本記事では、民間の有識者から構成される団体である人口戦略会議が分析した、『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』をもとに、消滅する可能性がある自治体について解説しました。

地域が消滅してしまえば、保育園やこども園などの幼保施設もなくなってしまいます。
保育施設は社会インフラとして、地域に欠かせないものではありますが、今後はその地域の範囲が広くなることも考えれます。それは、施設の存続危機にもつながります。

当社では、幼保業界専門の経営コンサルティング会社として、経営者の時間とお金を確保する支援サービスが充実しておりますので、お困りのことがございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

無料相談受付中!
お問合せはこちらから

この記事を監修した人

中小企業診断士:大窪 浩太

関西の税理士法人にて公益法人に対して決算・申告書作成、財務コンサルティングを担当。 2017年、同税理士法人の仙台支店に転勤。 2019年7月に税理士法人を退職後、株式会社いちたすに参画。
得意分野:幼稚園・保育園・認定こども園の経営・財務コンサルティング。 少子化がますます進む東北で、今後数十年、安定して運営していける園づくりの支援を行う。 新規園の設立や代表者の代替わりなどの際は、法人に入り込んで、伴走型の支援を行うこともある。
宮城県中小企業診断協会所属

人口戦略会議について

人口戦略会議についての説明画像

人口戦略会議とは、企業経営者や大学教授等で構成される民間の有識者グループです。
日本製鉄株式会社名誉会長の三村明夫氏が議長、日本郵政株式会社代表執行役社長の増田寛也氏らが副議長として参加しています。

2024年1月には、2100年に人口8000万人の安定を目標とする『人口ビジョン2100』を取りまとめ、提言書として岸田文雄首相に提出しました。

(出典:一般社団法人北海道総合研究調査会 【人口戦略会議・公表資料】『人口ビジョン2100』

消滅可能性都市とは

消滅可能性都市とはの説明画像

民間の有識者で構成される人口戦略会議は、2023年12月に新たに公表された「日本の地域別将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)」に基づき、全国の地方自治体の「持続可能性」について人口の観点から分析を行いました。

「消滅可能性自治体」は、2024年の分析より10年前の2014年に分析を行った日本創成会議が発表したものであり、2024年の分析でも基本的な考え方は踏襲されています。

消滅可能性自治体とは?

20~39歳の女性人口が2020年から2050年までの30年間50%以上減少する自治体

(引用:人口戦略会議 令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート

20~39歳の女性人口に着目しているのは、若年女性人口が減少すると、出生数が低下総人口の減少にブレーキがきかないためです。人口減少スピードを考慮すると、20~39歳の女性人口が急減する地域では、最終的には消滅する可能性が高いと人口戦略会議は推測しています。

中小企業診断士:大窪

本レポートでは、20~39歳の女性人口に限定して、分析をしています。
・女性人口が急減したとしても、男性人口が急増した場合どうなるのか
・女性人口が増えたとしても、男性人口が急減した場合どうなるのか
・女性人口の増減と男性人口の増減での相関関係は強いのか
などなど、考え出せばきりがありませんが、人口戦略会議が推測している【20~39歳の女性人口が急減する地域では、最終的には消滅する可能性が高い】という考え方は、今後の園経営を考えるうえでも、とても重要な視点になります。

封鎖人口を用いた分析の必要性

封鎖人口を用いた分析の必要性の説明画像

2014年に行われた分析の基本的な考え方を踏襲しつつも、2024年の分析では新たな分析手法も取れ入れられました。
それが「封鎖人口」を用いた自然減の分析です。

これまで各自治体が行う人口減少対策は、どちらかと言えば「社会減」の対策に重点が置かれていました。
人口動向が変動する要因は、社会増減自然増減の二つがあります。

社会減と自然減の違い
  • 社会減…転入・転出によるもの(転入より転出する人口が多ければ社会減となる)
  • 自然減…出生・死亡によるもの(出生数より死亡者数が多ければ自然減となる)

(出典:内閣府 人口をめぐる現状と課題

封鎖人口の仮定した推計結果データとは、各自治体において人口移動がなく出生と死亡だけで人口が変化すると仮定した推計結果を用いたものです。
この封鎖人口の推計と、移動傾向が一定程度続くと仮定した推計データ比較することで取るべき人口減少対策が異なります。

地域特性に応じた人口減少対策の例
  • 封鎖人口において20~39歳の女性人口が急減する地域
    …出生率の向上という「自然減対策」が有効
  • 封鎖人口では人口減少は緩やかだが、移動仮定の推計結果では人口が急減する地域
    …人口流出を抑制する「社会減対策」が有効

以上のように新たな分析方法を用いることで、地域が抱える課題が異なるため、取り組むべき対策も変わってくることがわりました。

(出典:人口戦略会議 令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート

中小企業診断士:大窪

保育園やこども園の経営を考えるうえで人口動態を考える際には、まず「出生数」に目が行くかと思います。
子どもの生まれた人数がそのまま入園児数にも繋がってくるので、もちろん正しいのですが、一歩踏み込んで「20~39歳の女性人口」がどうなっているかを追いかけていくのも、少子化がますます進んでいく今後は重要になってきています。

分析結果

分析結果の説明画像

ここからは、2024年の分析結果についてお伝えします。
詳細をお知りになりたい方は、こちらのリンクからご確認いただけます。

自治体の人口特性

人口戦略会議が2024年に行った分析では、全部で9つの分類が設定されました。
ここでは、大きく分けた4つの分類をご紹介します。

4つの分類設定
  • 自立持続可能性自治体
    …封鎖人口、移動仮定ともに若年女性人口の減少率が20%未満であり、100年後も持続可能性が高い
  • ブラックホール型自治体
    …移動仮定における若年女性人口減少率50%未満の一方で、封鎖人口は減少率50%以上。
     人口増加分を他地域からの人口流入に依存している上、出生率も非常に低い
  • 消滅可能性自治体
    移動仮定における減少率が50%以上の自治体
  • その他の自治体
    …上記の分類にあたらない自治体。減少状況によって必要な対策が異なる

(出典:人口戦略会議 令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート

分類の結果、全1729自治体のうち自立持続可能性自治体は65自治体で全体の約4%消滅可能性自治体の総数は744自治体で約43%でした。

中小企業診断士:大窪

消滅可能性自治体」という表現も、とてもインパクトがありますが、今回新しく出てきた「ブラックホール型自治体」というネーミングにも、衝撃を受けました…。
周りの自治体からひとを集めて、入ってきたひとを外に送り出さない、出生率も低く、その自治体だけでは人口を維持できないという実態が、メッセージ性も込めて伝わってきます。

地域ブロック別の状況

ここからは、地域ブロック別の状況を見ていきます。

北海道「消滅可能性自治体」が117。
大半は人口流出が激しいため社会減対策が必要だが、自然減対策が必要な自治体も少なくない。
東北「消滅可能性自治体」が165。
割合が全国最多であり社会減・自然減対策ともに必要な自治体が大半。
関東「消滅可能性自治体」が91。
「ブラックホール型自治体」が東京都の17自治体を含め21自治体存在する。
中部「消滅可能性自治体」が109。
「自立持続可能性自治体」が12存在する。
近畿「消滅可能性自治体」が93。
「ブラックホール型自治体」が2自治体あり、自然減対策の必要性が高い。
中四国「消滅可能性自治体」が93。
2014年分析時から脱却した自治体が多く、特に島根県は「消滅可能性自治体」が4に減少。
九州・沖縄「消滅可能性自治体」が76で最も少ない。
「自立持続可能性自治体」が34も存在し、全国の半数以上を占める。
地域ブロック別の状況(出典:人口戦略会議 令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート

上記のように、地域の実情によって人口特性が異なることがわかります。
さらに詳しく法人が所在する自治体の結果を見たい、という方はこちらのリストからご覧いただけます。

いちたす:松嶋

幼児教育・保育業界は、人口減少の影響を直接受けます。このような分析結果をもとに将来を予想し、経営について対策を打つこともできます。

まとめ

まとめについて説明画像

本記事では、民間の有識者から構成される団体である人口戦略会議が分析した、『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』をもとに、消滅可能性自治体について解説しました。

地域が消滅してしまえば、当然保育園やこども園、幼稚園もなくなってしまいます。
保育施設は社会インフラとして、地域に欠かせないものではありますが、今後はその地域の範囲が広くなると考えれば、施設の存続自体が危ぶまれる法人もあります。

当社は、そのような状況下でも地域の保育を担っていただけるよう経営者の方の伴走者として、経営面・運営面から引き続きご支援してまいります。

中小企業診断士:大窪

弊社にお問い合わせを頂く内容についても地域差があります。
「園児募集に困っている」というお問い合わせは、自治体の人口規模ではなくなってきたなと肌で感じます。
感覚的ですが、九州・沖縄の「自立持続可能性自治体」が、全国の半数以上を占めるという内容も納得です。

保育園・幼稚園・こども園経営のご相談なら幼児教育・保育専門コンサルティング会社いちたすへ

いちたす事務所画像

保育園・こども園・幼稚園を経営するうえで、お困りのことがありましたら株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
今後どのように運営していけばよいか、給付費(委託費)や補助金はしっかりと取れているのかといった経営・財務に関するご相談から、保育士・職員に外部研修を行ってほしい等の人材育成に関するご相談まで、幅広くご支援しています。

いちたすについて

いちたすについて説明画像

株式会社 いちたすでは、保育園・こども園・幼稚園の経営者の皆様に対して、経営・運営・財務に関するコンサルティングを専業で行っています。

会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、保育所のバックオフィス業務書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。

「会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない」というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、

  • 委託費の加算の取りこぼしがないか、第三者に確認してもらいたい。
  • 認定こども園への移行を考えているが、何から手を付ければよいかわからない
  • 処遇改善をどのように取り入れていけばよいか、他園がどのように行っているかを知りたい。

などのお悩みに対してご支援・コンサルティングを行う顧問(相談)契約もあります。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも可能です。

料金プラン

いちたすの料金プラン説明画像

株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。

たとえば相談契約、コンサルティング契約ですと

保育園の顧問(相談)契約の場合(1施設)

月額22,000円~
(税込)
保育園のコンサルティング契約(月1回1時間の打ち合わせあり)の場合(1施設)

月額55,000円~
(税込)

で引き受けております。

「複数施設を運営しているが本部で契約したい」「打ち合わせは2か月に1回でよい」など、オーダーメイドでご契約内容を作成いたしますので、お気軽にご連絡ください。

依頼の流れ

いちたすの依頼の流れ説明画像

お問合せフォームかinfo@ichitasu.co.jp宛にメールをお送りください。
詳しい内容をお伺いいたします。

その後は、

その後の流れ
  • 当社の担当者が園にお伺いする
  • 当社事務所(仙台市一番町)にお越しいただく
  • Zoomなどを利用してオンラインで打ち合わせをする

といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。

園によって状況は様々ですが、

など、ご要望に合わせてご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。