令和4年7月7日の第61回子ども・子育て会議にて、令和4年9月で終わる月額9,000円の賃上げがどのようになるのかの取り扱いが示されました。
おそらくは、そのまま続くだろうとは予測していましたが、令和4年10月以降は処遇改善等加算Ⅲ(仮称)として、公定価格の加算として位置づけられる予定です。公定価格の加算という位置付けですので、令和4年度だけではなく、今後も続く可能性が高くなりました。

処遇改善等加算がⅠ・Ⅱ・Ⅲと3つ存在することになりますので、しっかりと一つ一つをを理解し、対応していくことが今後の園運営では重要になってきます。
月額9,000円の賃上げとは?
岸田政権の「未来への投資」という政策の一環で、「保育、幼児教育の現場で働く方に対して、月額9,000円の賃上げ」を行うことになりました。
月額9,000円の賃上げを行うことになった背景については、以下の記事で詳しく説明しています。
参考記事:【速報】令和3年度の経済対策(月額9000円の賃上げ)と人事院勧告への対応
保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業は、令和4年2月から9月までという年度を跨いでの事業でしたので、対応に苦慮された園も多かったのではないでしょうか。
保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
参考記事:【確定版】保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の全体像・注意点について【2/4付FAQ追記】
これまでは、令和4年10月以降がどうなるのかは決まっていませんでしたが、令和4年7月7日の「第61回子ども・子育て会議」にて、今後の見通しが発表されました。
参考URL:子ども・子育て会議(第61回)
ちなみに、今回の記事で出てくる幼稚園は、新制度移行後の幼稚園ですので、私学助成の幼稚園とはますます差がつきますね…。
参考記事:【私学助成園賃上げ】幼稚園の教育体制支援事業の全体像・注意点について

保育園やこども園の運営をご支援している立場としては、10月から急に手当がなくなると、先生方への給与の説明が大変になることが予想されますので、ほっとしました。
ただ、私学助成の幼稚園は、令和4年10月以降は、園負担が1/2(半額は園負担)の予定なので、先生方への処遇に対する対応にも差が出た形になります。
令和4年10月以降大きく変わる箇所
令和4年10月以降も続くことは決まりましたが、これまでとは異なる箇所もあります。
ここでは、令和4年9月までと令和4年10月以降で、どのように変化するのかを見ていきます。
交付の仕組み

まずは大きく変わる部分を見ていきます。
- 令和4年2月~9月:補助金(保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業)
- 令和4年10月以降:公定価格の加算
ここが最も大きな変更点です。
これまでは補助金という扱いでしたので、突然なくなるかもしれない不安定なものでした。
しかし、令和4年10月以降は公定価格の加算として計上されることになりますので、恒久的な加算になったと考えることが出来ます。
まだ案の段階ではありますが、公定価格では以下の加算を新たに設けることとしています。
- 公定価格の加算部分2(特定加算部分)
- 名称は処遇改善等加算Ⅲ(仮称)

記載のイメージを記載している部分に、令和4年10月~令和5年3月と期間が記載されていますので、令和5年4月以降は、また大きく変更する可能性もあります…。
令和5年4月からはこども家庭庁も創設されますし、まだまだ変化は続きそうです。
令和4年10月以降も変わらない箇所
次に、おそらくはほとんど変わらないであろう箇所をまとめます。
単価

まずは加算額の計算方法です。
- 公定価格上の配置基準に基づいて算定。
- 各種加算で算定される職員は平均取得率により一律に単価を算定。
- (注意書き)公定価格の見直しによる措置が年度途中であることを考慮し、当該措置の円滑な開始のため、令和4年10月から令和5年3月までは従前の補助金と同様に、各種加算について平均取得率により一律に算定する。令和5年4月以降の取扱いは令和5年度予算編成過程で検討。
令和4年10月という年度途中の見直しになるので、令和4年10月から令和5年3月までの加算額については、そこまで大きな変化はなく進むことが予想されます。

たとえば、これまでの補助金で月に10万円を先生方に支給する必要がある園でしたら、おそらくは10万円に近い加算額になるように、調整が入る可能性が高いです。
対象者

続いて対象者についてです。
- 保育所や幼稚園等に勤務する職員
- ※施設が独自に加配している職員も含めて一定の賃金改善が可能となるよう、実際の賃金改善に当たっては施設の判断で柔軟な配分が可能。
資料では、ここまでしか書かれていませんが、変更が入らないことを考えると、保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業のときと同じように、以下の方は対象外になる可能性が高いです。
- 法人役員を兼務する施設長
- 延長保育・預かり保育などの通常の教育・保育以外のみに従事している職員
対象施設

次に対象施設についてです。
- 特定教育・保育施設(保育所、幼稚園、認定こども園)
- 特定地域型保育事業所(小規模保育事業、家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業)
幼稚園とありますが、ここでいう幼稚園とは、特定教育・保育施設としての幼稚園ですので、いわゆる施設型給付を受ける幼稚園のことです。
実施(認定)主体

最後に実施(認定)主体です。
- 市町村
公定価格に組み込まれることを考えると、市町村が実施主体のまま変更がないというのは、納得ですね。
令和4年10月以降も注意が必要な箇所
変更点ではないですが、これまでの処遇改善等加算とは異なる考え方になりますので、これまでの補助金同様、要件については注意が必要です。
- 賃金改善を行うこと。
- 賃金改善のうち最低でも2/3以上は基本給・決まって毎月支払われる手当によること。
- 賃金改善計画書及び賃金改善実績報告書を提出すること。
具体的に明言されていませんので、今後変更が入る可能性もありますが、補助金の際は令和4年2月から事業が開始して令和4年3月までには支給を終えていないと、要件を満たしていないことになりました。
処遇改善等加算Ⅲが始まる最初の月、令和4年10月の扱いがどうなるかはとても大きな影響があります。
園で働く先生方からすると、10月以降も途切れず給与として受けたほうが良いでしょうから、令和4年10月から「基本給・決まって毎月支払われる手当」で支給されることが求められる可能性は高いです。
また、令和4年4月から9月の補助金に追加されていた「国家公務員給与改定対応部分」については、「令和4年10月以降の取扱いは、令和4年人事院勧告の内容を踏まえて対応を検討」ということになっています。
令和4年人事院勧告への対応は、例年よりも難しくなりそうです。

令和4年10月から、市町村へ提出する公定価格の請求書が対応するとは考えにくいので、後日精算されるまでは、園の持ち出しになるかもしれません。資金繰りには注意が必要ですね。
保育園・こども園・幼稚園経営でお悩みなら幼児教育・保育業界専門の経営コンサルティングいちたすへ

本記事では、月額9,000円の賃上げ(処遇改善等加算Ⅲ)について詳しく説明していますが、幼稚園・保育園・認定こども園を運営するうえで、お困りのことがありましたら、株式会社 いちたすへお気軽にお問合せください。
いちたすについて
株式会社 いちたすでは、幼稚園・保育園・認定こども園の経営者の皆様に対して、運営・財務・経営に関するコンサルティングを専業で行っています。
- 日常の会計確認・記帳代行、決算作業、計算書類作成
- 処遇改善等加算Ⅲの配分方法の検討・申請に向けてのコンサルティング
- 少子化に対応し、継続的に運営していける体制作り支援
- 園児募集支援(強みの明確化・見える化)
- 所轄庁の行政監査対策
- 園業務のICT化支援
会計事務所として、日常の会計の確認、記帳代行を行ってもいますので、バックオフィス業務、書類関係全般のご支援もしています。税務については幼稚園・保育所・こども園の税務に精通した税理士法人と提携しています。
会計事務所は法人設立からお世話になっているから変えたくない、というお声を頂きます。
そのような場合は、会計・税務ではなく、今後の園運営をどのようにしていけばよいか、処遇改善をどのように取り入れていけばよいかなどを確認するコンサルティング契約もございます。こちらは、セカンドオピニオンのようにお使いいただくことも出来ます。
料金プラン
株式会社 いちたすでは、定期的な顧問契約から、スポット(単発)での委託費の確認、申請書類の確認なども行っております。
たとえば顧問(相談)契約、コンサルティング契約は
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園によって状況は様々ですが、
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