この記事では、企業主導型保育園(企業主導型保育事業)について、どのような保育園なのか、認可保育所・認可外保育所との対比、メリット・デメリット、保育料の無償化、よく頂くご質問などを通して、保育園経営コンサルタントの視点から、経営者・園長向けにわかりやすく解説していきます。
令和4年度の新規募集は行われないことが発表されましたが、定員11万人分の枠を持つ施設類型なので、幼児教育・保育に携わる方はぜひとも知っておきたい内容です。
【2023年11月追記】
企業主導型保育園の処遇改善等加算Ⅲ、医療的ケア児保育支援加算について追記しました。
【2023年10月27日追記】
企業主導型保育園について、経営者からよく頂く質問に回答を追加いたしました。
【2023年5月16日追記】
令和5年度保育関係予算案に盛り込まれた医療的ケア児保育加算の創設について追記しました。
【2023年4月26日追記】
令和5年度より変更となる「保育補助者雇上強化加算」「処遇改善等加算Ⅱ」の加算要件について追記いたしました。
企業主導型保育園とは
ここ最近、ビルの1階や2階、コンビニの跡地などで小規模の保育園が増えてきています。企業主導型保育園という新しい事業形態が始まったのも大きな要因ですが、企業主導型保育園とはどのような施設なのか、詳しく説明しています。
企業主導型保育園とは
企業主導型保育園(企業主導型保育事業・企業主導型保育施設)とは、どのようなものでしょうか。
簡単に説明をすると、株式会社(企業)を中心とした法人が自社の社員の子どもを預かることが出来る保育施設のことです。
内閣府のホームページでは以下のように説明しています。
平成28年度に内閣府が開始した企業向けの助成制度です。
引用元:内閣府 1. 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット
企業が従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供するために設置する保育施設や、地域の企業が共同で設置・利用する保育施設に対し、施設の整備費及び運営費の助成を行います。
もうひとつ、内閣府の別のページではこのように説明されています。
企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として、平成28年度に創設されました。
引用元:内閣府 企業主導型保育事業等
上の二つの引用をまとめると、このようになります。
- 目的①:従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供する企業等を支援
- 目的②:待機児童解消
- 所管:内閣府(実施主体は、公益財団法人児童育成協会)
- 開始年度:平成28年度
- 助成対象:施設の整備費及び運営費
上記のように企業主導型保育事業は、平成28年度に始まった新しい制度です。政府が打ち出した「子育て安心プラン」の目標を達成するために、始まりました。
平成28年度から令和2年度の募集までで3,827施設、全国で新設されています。
待機児童解消に大きな役割を果たした一方、これだけの短期間で施設数を急激に増やしたことで、様々な問題も発生しました。会計検査院の指摘が大きくニュースになったこともありますので、覚えている方も多いかと思います。
企業主導型保育園の作り方
企業主導型保育園が、待機児童を解消するための流れで生み出された新しい施設類型であることを見てきました。
それでは、企業主導型保育園は、どのようにすれば創設(新しく運営)することが出来るのでしょうか。
企業主導型保育園は、所管は内閣府ですが、実施主体は「公益財団法人 児童育成協会」です。
新規の応募や監査も児童育成協会が行うことになっています。
ですので、新しく開園する際も、市町村に相談・申請書を提出するのではなく、児童育成協会が運営する「企業主導型保育事業ポータル」というサイトから申請をすることになります。
正確には「企業主導型保育事業ポータル」サイト内にある電子申請システムから行います。
(参考URL:企業主導型保育事業ポータル)
それでは、電子申請システムから、いつでも新規の運営申し込みを行うことが出来るかと言いますと…、現在は新規募集は停止されています。
「企業主導型保育事業ポータル」の「募集に関するお知らせ」では、2022年01月28日付で以下のような更新が行われています。
企業主導型保育事業は子育て安心プラン等において、定員11万人分の受け皿確保を目指し、新規募集を行ってきたところですが、令和3年度募集の結果を受け、定員は概ね達成される見込みとなりました。
このため、令和4年度新規募集は行いませんので、事業者様におかれましては、新規募集を念頭においた整備着手(契約や工事等)はお控えいただきますようお願いいたします。
(参考URL:今後の企業主導型保育事業の募集等について)
【2023年2月12日追記】
2023年1月10日付けで、企業主導型保育施設を運営する事業者向けに「令和4年度以降の新規募集及び定員調整について」という通知が出されました。
その資料では、以下のように記載されています。
企業主導型保育事業は平成 28 年度の制度創設以降、政府の「子育て安心プラン」等に基づき、定員 11 万人分の受け皿整備に向けて取り組んでまいりました。
定員が概ね達成されたこと、また、厚生労働省が令和4年8月に公表した待機児童数が全国的に減少していることを踏まえ、令和4年度以降の新規募集及び定員増員は実施いたしません。
事業者様におかれましては、新規募集や定員増員を念頭においた整備着手(契約や工事等)等はお控えいただきますようお願いいたします。
(参考URL:内閣府 令和4年度以降の新規募集及び定員調整について)
企業主導型保育事業の新規募集及び定員増員は、令和4年度以降は行わないという記載です。今後、新規設立という形で企業主導型保育園を開設するということは、出来ない状況です。
企業主導型保育園と認可保育所の違い
企業主導型保育園とはどのような施設なのか、企業主導型保育事業の説明だけを見ても、その特徴がわかりにくいかと思います。そこで、保育園といった場合にまずイメージされる認可保育所と比較することで、これまでの保育園との違いを見ていきます。
企業主導型保育園 | 認可保育所 | |
目的 | ①従業員の多様な働き方の実現 ②待機児童の解消 | 保育を必要とする乳児・幼児を 日々保護者の下から通わせて 保育を行うこと(児童福祉法39条) |
所管 | 内閣府 | 厚生労働省 |
実施主体 | 公益財団法人 児童育成協会 | 市区町村 |
新規応募・監査 | 公益財団法人 児童育成協会 | 都道府県 市区町村 |
園児 | 0歳~5歳 従業員枠・地域枠 | 0歳~5歳 2・3号認定 |
このように、企業主導型保育園と認可保育所では、保育という行っている事業はとても似ていますが、目的や実施主体など、運営側の視点から見ると大きく異なります。
社会福祉法人や学校法人、株式会社等ですでに認可保育所を運営されている方は、運営費の考え方や申請方法の違い、実績報告の行い方など戸惑われることは多いかと思います。
当記事では、企業主導型保育園について詳しく説明していますが、認可保育園についても知りたい方は以下の記事をご参照ください。
参考記事:【プロが解説】認可保育所とは?入園条件や保育料をご紹介
企業主導型保育園のメリットとデメリット
それでは、企業主導型保育事業を運営するにあたってのメリットとデメリットはどのようなものでしょうか。この記事では、施設の運営者側の立場で記載していますが、施設に子どもを預ける保護者の視点からのメリット・デメリットも記載しています。
企業主導型保育園のメリット
まずは企業主導型保育園を行う上でのメリットを紹介します。
内閣府では、企業主導型保育事業を行うメリットを以下のように記載しています。
- 女性活躍の推進
- 優秀な人事採用・確保
- 地域貢献
- 企業イメージの向上
従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供する「企業等を支援」という目的があるので、このようなメリットの書き方になるのは仕方がないのだとは思いますが…。
企業主導型保育の説明資料などでは、実施する企業や保護者のメリットが中心で、肝心要の子どもが置き去りにされているのに、強い違和感を覚えます。
(ちなみに、認可保育所の根拠となる法律である児童福祉法では第一章総則で児童の権利、保護者の責任、国及び地方公共団体の責任を明記しています)
株式会社 いちたすでは「幼児教育・保育業界が明るくなれば未来は明るい 」という理念を掲げていますので、利益を上げるという目的が前面に出ている事業者の方については、ご支援は致しかねるという方針を取っています。
そうした前提をご理解いただいたうえで、株式会社いちたすが考える企業主導型保育事業を行うメリットを記載します。
- 利用定員が埋まれば、資金を残すことが出来る(残った資金は、将来の施設建替や園児のために活用)
- 職員の定着率向上(産休・育休復帰後のキャリアプランを描きやすい)
- 12名、19名といった利用定員の設定での運営効率が良いので、手厚い保育が実現できる
- こども園、保育園といった施設をいちから始めるより、ハードルが低い
企業主導型保育園のデメリット
それでは、デメリットを確認していきます。
事業を推進する立場の内閣府のホームページでは、事業を行う上でのデメリットは記載されていませんので、ここでは株式会社 いちたすが考えるデメリットを記載します。
- 少子化の影響を大きく受ける
- 利用定員が埋まらなければ(特に0歳児)、赤字になるリスクが高い
- 0,1,2歳児までの利用定員の場合、3歳からの連携施設の確保が必須
- 待機児童が解消すれば、ライバルはこども園・保育園になる
- 内閣府所管とはいえ、認可外保育施設
- 【追加】0,1,2歳児を預かる施設が多いため、園児募集に失敗すると運営が苦しくなる
待機児童解消・女性の社会進出、といった政府の大きな方針に沿って、企業主導型保育事業は新規設立されてきましたが、すでに保育所の利用児童は2025年にピークになると厚生労働省が発表しています。
待機児童解消のために保育施設数は短期間で大幅に増やされました。認可保育所であれば、園児数が少なくなってきた場合でも、市町村と協力して存続の道を探ることも出来ます。しかし、企業主導型保育園は、認可外保育施設という扱いなので、自分たちの努力で園児を募集する必要があり、行政からの積極的な支援はあまり期待できません。
実際、企業主導型保育事業ポータルというホームページでは、令和2年度の助成取消・取りやめ・休止施設の状況が公開されていますが、平成28年度から始まった事業ということを考えると、多く感じるのではないでしょうか。
- 助成取消:3施設
- 取りやめ:21施設
- 令和2年度に1ヶ月以上休止した施設:106施設
参考URL:企業主導型保育事業ポータル 令和2年度 企業主導型保育事業における助成取消・取りやめ・休止施設の状況
また、企業主導型保育事業は、企業で働く職員の子どもを預かる施設でありながら、待機児童の解消も大きな目的ですので、預かる園児の年齢は待機児童が多い0,1,2歳児までという施設が多いです。
0,1,2歳児を預かる方が、3,4,5歳児に比べて助成金の単価が高くなるため、少ない人数でも収入が多くなり運営がしやすいという面がありますが、待機児童が解消しつつある現状、園児募集がうまく行かなければ、運営に直結するようになります。
2022年11月12日付の朝日新聞デジタルの記事で、横浜の園が突然閉園したというニュースがありましたが、その園は企業主導型保育園でした。
認可外保育施設という扱いは続いていますので、少子化で園児が埋まらず、運営が苦しくなったとしても、国や市町村からの支援は期待できません。
今後、企業主導型保育園の閉園が起きてくるかもしれません…。
【参考】保護者側から見た企業主導型保育園のメリット・デメリット
ここでは、企業主導型保育園を利用する保護者の立場から、メリット・デメリットを見ていきます。
- 働いている職場で企業主導型保育事業を行っていれば、優先的に入園することが出来る
- 子どもが熱を出した場合など、すぐに迎えに行くことが出来る(職場の理解を得やすい)
- 世帯年収次第では、保育園に入るよりも毎月の保育料が安くなる
次にデメリットです。
- 認可外保育施設ということもあり、保育の質が担保されていない
- 市町村に確認してもよくわからない
- 情報があまり公開されていない
- 0歳、1歳、2歳までの預かり場合、3歳以降に希望の園に入ることが出来るかわからない
やはり保護者の立場から見ても、認可外保育施設ということは大きなデメリットに挙げられます。
市区町村が窓口ではなくなり、情報も少なくなりますので、認可外保育園への入園を検討する際と同じ程度の労力を掛ける必要があります。
平成28年度の開始から令和3年現在、5年経っていますが、監査の体制なども未だに確立されず、毎年言っていることが監査等の担当者によって変わる、という状況ですので、不安定な事業であることもデメリットといえます。
認可外保育園について詳しく説明をしている記事もありますので、ご興味のある方はご参照ください。
参考記事:【プロが解説】認可外保育園とは? 入園条件や補助金についてご紹介
企業主導型保育園の助成金や補助金について
「企業主導型保育園では、どのような助成金・補助金を受けることが出来るか?」
そういったご質問を多くいただきましたので、解説致します。
結論から言うと、認可外保育施設とはいえ、内閣府所管の事業ではありますので、条件次第では認可保育所・小規模保育事業所と同等の助成金を受けることが出来ます。
二つの助成金がある
企業主導型保育事業には、二つの助成金があります。
- 整備費助成金
- 運営費助成金
二つの助成金がありますが、整備費助成金については、新しく施設を建てるなど新規募集がされた際に受け取ることが出来る助成金です。これまでは、3月ごろに新規募集があり、5月末が申請期限といったタイトなスケジュールで募集が行われました。
株式会社 いちたすでも、令和3年度の募集が新しく発表された際に記事にしておりますので、募集が行われた際の空気感など、ご興味がある方はご参考下さい。
参考記事:【速報】令和3年度企業主導型保育事業が募集されました!【追記:令和3年9月30日付の最新情報】
上記記事でも記載していますが、子育て安心プランで目標としていた定員11万人分の受け皿は、令和3年度募集で確保される予定ですので、今後、新規募集が行われる可能性は低いです…。
運営費助成金について
整備費助成金は新規募集の際のみ受け取れる助成金ですので、一度きりです。
日常の運営をしていくうえで大事になってくるのは、運営費助成金です。
基本的には、単価の考え方など、認可保育所・小規模保育事業所といった施設の公定価格の考え方と似ているのですが、大きく異なるのは加算項目です。
この加算項目をどのように取るのか次第で、運営費の金額が大きく変わるのですが、金額が大きく変わる分、不正も起きやすい箇所です。会計検査院の処置要求でも取り上げられています。
※上記処置要求は整備費に関するものがメインですが、運営費においても提出書類が増えるなど厳しくなりました。
以下、運営費助成金の内訳の一覧です。
- 基本分
- 延長保育加算
- 夜間保育加算
- 非正規労働者受入推進加算
- 病児保育加算(病児対応型、病後児対応型、体調不良児対応型)
- 預かりサービス加算(一般型、余裕活用型)
- 賃借料加算
- 保育補助者雇上強化加算
- 防犯・安全対策強化加算
- 運営支援システム導入加算
- 連携推進加算
- 改修支援加算
- 改修実施加算
- 処遇改善加算(処遇改善加算Ⅰ、処遇改善加算Ⅱ)
運営費助成金は園児数や保育士資格の有資格者の比率、地域区分などによって決まる基本分に加えて、上記の2~14までの加算項目をどれだけ取得するのかによって大きく変わってきます。
【2023年4月26日追記】加算要件の変更について
2023年3月9日付けで、企業主導型保育施設を運営する事業者向けに「令和5年4月からの子育て支援員の取り扱い及び処遇改善等加算Ⅱにおける研修修了要件について」という通知が出されました。
その資料の中で、2023年4月から加算要件の変更が記載されています。
- 子育て支援員の取り扱いについて
- 「子育て支援」は、「子育て支援研修」等の修了が必要です。
- これまでは、年度内に修了を必須とし、受講予定の方も認められていましたが、2023年4月からは、修了証記載の日付から「子育て支援員」となります。
- 「保育補助者雇上強化加算」は、2023年度より研修を修了していない方は、要件を満たさないため、加算取得ができません。
- 処遇改善等加算Ⅱにおける研修修了要件について
- 副主任保育士、専門リーダー等は、2023年度は1科目以上の研修修了が必要です。
(修了証記載月の翌月(記載日が1日の場合は当月)から加算対象可) - 職務分野別リーダー等は、2024年度から研修修了要件適用となります。
- 副主任保育士、専門リーダー等は、2023年度は1科目以上の研修修了が必要です。
(出典:令和5年4月からの子育て支援員の取り扱い及び処遇改善等加算Ⅱにおける研修修了要件について)
保育補助者雇上強化加算は年額233万円、処遇改善等加算Ⅱの副主任保育士等は月額1人最大48,780円であり、収支に大きく影響する加算でもあります。
加算要件を確認し、取りこぼしがないようにしましょう。
【2023年5月16日追記】医療的ケア児保育加算の創設
令和5年度の保育関係予算案にて「医療的ケア児保育加算の創設」が盛り込まれました。
医療的ケア児を受け入れる企業主導型保育施設に対して、看護師等の配置を支援するための加算が創設されます。
実施主体:公募団体
補助割合:定額(10/10)
(出典:令和5年度 保育関係予算案の概要)
【2023年11月2日追記】令和5年度医療的ケア児保育支援加算の申請について
2023年10月に電子申請システムにて医療的ケア児保育支援加算の申請受付が開始されました。
この加算は、医療的ケア児を企業主導型保育施設で受入れが可能となるよう、企業主導型保育施設の体制を整備し、医療的ケア児の地域生活支援の向上を図ることを目的として創設されました。
実際の申請にあたり、2023年度は以下の資料の提出が求められました。
- 都道府県又は市町村(特別区及び一部事務組合を含む。)が対象医療的ケア児ついて、対象施設で集団保育が可能であると認めたことが分かる書類
- 医療的ケアに従事する職員の情報が分かる書類(当該医行為を実施することできる資格証・研修修了証等を含む)
- 対象医療的ケア児及び医療的ケアに従事する職員の配置状況が記載された書類(職員体制図等)
- 対象医療的ケア児の主治医意見書、医療的ケアに関する指示書
- 対象医療的ケア児の保育支援計画、医療的ケアの実施記録、保育日誌等
- 緊急時の対応フローを含む各種マニュアル(安全管理・災害時対応マニュアル等)
- 対象医療的ケア児の預かりに係る同意書(保護者)
- 関係機関等との連携支援体制が分かる書類
※その他、必要に応じて別途書類の提出を求められる場合がある。
(出典:児童育成協会 令和5年度企業主導型保育事業(運営費等)における処遇改善等加算Ⅲ及び医療的ケア児保育支援加算について)
【2023年11月7日追記】処遇改善等加算Ⅲの申請について
前身である保育士等処遇改善臨時加算は2022年度で終了となり、保育士等処遇改善臨時加算を取得していた事業者は、処遇改善等加算Ⅲへ申請を切り替えるよう通達がありました。
- 法人役員を兼務する施設長は対象外。
- 対象職員は保育士や子育て支援員等の保育従事者だけでなく、事務職員、調理員、栄養士の他、病児保育加算や連携推進加算により配置している職員も対象(非常勤職員含む)。
- 前述の医療的ケア児支援加算により配置された職員も対象。
- 施設全体での賃金改善の合計額(法定福利費等の事業主負担額を除く)の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当で賃金改善をする必要がある。
認可外保育施設向けの補助金は対象
これまで見てきた通り、企業主導型保育園は法律上は認可外保育園という扱いです。また、内閣府所管の事業ですので、都道府県や市町村と運営に関して直接やり取りをする機会は少ないです。
都道府県や市町村の保育関係の補助金は、基本的には認可事業を対象としている場合が多いので、企業主導型保育園では対象にならないのですが、まったくないわけではありません。
市町村によっては、認可外保育施設向けに「コロナ対策補助金」という補助金を臨時で創設しているところもあります。
認可外保育施設向けの補助金であれば、企業主導型保育園でも受け取ることが出来ます。
たとえば、宮城県では認可外保育施設向けに「宮城県低年齢児保育施設助成事業費補助金」という補助金があります。この補助金は認可外保育施設向けなので、企業主導型保育園でも利用することが出来ます。
(参考記事:宮城県 認可外保育施設への運営費補助)
ただし、宮城県の認可外保育施設向けの補助金についても、公立保育所や私立認可保育所ではカバーしきれない部分を認可外保育園が補完する場合に補助が行われる、といった厳しい要件があります
(2)補助対象施設
次に掲げるすべての要件を満たす認可外保育施設(病院内保育施設及び事業所内保育施設を除く。)であって、入所している児童が居住する市町村が当該市町村の低年齢児保育を補完すると認める施設であること。
- 4歳未満児の保育を行っていること。
- 当該年度の4月1日において、小学校就学前の児童を6人以上を入所させていること。
- 必要とされる保育従事者の3分の1以上が有資格者であること。
- 保育時間は、1日につき8時間を原則とすること。
- 県の立入調査を前年度に受検していて、「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(平成13年3月29日雇児発第177号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)に定める指導基準に沿って運営していると認められること。
今後、待機児童が解消して、認可保育施設で保育の需要がすべて賄われるようになってくると、認可外保育施設向けの補助金は少なくなってくることが考えられます。
補助金を受け取る場合は、運営費助成金の対象経費と重ならないように、細心の注意を払う必要があります。
意図せず経費の二重計上(申請)を行ってしまった場合でも、不正受給となってしまいますのでご注意下さい。
企業主導型保育園を新設した法人の事例紹介
ここでは、実際に企業主導型保育園を新設した法人の事例を紹介します。
以前から保育施設を運営している法人の実例紹介
企業主導型保育園は、企業に勤める社員の子どもを預けるための保育園です。
名前からすると、企業しか設置できないように感じますが、学校法人や社会福祉法人、社団法人といった公益法人でも設置することが可能です。
新規の募集が行われていた際は、すでに幼稚園やこども園を運営されている法人が、新たに企業主導型保育園を開設することが多くありました。
保育士不足が大きな社会問題となりましたが、幼稚園では子どもが満三歳になるまで入園できませんし、こども園についても、職員の子どもが、自分が働いている園に入れるかどうかは、市町村の判断次第という面がありました。
そこで、幼稚園や保育園・こども園で働かれている先生方の福利厚生の一環として、すでに保育施設を運営されている法人で企業主導型保育園を新設されるところがあります。
当社(株式会社 いちたす)で運営支援をしていて実感した、すでに保育施設を運営されている法人で行うメリット・デメリットをまとめます。
- 自法人の職員が安心して産休を取れる・職場復帰できる体制を築くことが出来る。
- 職員の子どもを預かることで、産休明けの退職を防ぐことが出来る。
- 子育てと仕事の両立を支援しやすくなる。
- 0,1,2歳で入園してきた園児が、自法人の幼稚園、こども園にそのまま進級することが見込める(3歳児以降の園児数を確保しやすい)。
- これまで運営をしてきた保育園、幼稚園、こども園とは、違う考え方で制度が出来ている部分が企業主導型保育園にはあるので、対応する必要がある。
- 児童育成協会の担当者は、申請のたびに同じ人が担当してくれるわけではなく、園の事情も分かってくれているわけではないので、担当者の判断に振り回される。
- 電子申請のシステムが、市町村への報告とはまったく異なるため、理解する必要がある。
- 制度の変更があるたびに勉強し直さないといけない。
保育とは別の本業を持つ株式会社の事例
続いて、まったく異なる本業を行っているなかで、企業主導型保育事業の新設を行った場合の事例です。
企業主導型保育事業が新しく始まった際は、福利厚生ではなく事業の多角化を意図しているのでは、という法人も数多くありましたが、制度が始まって時間が経ちましたので、現在は本来の目的で運営を行っている施設が中心になっています。
企業主導型保育事業を新たに行い始めた法人について、本業の事業を確認していると、女性が中心の職場であることが多いです。
たとえば、女性の看護師が多く働いている病院や歯科医院、女性のエステティシャンが中心のエステサロン、等もありますし、事業場としての規模が大きいために女性社員の人数が多い、銀行や工場も見受けられます。
ここでは、理美容業をされている法人を弊社(株式会社 いちたす)でご支援した際に感じた行うメリット・デメリットをまとめます。
- 安心して長く働ける職場ということを伝えやすくなり、採用に有利になる。
- 産休を取れる・職場復帰できる法人だという姿勢を外部や社員に示すことが出来る。
- 職員の子どもを預かることで、産休明けの退職を防ぐことが出来る。
- 子育てと仕事の両立を支援しやすくなる。
- 本業との相乗効果を期待できる。(理美容業の場合、利用者の子どもを一時預かりで預かる等)
- 保育事業という新しい事業を適正に行うための負担が大きい。
- 本業で働く社員とは、異なる価値観で働く社員が増えることになるため、マネジメントコストが増える。
- 保育士不足は続いているため、必要保育士数を満たすための負担が大きい。
- 保育園の運営を他法人に任せている場合、園児募集等の責任の所在が曖昧になりやすい。
- 待機児童の解消、少子化の進行といった外部環境の影響を受けやすい。
- 子どもの命に関わる事業を新しく始めるということは、とても大きなリスクと覚悟が必要とされる。
保育事業全体に投入される税金が減額になった場合、企業主導型保育事業は認可外保育施設という扱いなので、減らされる可能性が高いです。
これまで見てきましたように、メリットも大きい事業ですので、園運営にはより力を入れていく必要があります。
企業主導型保育園 保育料無償化について
令和元年10月より、幼児教育・保育の無償化が始まりました。企業主導型保育事業に通う園児についても、幼児教育・保育の無償化の対象になる場合があります。
保育料の無償化対象
企業主導型の保育料の無償化について、認可外保育園の保育料の無償化と同じ要件になりますので、ここでは、内閣府のホームページから引用します。
〇 無償化の対象となるためには、利用している企業主導型保育施設に対し、必要書類の提出を行う必要があります。
〇 3歳から5歳までについては保育の必要性のある子供たち、0歳から2歳までについては住民税非課税世帯であって保育の必要性のある子供たちの利用料について、標準的な利用料が無償化されます。
引用元:幼児教育・保育の無償化概要 企業主導型保育事業
対象者については、認可外保育園と同じ扱いになっています。
認可外保育園と異なっている箇所は、書類の提出についてです。無償化の対象となるためには「必要書類の提出を行う」とあえて具体的な書類の名称が記載されていないのには、企業主導型保育事業独特の従業員枠・地域枠という考え方が影響しています。
無償化の対象となるために従業員枠・地域枠で必要な書類
企業主導型保育園の大きな目的の一つに「 従業員の多様な働き方の実現 」があることはすでに見てきました。ここで注目したいのは、企業主導型保育園が想定しているメインの保護者は、企業主導型保育園を運営している「自社の従業員」ということです。
一方で、「待機児童の解消」も目的に掲げられていますので、「自社の従業員の子ども」だけしか入園できないということにしてしまうと、待機児童の解消という目的が達成できません。
その二つの目的を達成するために、企業主導型保育事業では、利用定員を従業員枠・地域枠という二つの枠があると規定しています。
- 従業員枠:自社の従業員(共同利用契約を締結した法人の従業員を含む)
- 地域枠:地域の入園希望者(保育が必要であることを確認する必要あり)
このように、企業主導型保育園では保護者が自社の従業員かそうでないかによって、利用枠が変わってきます。
従業員枠と地域枠という二つの枠という考え方があることによって、それぞれで無償化対象になるために必要な書類が変わってきます。内閣府の説明文書で書類名が記載されていないのは、そのためです。
従業員枠・地域枠、0歳~2歳・3歳~5歳、保育の必要性の有無、課税世帯・非課税世帯、によって変わってくるのですが、文字だけ見てもよくわからないと思います…。
公益財団法人 児童育成協会が利用者向け案内資料として作成しているフローチャートが、体系立てて説明されていてとてもわかりやすいので、引用します。
参考URL:企業主導型保育事業ポータル 企業主導型保育施設における無償化の対象児童及び対象児童の保護者に対するお知らせ等について 【別添】無償化に関する利用者向け案内資料(PDF)
2019年8月14日付の資料のため、令和元年度という記載がありますが、令和3年度も考え方は変わっていません。上記資料からもわかる通り、従業員枠の園児については、何時間働いているという要件はなく、無条件で保育の必要性有りという扱いになります。
基準となる保育料は要綱で決められている
先に保育料の無償化の話をしてしまいましたが、企業主導型の保育料はどのように決まるのでしょうか。
類似の保育施設である認可保育園・認可外保育園の保育料は以下のように決まります。
- 認可保育園の保育料:保護者の世帯年収によって、市町村が定めている等級表によって決まる
- 認可外保育園の保育料:各認可外保育園が自由に決めることが出来る
企業主導型保育園は、法律上は認可外保育園となっていますので、保育料は自由に決められると勘違いされやすいのですが…。「企業主導型保育事業費補助金実施要綱」で基準となる保育料が決められています。
年齢区分 | 利用者負担相当額 |
4歳以上児 | 23,100円 |
3歳児 | 26,600円 |
1、2歳児 | 37,000円 |
0歳児 | 37,100円 |
上記利用者負担相当額がひとつの大きな目安となります。
上記金額よりも、毎月の保育料を低く設定している法人は、低く設定した金額は法人の負担として引き受けていることになります。保育料を下げた金額が補填されるということはありません。
(例えば、0歳児の利用者負担相当額は37,100円ですが、園で30,000円の保育料としている場合、下げた7,100円分は園で負担していることになります)
逆に、上記の利用者負担相当額よりも保育料を高く設定している場合は、なぜ 「企業主導型保育事業費補助金実施要綱」 で定めている金額よりも高く設定しているのか、明確に説明できるようにしておく必要があります。
【追記】令和4年度新規募集について
記事本文でも記載していますが、令和4年度の新規募集は見送られることになりました。
これから新規募集が行われる可能性は低い
児童育成協会のホームページでは、令和4年度の新規募集について以下のように記載されています。
企業主導型保育事業は子育て安心プラン等において、定員11万人分の受け皿確保を目指し、新規募集を行ってきたところですが、令和3年度募集の結果を受け、定員は概ね達成される見込みとなりました。
このため、令和4年度新規募集は行いませんので、事業者様におかれましては、新規募集を念頭においた整備着手(契約や工事等)はお控えいただきますようお願いいたします。
参考URL:今後の企業主導型保育事業の募集等について
本文では、令和4年度の新規募集は行わないという内容ですが、記事のタイトルは「今後の企業主導型保育事業の募集等について」となっています。今後という言葉が使われているところ見ると、これから先、よほど大きな政策転換がない限りは、新規募集は行われないだろうということが推察されます。
今後、企業主導型保育事業を始めたい場合は、どうすればよい?
今後、企業主導型保育事業の新規募集が行われる見込みは低いと書きました。しかし一方で、以下のようなお問い合わせをいただきます。
社員の福利厚生のために、企業主導型保育事業を新たに始めたいが、どうすればよいでしょうか?
社員の福利厚生が目的で企業主導型保育園を立ち上げたいと検討されている場合、企業主導型保育事業の新規募集が新しく始まることは考えにくいため、難しいです。
しかし以下の方法であれば、新規募集に手上げるという方法がなくなった場合でも、社員の福利厚生のために、という目的を達成することは可能です。
- 企業主導型保育園の連携企業(共同利用企業)になる
- 事業所内保育事業を行う
- 企業主導型保育園に対してM&A(事業承継)を行う
それぞれ詳しく見ていきます。
企業主導型保育園の連携企業(共同利用企業)になる
目的が社員の福利厚生の場合、会社の近くにある企業主導型保育園の連携企業になるのが、最も費用が掛からず、リスクも少ない方法です。
企業主導型保育事業では、従業員枠と地域枠があることは本記事の前半で見てきましたが、地域枠には上限が設けられています。たとえば、利用定員12名の場合「12名すべての園児が地域枠」ということはできません。
それでは、従業員枠と地域枠、どちらが先に埋まるかと言えば、「地域枠」から埋まるケースが多いです。
そうすると、以下のようなジレンマが発生します。
- 園としての定員ではまだまだ園児を受け入れられる
- 地域枠は埋まっているので、地域枠として受け入れることは出来ない
- 社員の利用見込みはないので、従業員枠が埋まらない
- 園としての定員が埋まらないので、経営的に苦しくなる
上記のような事態をよく見かけます。
しかし、連携企業(共同利用企業)が増えれば、連携企業となった法人の社員は従業員枠としてカウントされますので、従業員枠として受け入れることが出来るようになります。
企業主導型保育園では、園児が集まらず、収支的に苦しんでいる所を見かけますが、よくよく実情をお聞きすると「従業員枠を埋めることが出来ていない」ということがよくあります。
従業員枠を埋めることが出来ていない園にとっては、連携企業が増えることは、安定運営にとって、とてもプラスになる事です。
社員の福利厚生として企業主導型を検討している法人にとっても、連携企業になることが出来れば、自社の社員が利用しやすくなりますので、お互いにとって、大きな負担がなくメリットがある関係になることが出来ます。
いちたすが企業主導型保育園の園児募集をお手伝いする際、まずは連携企業を増やすことから始めましょうと提案することが多いです。
ただし注意点として、連携企業になる際の条件が記載されている共同利用契約書については、しっかりと確認して、お互いの認識のずれが起きていないかを徹底する必要があります。トラブルが起きやすい箇所です。
事業所内保育事業を行う
企業主導型保育事業の新規募集は見送られましたが、似ている制度の事業所内保育事業は、市町村の計画次第では、新規募集を行っているところがあります。
事業所内保育事業は、2015年(平成27年)から始まった子ども・子育て支援新制度のなかで「地域型保育事業」のひとつとして、新たに設けられた施設類型になります。
待機児童の解消に目処が立ってきている現状、新規募集の話はあまり聞かないですが、市町村によってはまだ募集をしているところもありますので、検討材料の一つになります。
参考に、いちたすの本社がある仙台市の事業所内保育事業施設一覧を記載します。
参考URL:仙台市 事業所内保育事業施設一覧
事業所内保育事業については、自社で運営を行うことになります。
子ども・子育て支援新制度のなかで運用される公的な施設になりますので、福利厚生がメインの目的の場合は、資金負担や事業としてのリスク、園児を預かる社会的責任を考えると、見合っていないかもしれません。
企業主導型保育園に対してM&A(事業承継)を行う
企業主導型保育園は待機児童解消の施策のひとつとして、利用定員11万人分の受け皿確保のために始められました。これまでなにもなかったところに、新たに11万人分の枠が増やされました。
子育て安心プラン等が打ち出された当初は、待機児童の解消が急務とされてきました。しかし、その後も少子化は進み、コロナ禍で少子化のスピードが当初想定されていたよりも大幅に早く進む可能性はとても高いです。
そうすると、以下のような流れが起こります。
- コロナ禍で、少子化に拍車がかかる
- 待機児童が0人になる自治体が増える
- 保護者は、子どもをどの園に預けるか選べるようになる
- 企業主導型保育園が比較される相手は、これまで地域で何十年と運営を続けてきたこども園・保育園・幼稚園
- 認可外保育園という扱いになるので、自治体からの支援は期待できない
企業主導型保育園は、社員の福利厚生という目的があるため、比較的小規模な園が多い(0,1,2歳児対象が多い)という特徴があります。
また、これまで保育事業を行っていたわけではなく、企業主導型が新設されたことを機に新たに保育事業に参入された法人も多いという特徴もあります。そんな企業主導型保育園が、これまで何十年と幼児教育・保育事業を行ってきた幼稚園・保育園・こども園と園児獲得に向けて競争を行うとなると、やはり分が悪いケースが多いです。
本記事の前半で、助成取り消しや取りやめになっている施設が出始めてきていることは見てきましたが、M&Aを仲介しているサイトでも、売却案件として、企業主導型保育園が上がるようになってきています。もちろん、事業を手放す理由は様々でしょうが、やはりそれだけ、事業として運営していくのが苦しくなってきている園が出始めているのだと思います。
そうした案件でM&A(事業譲渡)を行えば、新規募集がなくなったとしても企業主導型保育園を運営することは可能です。
ひとつの方法としてM&Aを挙げましたが、自社の社員の福利厚生をメインの目的とするのであれば、M&Aは現実的ではありません。
もともと保育事業を行っていて
・事業拡大
・園児の受け皿確保(子育て環境の維持)
といった目的がある場合は、選択肢になります。
福利厚生が目的の場合は、はじめにあげた「会社の近くにある企業主導型保育園の連携企業になる」という方法がお勧めです。
企業主導型保育園についての経営者からの質問
ここでは、企業主導型保育園について、経営者からよく頂く質問に回答します。
- Q従業員枠と地域枠の割合は決まっていますか?
- A
地域枠は、利用定員の50%以内であれば任意で設定することが可能です。 また、従業員枠の中でも、自社の従業員が利用する枠は利用定員の10%以上でなければなりません。 地域枠は、定員の50%を超えてお預かりすることはできませんが、待機児童であれば地域枠(弾力措置)として受入れが可能です。
詳しくは、以下をご覧下さい。
企業主導型保育事業における「従業員枠・地域枠」に関する確認事項(令和3年度版)
- Q連携企業を増やしたい場合は何から行動したらいいですか?
- A
地域枠として既に入園されている保護者様がお勤めの企業へ、共同利用契約を結んでいただく、という方法がおすすめです。 保護者様の許可を得た上で施設側から連絡を行うと、契約がスムーズにいくケースがあります。 その他には、女性の従業員が多い企業や子育て支援に取り組んでいる近隣企業は、比較的連携しやすい企業かと思います。 また、共同利用契約を行えるのは、子ども・子育て拠出金を納付している企業のため、事前の確認が必要です。
- Q福利厚生をメインの目的とすれば、「会社の近くにある企業主導型保育園の連携企業になる」という方法がお勧めとありましたが、まず何から始めれば良いですか?
- A
会社の近くにある企業主導型保育園を探し、共同利用契約を結びたい旨を伝えましょう。 また、共同利用契約を行えるのは、子ども・子育て拠出金を納付している企業のため、ご留意くださいませ。
- Q自社で働く従業員が子どもを預けたいと思う人数が多く、創設する際に従業員枠が埋まるくらいの見込みがない限り保育とは別の本業を持つ株式会社は創設するメリットはあまりないのでは?
- A
保育事業者でない、その他の事業者が企業主導型保育園を創設するメリットとして、採用活動の時に訴求ポイントとなることがあげられます。
待機児童が多い地域では、働きたいと思っていても子どもを預ける先がなく、働けない保護者がいますが、人材を採用したい企業は自社の保育園を備えていることで、それが訴求ポイントとなります。
自社の保育園で子どもを預かることで、その保護者を雇用することができますし、育休復帰の際も、預ける場所がないから復帰できない!といった事態を防ぐことができます。 人材が不足している企業にとって、企業主導型保育園を創設することは、採用活動の際に有利に働くというメリットがあります。
- Qその会社の従業員以外で認可外の企業主導型保育園を選んで子供を預けたいと思う保護者はあまりいないような…保育料が安いか、地域の園が満員で待機児童になっているかくらいでしょうか?
- A
仰る通りの理由で預けられる保護者の方もいらっしゃるとは思いますが… 認可外といっても、企業主導型保育園は配置基準も国基準とほぼ同等ですし、認可保育園に劣らない独自の保育方針を掲げて運営されているところも沢山あります。 障害児保育に力を入れていたり、手厚い保育を行ったり、小規模の保育園が良いという保護者の方もいらっしゃいます。 そのため、工夫は必要かと思いますが、企業主導型保育園でも地域から求められる園として存在している園は多くあります。
- Q企業主導型保育園は儲かると聞きましたが、本当でしょうか?
- A
これまで見てきた通り、利用定員まで園児を集めることが出来れば、資金を残すことは出来ます。しかし、企業主導型保育事業を行う一番の目的が利益という場合は、手を出さないことをお勧めします。
従業員の福利厚生のため、など企業主導型保育事業の本旨に適う目的が第一に来ない状況では、継続的に運営していくことは難しいと思います。
外部環境の厳しさや、責任の重さから言っても、気軽に手を出してはいけないですね。
- Q毎年、月次報告や実績報告、加算事業に対する考え方などの資料が新しくなり、その都度資料を読み込んで対応するのが大変です…。
- A
企業主導型保育事業は、まだ新しい事業ですので、不具合があれば修正、不具合があれば修正、を繰り返しています。月次申請・実績報告を担当されている方にとっては、負担が大きい作業ですが、しっかりと追い付いていかないと不正受給にもつながりかねない大事なところです。
株式会社 いちたすでは、企業主導型保育事業のポータルサイトからの申請支援も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
- Q企業主導型保育園の閉園を考えているのですが、いちたすではどのような支援サービスがありますか?
- A
企業主導型保育園を閉園する場合、整備費の返還を求められる可能性が高いです。そのため弊社では園児募集等、園単体で黒字になる方法を検討し、継続して運営する方法を模索するご支援を行っております。その他、事業譲渡のお手伝いすることも可能です。
- Q先生方に安心して長く働いてもらうために、すでに運営している保育園とは別に企業主導型保育園の開設を考えているのですが、令和4年度以降、新規募集はされないのでしょうか?
- A
企業主導型保育園が導入されるきっかけとなった「子育て安心プラン」で目標としていた定員11万人分の受け皿は、令和3年度募集で確保される予定です。
保育の受け皿が整備された以上、新規募集が行われる可能性は低いと考えられます。
ただ、保育の受け皿整備は、今後も進めていくという政府の方針ですので、募集があったときに手を上げられるよう準備をしつつ、別の方法を同時に検討していくというスタンスが良いのではないでしょうか。
企業主導型保育園経営でお悩みなら東北・宮城の幼児教育・保育業界専門の経営コンサルティングいちたすへ
企業主導型保育園を運営するうえで、お困りのことがありましたら株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
いちたすについて
株式会社 いちたすでは、企業主導型保育園の経営者の皆様に対して、運営・財務・経営に関するコンサルティングを専業で行っています。
会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、企業主導型保育園のバックオフィス業務、書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。
会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない、というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、委託費(施設型給付費)の加算の取りこぼしがないか、処遇改善をどのように取り入れていけばよいかなどを確認する相談契約もございます。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも出来ます。
料金プラン
株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。
たとえば顧問(相談)契約、コンサルティング契約は
で承っております。
依頼の流れ
お問合せフォームからお問い合わせいただくか、info@ichitasu.co.jp宛にメールをお送りください。
詳しい内容をお伺いいたします。
その後は、
- 当社の担当者が園にお伺いする
- 当社事務所(仙台市一番町)にお越しいただく
- Zoomなどを利用してオンラインで打ち合わせをする
といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。
園によって状況は様々ですが、
など、ご要望に合わせてご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。