子ども子育て会議とは、国に設置された会議のことで、子どもの保護者や有識者、事業主を代表する者など子ども・子育て支援に関する事業に関係する者が会議の委員となり、子育て支援の政策プロセスなどに参画しています。平成25年から行われており、現在は年に4回ほどの頻度で開催されています。
本記事では、令和5年2月1日に開催された第64回子ども・子育て会議について解説しています。
第64回子ども・子育て会議の重要ポイント
子ども・子育て会議では、公定価格や地域子ども・子育て支援事業などの交付金等の今後の方針が発表されることもありますので、保育園や幼稚園経営者の方は注目すべき会議です。
第64回子ども・子育て会議では、主に子ども・子育て支援新制度に関する令和5年度の予算案が議題となりました。
保育園経営に関する部分について重要ポイントを以下にまとめました。
会議資料を全てご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
(参考リンク:子ども・子育て会議(第64回))
- 子どものための教育・保育給付費交付金
- 保育体制強化事業
- 保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業
- 就学前教育・保育施設整備交付金
それでは重要ポイントを一つずつ詳しくみていきます。
子どものための教育・保育給付費交付金
いわゆる公定価格について、令和5年度予算案の主な拡充内容は以下の通りです。
- チーム保育推進加算の充実
現行は保育所の規模にかかわらず1人となってるところ、利用定員121人以上について、25:1の配置が実現可能となるよう、2人までの加配を可能とする
(※これまでと同様に保育体制や職員の平均経験年数等に一定の要件はあり。) - 主任保育士専任加算等の要件についての特例の創設
0歳児3人以上の利用に係る要件について、以下の場合には 新型コロナウイルス感染症による利用控えが想定される令和5年度に限り、前年度に要件を満たしていた月については、引き続き、要件を満たすものとして取り扱う。
※①0歳児の利用定員が3人以上かつ、②3人以上の0歳児保育を実施する職員体制を維持している場合 - 処遇改善等加算Ⅱの他の施設への配分に関する期限の延長
処遇改善等加算Ⅱの加算額の一部を同一の者が運営する他の施設・事業所に配分することができる取扱いの期限について、令和6年度末までに延長。 - 保育士・幼稚園教諭等の3%程度(月額9千円)の処遇改善に係る満年度化、令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定への対応
令和4年人事院勧告に伴う給与の引き上げや3%程度(月額9千円)の処遇改善の満年度化(令和4年度:半年実施→令和5年度:12か月実施)に必要な経費について計上する。
令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定への対応については以下の記事で解説しています。
関連記事:【2023年最新版】公定価格における令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について
加えて、新型コロナウイルス感染症による休園等に伴う保育料減免は、令和4年度末までで終了します。
保育園の委託費、公定価格についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【プロが解説】保育園 委託費について経営者が知るべき3つのポイント
令和5年度の新規事項としては、チーム保育推進加算が拡充されました!
利用定員121人以上と大規模な保育所に限られますが、加配が2人までとなり、より手厚い保育が可能となります。
ただ、保育園限定でチーム保育推進加算の「平均経験年数 12 年以上」という要件は、引き続き残っていますので、恩恵を受けられる園は少ないかもしれません…。
保育体制強化事業
続いては、保育体制強化事業についてです。
保育体制強化事業とは、清掃業務や寝具の用意等の保育に係る保育支援者配置の支援を行う事業です。
補助となる配置と対象施設が以下のとおり拡充されます。
- スポット支援員の配置の追加
既存事業の保育支援者の配置に加え、登園時の繁忙な時間帯やプール活動時なの一部の時間帯にスポット的に支援者を配置する場合も補助する。(月額 45000円)
※保育支援者と合わせて補助する場合は、保育支援者とは別に加配することが要件。 - 対象施設の拡充
園外活動時の見守り等を行う保育支援者を配置する場合の補助対象施設に、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業及び幼稚園型認定こども園を追加。
スポット支援員の配置に係る対象施設も園外活動時の見守り等の対象施設と同様。
保育に係る周辺業務を行う保育支援者の配置補助を行うことで、保育士の業務負担の軽減を図ることがねらいです。これまでは保育所と幼保連携型認定こども園のみが対象でしたが、園外活動時の見守り等の場合は小規模保育事業や幼稚園型認定こども園等も対象となります。
保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業
定期的預かりモデル事業が新設されることになりました。
モデル事業の段階であるため、実施主体は市町村(市町村が認めた者への委託可)となり、実施自治体は公募により選定されます。
主な施策の内容は以下の通りです。
- 施策の目的
定員に空きのある保育所等において、未就園児を定期的に預かり、利用促進の方法、利用認定の方法、要支援家庭等の確認方法や、保護者に対する関わり方などを具体的に検討し、保育所の多機能化に向けた効果を検証する。 - 事業内容
- 定期的な預かり
- 定員に空きのある保育所等において、地域の未就園児に対して継続して週1~2日程度の定期的な預かりを実施する
- 対象児童を養育する家庭に対して、本事業の積極的な利用を促進する。
- 支援計画を作成し、保護者に対しては定期的な面談などを実施し継続的に支援する。
- 要支援児童同の不適切な養育の疑いを確認した場合には、関係機関に情報を共有する。
- 要支援家庭等対応強化加算
要支援児童等の預かりを行う場合には、関係機関と連携の下、情報共有や定期的な打ち合わせに基づいた支援計画を作成し、適切な支援を行う。
- 定期的な預かり
一時預かり事業と似ていますが、定期的な預かりモデル事業は、長期スパンでの利用を前提とした保育所等に通所していない未就園児が対象です。
就学前教育・保育施設整備交付金
最後は、就学前教育・保育施設整備交付金についてです。
こちらは、新設された補助金ですが、内容は今までの保育所や認定こども園向けの補助金メニューが一元化されたものです。
対象となる事業を以下にまとめました。
- 保育所整備事業
- 幼保連携型認定こども園整備事業
- 認定こども園整備事業(保育所型、幼稚園型)
- 公立認定こども園整備事業
- 小規模保育整備事業
- 防音壁整備事業
- 防犯対策強化整備事業
私立学校施設整備費補助金を活用していた幼稚園型認定こども園は、基本的に今回の就学前教育・保育施設設備交付金に統合されます。しかし令和6年度末までは、経過措置として従来同様のメニューが置かれます。
まとめ
令和5年2月1日に開催された第64回子ども・子育て会議について解説しました。
主な議題は、令和5年度の子ども・子育て支援新制度に関する予算案についてでした。
令和4年度との主な変更点を以下にまとめました。
- 公定価格のチーム保育推進加算が拡充。(定員121人以上の施設は2人まで加配可能)
- 保育士・幼稚園教諭当に対する処遇改善。(詳しくは以下の記事で解説しています。)
関連記事:【2023年最新版】公定価格における令和4年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に伴う対応について - 定期的な預かりモデル事業が創設。(実施自治体は公募で決定)
- 保育所・認定こども園に向けた補助金メニューが一体化。
令和4年度と大きく変わるところは、ありませんでしたが、令和5年4月1日にこども家庭庁が創設されることにより、制度や組織を横断的に取り組む予算案が作成されました。その一つが、保育園と認定こども園の補助金が統合です。
こども家庭庁については、こちらの記事で詳しく解説しています。
(関連記事:【2023年最新版】こども家庭庁について知っておくべき3つのポイント)
今後もこども家庭庁創設等により、新たな通知や変更点がある可能性があります。
その際は、当ブログでも最新情報をお伝えしていきます。
本記事は令和5(2023年)年2月10日時点の情報を基に執筆しています。
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