「保育士の離職がとまらない」「保育士採用に苦戦している」といったお悩みをお持ちの保育園・こども園経営者様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、東京都が行っている「東京都保育士実態調査」の令和4年度の調査結果を基に
- 現任保育士の職場選択時に重視した項目、改善を希望している項目
- 過去に就業していた保育士の退職理由、復職する場合の希望条件
について、現在園で働いている保育士の離職防止や、採用活動に役立つよう解説を行いました。
東京都保育士実態調査とは?
保育士有資格者を対象に、就労や離職状況等の実態について、東京都が5年に1度行っている調査です。
目的は、現任保育士の離職防止策や、潜在保育士の就職支援策等に活かすことです。
- 調査対象及び人数
平成29年4月から令和4年3月までの東京都保育士登録者数 52,856人 - 調査方法
郵送配布・インターネット回収(一部、郵送回収併用) - 回収数
有効回収数 18,239件(有効回収率39.7%:宛先不明を除く) - 主な調査項目
- 対象者のプロフィール
- 現在保育士就業中の者の実態
- 過去に保育士就業経験がある者の実態
- 保育士として就業経験がない者の実態
- 調査実施期間
株式会社サーベイリサーチセンター
保育士就業中の者の実態について
ここからは、保育士就業中の方への調査結果を解説していきます。
職場選択時に重視した項目
保育士の先生方は、どのような視点で職場を選んでいるのでしょうか?
こちらは、職場選択時に重視した項目のグラフです。
職場選択時に重視した項目で、一番多かったのは「勤務地」で7割強を占めました。
その次に多かったのは「職場の人間関係」で51.9%と半数以上が重視しています。
最も多いのは「勤務地」でした。もちろん「勤務地」は重要な項目だと思うのですが、この項目の中で一番、というのは意外な結果でした。
ただ、いわゆる会社員とは異なり、保育士という職業を選んで働かれている方にとっては、「どうしても、この園で働きたい」という意識は、あまりないのかもしれません。
求人の際は、園の立地ではない部分で、どのように園の魅力を伝えていくことが出来るかが、重要になります。
次が「職場の人間関係」でした。「職場の人間関係」は、求人票でPRしにくい部分ではないでしょうか。しっかりと言語化して伝えることが大切です。
現在の職場で働き続けるために充実を希望する項目
続いては、保育士が充実を希望している項目についてです。
現在の職場に充実を希望する項目で、最も多かったのは約8割を占めた「給与」でした。
次いで「職場の人間関係」が58.0%、「休暇」が52.7%でした。
やはり、保育士の待遇が問題になっているだけに、「給与」の充実を希望している保育士が多いですね。
「職場の人間関係」の後に「休暇」「勤務時間・交代制の融通がきく」が続き、働き方を重要視していることがわかります。
保育士に限らず、「働き方」を重視している方は増えています。
弊社では「働き方改革」の一環として、「健康経営」に取り組み、2022年から「健康経営優良法人」に認定されました!
認可保育所や認定こども園、幼稚園を運営する学校法人、社会福祉法人でも認定を受けることが可能ですので、ご興味のある方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事:【プロ解説】健康経営優良法人に認定された当社が教える5つのメリット
現在の職場で改善を希望する項目
続きまして、現在の職場で改善してほしい項目です。
こちらも「給与・賞与等の改善」が62.7%と待遇の改善要望が一番多い結果となりました。
次いで「職員数の増員」で人手が足りていない、と感じている保育士が多いことがわかります。
また、「事務・雑務の軽減」が40.1%と高い割合を示しています。
ICT化が進んでいるものの、事務作業が負担と感じている方もまだまだ多いのではないでしょうか。
当社(株式会社いちたす)では、事務作業のアウトソーシングのお手伝いをしております。
記帳代行サービスをお探しの方や、会計入力・その他事務作業でお困りの方は、ぜひ無料相談をご利用くださいませ。
過去に保育士就業経験がある者の実態について
これまでは、現在保育士に就いている方の実態を解説しました。
ここからは、過去に保育士の仕事をしていた方の調査結果について解説していきます。
保育士を辞めた理由(複数回答)
過去に保育士の仕事に就いていた方の退職理由はこちらです。
退職理由で一番多かったのは、「職場の人間関係」が31.5%、「仕事量が多い」23.1%、「給料が安い」22.1%という結果でした。
「職場の人間関係」を理由に退職される方が多いのは、保育業界に限ったことではないと思いますが、実はマネジメントにより、改善できる部分です。
園で働く様々な役職の先生方には、これまで生まれ育ってきた環境や経験によって、それぞれの当たり前(常識)があります。当たり前の感覚はひとによって大きくズレていきますので、園としての標準を明確にし、伝えていくことが重要です。
弊社では、保育士マネジメント支援を行っております。
園の標準をどのように定めていくのか、インタビューやコンパスブックの作成を通して、ご支援いたします。
また、内部研修の企画・運営も行っております。過去には以下の内容の研修を行いました。
・男性職員と女性職員のコミュニケーションのミスマッチ解消
・上司と部下のコミュニケーションのミスマッチ解消
園の状況に合わせたテーマで研修を行うことができますので、お気軽にご相談ください。
復職する場合の希望条件
続いては、一度保育士の仕事を辞められた方が、再び保育士として働く場合の希望条件です。
最も多かったのは、「勤務時間(1日)」で73.8%、次いで「給与等(年収)」で69.0%でした。
保育士の仕事は、どうしても早番や遅番勤務が発生してしまうため、勤務時間の調整をしたいと思っている方が多そうですね。
また、「どのような条件があっても保育士として働くつもりはない」と答えた方が3.8%でした。そのため、過去に保育士の仕事に就いていた方の多くが、希望条件が合えば、再び保育士として働きたいと思っていることがわかります。
保育士不足が喫緊の課題となっている今、潜在保育士の活用が大きなポイントです。
希望条件が合えば、保育士の仕事に就きたいと思っている方が多いということは、勤務体制や条件の見直しを行い、訴求していく必要があります。
まとめ
東京都が5年に1度行っている「東京都保育士実態調査結果」の令和4年度の報告書を基に、保育士就業中の方、過去に保育士経験がある方の実態について解説しました。
それぞれの調査項目から、就業中の保育士、潜在保育士が重視している項目をまとめます。
- 勤務地
- 給与・賞与
- 職場の人間関係
- 勤務時間(1日)
こういった調査結果を参考にすることで、現在園で働いている保育士の離職防止、採用活動のヒントにもなります。
本記事で紹介していない質問項目もあります。全体を確認されたい方は、こちらからご覧くださいませ。
東京都福祉局 令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)
保育園・こども園・幼稚園の経営でお困りの方はいちたすへご相談を
保育園・こども園・幼稚園を経営するうえで、お困りのことがありましたら株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
今後どのように運営していけばよいか、給付費(委託費)や補助金はしっかりと取れているのかといった経営・財務に関するご相談から、保育士・職員に外部研修を行ってほしい等の人材育成に関するご相談まで、幅広くご支援しています。
いちたすについて
株式会社 いちたすでは、保育園・こども園・幼稚園の経営者の皆様に対して、経営・運営・財務に関するコンサルティングを専業で行っています。
会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、保育所のバックオフィス業務、書類関係全般のご支援もしています。幼稚園・保育所・こども園の税務・労務に精通した税理士法人・社会保険労務士事務所とも提携しています。
「会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない」というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、
- 委託費の加算の取りこぼしがないか、第三者に確認してもらいたい。
- 認定こども園への移行を考えているが、何から手を付ければよいかわからない。
- 処遇改善をどのように取り入れていけばよいか、他園がどのように行っているかを知りたい。
などのお悩みに対してご支援・コンサルティングを行う顧問(相談)契約もあります。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも可能です。
料金プラン
株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。
たとえば相談契約、コンサルティング契約ですと
で引き受けております。
「複数施設を運営しているが本部で契約したい」「打ち合わせは2か月に1回でよい」など、オーダーメイドでご契約内容を作成いたしますので、お気軽にご連絡ください。
依頼の流れ
お問合せフォームかinfo@ichitasu.co.jp宛にメールをお送りください。
詳しい内容をお伺いいたします。
その後は、
- 当社の担当者が園にお伺いする
- 当社事務所(仙台市一番町)にお越しいただく
- Zoomなどを利用してオンラインで打ち合わせをする
といった形で、具体的にどのようなご支援が出来るのかを打ち合わせいたします。
園によって状況は様々ですが、
など、ご要望に合わせてご提案いたします。
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