものために環境を整えて見守り、必要な時に援助を行います。
(出典:日本モンテッソーリ協会(学会) モンテッソーリ教育のご紹介

そのため、モンテッソーリ教育には環境整備が欠かせません。

環境を構成する要素として、「人的環境」と「物的環境」があります。物的環境を整えるだけではなく、大人が人的環境として子どもを全面的に受容しながら物的環境との橋渡しをする役割を担うことが重要です。
(出典:日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育の基本的な考え方

教材の選定

モンテッソーリ教育では、子どもの敏感期に合わせた環境を用意するための様々な用具教具があることが特徴であるとお伝えしました。

モンテッソーリ教育は人気な教育メソッドであるため、市場には「モンテッソーリ」を冠した様々な教材があります。しかし、モンテッソーリ教育の学術研究団体である日本モンテッソーリ協会(学会)はホームページのトップに以下の文言を掲載しています。

日本モンテッソーリ協会(学会)は、「モンテッソーリ」の名を冠するすべての施設・教材等について把握しているわけではありません。 「子どもの家」や教具・教材を選択される場合には、慎重なご判断をなさいますよう、心からお願い申し上げます。

日本モンテッソーリ協会(学会) ホームページ

このことからも、教材を選定する際は慎重に判断する必要があります。

職員の研修

モンテッソーリ教育法には、環境を構成する要素に人的環境と物的環境があり、大人が人的環境の役割を果たします。そのため大人(教師)、つまり現場の先生方の関わりが非常に重要です。

子どもに対する職員の関わり方を実践的に学べるのが研修です。
モンテッソーリ教育に関して、養成機関が主催する講座や研修があります。
資格取得を目指す本格的な講座もあれば短期の講習会もあるため、ご興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか。

参考リンク:日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育の理論を動画で学ぶ講座
      日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ教育を短期で学べる対面講座

保護者との連携

モンテッソーリ教育を導入するにあたり、保護者との連携も欠かせません。
保護者の中には、モンテッソーリ教育について詳しく知らないという方も多くいらっしゃいます。

まずはモンテッソーリ教育法とは、どういった教育法であり、モンテッソーリ教育を行う目的や具体的に園でどのような活動を行うのか説明を丁寧に行う必要があります。

その上で、保護者や家庭で協力してほしいことがあれば、依頼するようにしましょう。

モンテッソーリ教育導入の注意点

モンテッソーリ教育導入の注意点の説明画像

ここからは、モンテッソーリ教育導入の注意点についてお伝えします。

経営理念との整合性

モンテッソーリ教育を導入する際は、法人の経営理念・保育理念との整合性を鑑みましょう。

法人の経営理念や保育理念は様々あるかと思いますので、全ての園で「自己教育力」や「敏感期」といった考え方を持つモンテッソーリ教育が合うとは限りません。

そのため客観的にみて、モンテッソーリ教育の基本方針と、法人の経営・保育理念一本筋が通るのか、注意が必要です。

導入コスト

モンテッソーリ教育を行うには、子どもの敏感期に合わせた環境を用意するための様々な用具教具が必要です。

教具や用具の整備にコストがかかるほか、有料の職員研修に参加する場合は職員の育成にもコストがかかります。一部の教具はインターネットで手作り方法も公開されていますが、保育園や幼稚園で本格的にモンテッソーリ教育を導入するとなると、費用がかかることも念頭に置いていただく必要があります。

また、理想のモンテッソーリ教育を行うためには現在よりも保育人材を手厚く配置する必要があるかもしれません。そういった場合は、人件費のコストも増加することになります。

いちたす:松嶋

モンテッソーリ教育は、子どもをじっくり観察し、その子どもの発達課題に合った環境を設定するという方針です。そのため、理想の人的環境を整備するために、国の配置基準よりも手厚く保育人材の雇用が必要、ということにもなるかもしれません。

長期的な視点での取り組みの必要性

この記事をご覧いただいている幼児教育・保育業界の経営者の方は、日々痛感されていらっしゃることと存じますが、新しい取り組みについては、一朝一夕に効果が出るものではありません。

モンテッソーリ教育を導入したからと言って、すぐに子どもたちの発達に良い影響があったり、または園のブランディングが成功するといった目に見える効果が表れないことが多いと思います。

そのため、一度導入したら長期的な視点でモンテッソーリ教育に取り組む必要があります。

保護者の理解

検索エンジンで「モンテッソーリ」の検索回数は月間6万回にものぼり、保護者の関心やニーズが高いことをお伝えいたしましたが、モンテッソーリ教育に馴染みのない保護者の方は多いです。

保育園や幼稚園、こども園でモンテッソーリ教育を行う意義や目的について詳細な説明を行い、保護者の理解を得ることが必要です。

モンテッソーリ教育を導入する際は、保護者の理解を得られるよう丁寧な説明を心がけましょう。

いちたす:松嶋

モンテッソーリ教育の導入について、丁寧な説明を行い保護者の理解を得た上で、上乗せ徴収を行うことも出来ます。
しっかりとした説明もないまま、上乗せ徴収を行うと不信感を招く可能性もあるため、注意が必要です。

モンテッソーリ教育ついてよくあるご質問

モンテッソーリ教育ついてよくあるご質問の説明画像

ここからは、モンテッソーリ教育の導入について考えられている経営者の方からよくいただく質問にお答えしています。

Q
モンテッソーリ教育はどんな園に向いていますか?
A

モンテッソーリ教育の基本方針は、子どもをじっくりと観察し子どもの自己教育力敏感期に合わせた環境を準備することです。このようなモンテッソーリ教育の方針と、法人の経営理念や保育理念の整合性がとれている園にモンテッソーリ教育は向いていると言えます。

Q
著名な教育方法を導入するメリットについて教えてください。
A

著名な教育方法はモンテッソーリ教育以外にも多くあります。このような教育方法を導入するメリットの一つは、法人のブランディングの要素の一つになりやすい、ということです。著名な教育方法であれば、その教育方法を我が子に受けさせたいという保護者ニーズ高く、園の付加価値とすることができます。

Q
モンテッソーリ教育は公的な機関があるのですか?
A

日本にあるモンテッソーリ教育の機関は、日本モンテッソーリ協会(学会)があります。この協会(学会)は、モンテッソーリ教育とその近接領域を研究する日本で唯一の学術研究団体として、全国大会の開催や学術誌の刊行を行っています。また、この日本モンテッソーリ協会の「教師養成センター」として日本モンテッソーリ教育綜合研究所があり、講座や講習会を実施しています。

Q
モンテッソーリ教育を自園に導入するにはどのようにすれば良いでしょうか?
A

まずはモンテッソーリ教育の短期講座受講してはいかがでしょうか。日本モンテッソーリ教育綜合研究所が開催する「実技講習会」はモンテッソーリ教育に関心のある方であればどなたでも受講することができます。

Q
モンテッソーリ教育は導入にどれくらいコストがかかるのですか?
A

モンテッソーリ教育の導入にあたり、教具の購入職員教育職員の雇用が必要な場合にコストがかかります。具体的にどれくらいの費用が発生するかは、園の規模や取り組みによって異なるため一概にお伝えすることはできかねます。もし、モンテッソーリ教育の導入コストが園経営の負担となる場合は、上乗せ徴収を検討するのも一つの手です。

保育園・幼稚園・こども園経営のご相談なら幼児教育・保育専門コンサルティング会社いちたすへ

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保育園・こども園・幼稚園を経営するうえで、お困りのことがありましたら株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
今後どのように運営していけばよいか、給付費(委託費)や補助金はしっかりと取れているのかといった経営・財務に関するご相談から、保育士・職員に外部研修を行ってほしい等の人材育成に関するご相談まで、幅広くご支援しています。

いちたすについて

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株式会社 いちたすでは、保育園・こども園・幼稚園の経営者の皆様に対して、経営・運営・財務に関するコンサルティングを専業で行っています。

会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、保育所のバックオフィス業務書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。

「会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない」というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、

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などのお悩みに対してご支援・コンサルティングを行う顧問(相談)契約もあります。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも可能です。

料金プラン

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株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。

たとえば相談契約、コンサルティング契約ですと

保育園の顧問(相談)契約の場合(1施設)

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その後は、

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といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。

園によって状況は様々ですが、

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